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算∂ring さんのレビュー一覧 

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/01/14

    ハイティンク/バイエルン放送交響楽団の演奏で,ブルックナーの交響曲第5番に注目盤の登場である。2010年2月12日,ミュンヘンのフィルハーモニー・ガスタイクにおけるライブ録音。バイエルン放送響はまた何という魅力的で透き通るように美しい音楽を奏でることか!?その特質は,必要にして十分なホール・トーンと渾然一体となり,音符の一つ一つはまばゆい光を放ち,その場に居合わせた聴衆の感動をのせて消えてゆく・・・。第一楽章,模範的と言いたいほどの見事な立ち上がりから圧倒的な頂点が築かれる。一点,注意しておかなければならないのは,全編を通して,ティンパニや金管楽器にはみ出しは一切無いということだ。ということは,荒びた迫力はどこを探しても皆無ということになる。しかし,それに対して,根源的な迫力不足を嘆くのは野暮というもの。少なくとも,ハイティンク/シュターツカペレ・ドレスデンのブラームス交響曲第一番にみる不足≠ヘ,全くない。ハイティンクのバランス感覚を,尊重すべきだ。とにかく,この第一楽章は見事であり,完璧という人もいるだろう。そして,第一楽章のハイ・クォリティを途切れさせることなく,ハイティンク/バイエルン放送響は,第二楽章,第三楽章,そしてフィナーレへと着実に歩みを進めてゆく。しかし,まだまだ終わりではない。本演奏のクライマックスは,フィナーレのラスト3分半を待たなければならないのである。テンポを落とし,ややもすると押しつぶされそうになる程の音楽の重みに,耐えに耐えるバイエルン放送響。特に,土台を支える弦楽器群が凄い。なんという音力であろうか!巨大なコーダの幕開けに,息をつく暇もなく,まばゆい光を放ちながら,全ての音符がなだれ込む。瞬間,音楽を聴く喜びが,感動が,爆発する!!まさに,記念碑的な名演奏であるといってよいだろう。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/02/03

    Profilから素敵なボックス・セット(8CDs)の発売である。ブルックナーの第5番は1991年,コンツェルトハウスにおけるライヴ録音。直接音をしっかりとおさめ,低音域に余裕をもたせた見事なピラミッドバランスを楽しむことができる。ヴァント指揮のもとベルリン・ドイツ響は極限の燃焼度の高さを示す。その底力はいたるところで発揮され,オーケストラが一体となって鳴りきる威容は物凄い。金管の些細なミスにとらわれている場合ではない。特筆すべきは,少なくともこの1991年の演奏において,ヴァントの第5番は既に完成をみていたということである。BPO,MPOそしてNDRとの後年の演奏にみられるあらゆる特徴がここにあり,それら素晴らしき演奏群の原型であるといってよい。いつも思うのだが,ヴァントといえば厳しいばかりではない。第2楽章を聴けば”一聴瞭然”。こういうのを真に温かい演奏というのである。そして第1楽章,フィナーレの各コーダは,例えばBPO盤と比べて速さを感じさせるが,そこには一点の迷いもなく,あるのは美しくも凄絶なブルックナーの神髄である。前者は最高の音響美を誇り,後者を聴く者はいつしかこの上ない歓びに包まれることだろう。シューマンの第4番は1995年,コンツェルトハウスでのライヴ録音。音の傾向はがらりと変わるが,曲想にマッチした好感のもてる音質である。この曲には,近年の傑作にK.ザンデルリングのラストコンサート(harmonia mundi, 5CDs)がある。しかし今回のシューマン,これはちょっと凄いのではないか。ヴァントの指揮は冴えわたりセンス満点。それは第1楽章に顕著でほとんど即興的といってよいぐらいの自在感を示し,豊かなハーモニーが次から次に溢れ出る。弦楽器の処理に秘密があるのだが,このようなシューマンはかつて聴いたことがない。目眩を起こすほどに美しいシューマンである。最後にブラームスの第1番,第4番について。ヴァントにはNDRとの素晴らしい全集があるが,音の面で若干の不満を抱いていた方々もいるとのこと。本演奏にそのような心配は無用である。ヴァント・ファンの熱烈なブラームス党は快哉を叫ぶこと必至だろう。

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