アレッサンドロ・フランチェスコ・トマーソ

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いいなづけ 17世紀ミラーノの物語 下 河出文庫

アレッサンドロ・フランチェスコ・トマーソ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309462714
ISBN 10 : 4309462715
フォーマット
出版社
発行年月
2006年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,457p

内容詳細

飢饉やドイツ人傭兵隊の侵入で、荒廃をきわめるミラーノ領内。通りには悲惨が絶えず往来し、苦痛が棲みついて離れようとしない。非力な老人や女性や子供たちは、衰弱し、疲れ果て、見捨てられ…そして恐ろしいペストの蔓延。恐怖と迷信と狂気。物語は、あらゆる邪悪のはびこる市中の混乱をまざまざと描きながら、一気に感動的なラストへと突き進む。イタリアを代表する歴史小説の大傑作、完結編。

目次 : ミラーノ領内における飢饉と戦乱。ドイツ人傭兵隊の侵入。/ ドイツ人傭兵隊の侵入にともない、アッボンディオ司祭、ペルペートゥア、アニェーゼはインノミナートの城の中に難を避ける。/ ドイツ人傭兵隊が立去る。難を避けて逃げていた人々が故郷へ戻って来る。荒廃と飢饉。/ ペスト。その原因、当初の論争。ペストをひろめるといわれた「塗屋」。/ ペストの蔓延。恐怖、迷信、狂気。/ ドン・ロドリーゴが発病する。グリーゾが主君を見捨て、裏切ってロドリーゴを死体収容人であるモナットたちに引渡す。グリーゾの死。レンツォはペストに罹るが治り、ルチーアを探し出す決心をする。ミラーノへ向う途中、故郷の村に寄り、アッボンディオ司祭に会う。/ ミラーノにおけるレンツォ。市中の荒廃。チェチーリアの母。レンツォはルチーアがラザレットと呼ばれる避病院にいることを知る。ペストをひろめる「塗屋」と間違えられ追われるが、死体収容人たちの車に跳び乗って難を免れる。/ 避病院。レンツォはクリストーフォロ神父に再会する。瀕死のドン・ロドリーゴ。/ フェリーチェ神父の説教。レンツォは女の収容所内に入る。ルチーアとの感動的な再会。クリストーフォロ神父が生涯童貞を守るというルチーアの願を解いてくれる。/ レンツォは避病院を後にしたところで大雨に遭う。故郷の村に着く。ついで避難先のアニェーゼに会い、ベルガモへ行く。クリストーフォロ神父死去の報せ。/ ルチーアが村に帰って来る。アッボンディオ司祭はそれでもまだ結婚式を挙げることを躊躇する。ペストで死んだドン・ロドリーゴの地位を継ぐ人が村にはいって来る。ドン・アッボンディオは不安が解消してほっと喜ぶ。婚礼が行なわれる。新郎新婦は、アニェーゼとともにベルガモ領に移る。製糸場の入手。最初の子マリヤが生れる。物語の結び。

【著者紹介】
アレッサンドロ・マンゾーニ : 1785‐1873年。19世紀イタリア最大の国民作家。ミラーノの貴族出身。1827年発表の『いいなづけ―17世紀ミラーノの物語』は、近代イタリア語の規範を作ったとされる。1860年上院議員となり、イタリア統一の精神的指導者として国民的尊敬を受けた

平川祐弘 : 1931年東京生まれ。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • のっち♬ さん

    ドイツ軍の侵攻と共にペストが蔓延し、レンツォはルチーアの捜索のためにミラーノへ向かう。荒廃を極めたミラーノの記述は全編のハイライトとも言うべき筆力で、著者が「悪疫は接触によって伝染する」という当時ならではの認識を持っていようが、この価値は現代でも損なわれるものではないだろう。とりわけ死児の額に接吻する母親の姿は印象深い。悲惨な事件から明るく希望のある大団円への滑らかな場面転換は、著者の登場人物との冷静な距離の置き方がなせる技だ。「いい事をしようと考える方が肝腎だ、そうすればおのずと気持ちのいい目にも会う」

  • 翔亀 さん

    【コロナ43-3】 (中巻の続き)ペストは下巻に登場する。1630年のイタリア最後で最大のペスト。ミラノの三分の二が亡くなった。これがまたびっくりなのだ。ホフマンスタールによるとゲーテが、本書の唯一の欠陥として、一部歴史的資料が生のままに挿入され、詩人であることをやめてしまい年代記作者になってしまったと指摘しているというが、ペストの部分は異質だ。まさに歴史書のようにミラノのペストの流行の始まりから終わりまで、市当局の対策も含めて分析される。その悲惨さの描写は勿論だが、特筆すべきは、ペストの原因を人為的な↓

  • かごむし さん

    大きな作品だった。読み終わってすぐに感想を書こうと思っても、どこから書いていいのかわからない。聖も俗も、美しさも醜さも、人間とは切り離せないありのままのものなのだという荘重な宗教音楽を聴いた後のような気分でもあるし、個人を通じた群集を描くことで人の顔を持った集団というものが物語から見えてくる、とも言える。なににせよ、この作品の大きさは、人間の大きさであるわけで、それが平凡な一組の恋人たちに即して描かれるところが素晴らしいことだと思う。物語の面白さに引きずられてすごい所に連れていかれたなあと茫然としている。

  • syota さん

    色々な読み方が可能な作品だが、その中でも「過去を借りて現在を批判する」政治性に着目した丸谷才一はさすがだと思う。「長いものに巻かれるなといふ民衆へのメッセージ」「村の若者と娘の、暴君の圧政に対する抵抗と反逆の物語」という見解に納得。ただ信仰の書という側面も見逃せない。ペスト大流行の際に死を覚悟で献身的な働きをする僧侶たち、大悪党インノミナートの改心、物語の山場を貫く「汝の敵を愛せ」という聖書の教えなど、印象深いシーンはカトリックの信仰に裏打ちされたものが多い。この名作が日本でマイナーなのは返す返すも残念。

  • belle さん

    山々に挟まれたコーモ湖畔の描写から始まったこの長編も終わりを迎えた。来る者。去る者。それは人であり、戦争であり、恐ろしい病でもあった。出会いがあり、悲しい別れがあった。神を恐れぬ行為があれば、信仰の道をまっすぐに歩む人がいた。いいなづけ二人の結婚に至るまでの紆余曲折に最後まで飽きることなく読み進むことができた。そうこの小説はとても面白いのである。人物も風景もマンゾーニの見事な筆で物語られているから。そして平川祐弘氏の訳業に感謝。

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