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Review List of ほんず内閣総理大臣 

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     2013/08/09

    ま、期待通りの大演奏ですな。タイミング表に明らかなように、実に悠然としたテンポによる堂々たる進行。しかしながら、過剰な重さはありません。このオーケストラとの演奏はどれもそうですが、外への拡がりよりかは、むしろ凝縮した響きを主体としてきちんと整頓された合奏が特徴です。ここでも決して(名物の)爆演にはなっておりません。じっくりと落ち着いた語り口が魅力的です。壮麗さではマルティノンの再録音とかのほうがよほどすごいですぜ。フィルアップのルーセンベリは初めて聴く作曲家にして作品であります。こちらは結構パワフルな豪演でなかなかに楽しめます。録音は、ひょっとするとバランスに問題があるかもしれないですな。フルオーケストラでは量感がやや足りない気もしますし、一部では管や打楽器が抑え気味に聞こえたりもします。

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     2013/08/06

    全ての曲、どれもいかにもチェリビダッケらしい演奏であります。悠然としたテンポ、徹底して磨きあげる響き、それらはシンフォニーの方でもさんざん聴いたものでした。しかし正直、それを貫こうとすると声楽は大変に厳しいのでありまして、バッハも開始当初は驚嘆すべき見事さですが、あとになると疲労がやはり感じられます。そんな調子で、ヴェルディも同様、大曲ほど完成度に問題がありますかなあ。正直、他の指揮者のディスクに匹敵する(あるいは超える)「名演」は一つもないと思います。これらはあくまでも「チェリビダッケ劇場」であり、それぞれの曲の特徴をつかんでの再現ではありません。おそらくは、会場にいて演奏の現場でひたすらパフォーマンスの「拝聴」に専念するならば感服・感動はありえたのでしょうけれども、ディスクで聴く分にはなかなかに付き合いづらいのが事実でしょう。チェリビダッケがレコーディングを拒んだのも、家庭における再生ではそうした「舞台神聖祝典的」な彼の演奏の再現が不可能であることを自身よく承知していたからでしょうか。そして、他のディスクと比較した時にいかにも自分の演奏が持つ「異様さ」が際立つことを自覚し、比較され論評されさらには優劣を決せられることに我慢がならなかったのでしょうか。いろいろと想像してしまいます。超個性的な指揮者の特別なパフォーマンスとして受容するのがよろしいでしょう。

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     2013/08/05

    テミルカーノフさんのこの曲の録音、もう4回目にもなるのですか。それはまあ、周囲の期待もあってのことだと思いますが、これまでの録音はどうにも評価が高くない(当方、未聴)。といふことで、どんなもんかと恐る恐る聴いてみました。ライヴですが、興の赴くまま勢いに任せて突っ走った演奏ではありません。やや腰の重い、ずしっと構えた進行であります。録音の加減もあるのか、パンチ力が今一つで、彫りの浅い感じがしましてそこは不満だなあ。第3楽章は哀感が不足だし、第4楽章は完結感はあるけれどそこまではやや迫力を欠くしなあ。総じて充実感・満足感は今一歩。惜しいなあ。録音はまず良好。やっぱりこんなところでしたか。

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     2013/08/04

    とりあえずのボロディン交響曲全集。確かに際立った特色はなく、殊に有名な第2番でもかなり淡白な表現ですので、フェドセーエフやスヴェトラーノフのようなロシアの大先生たちの演奏でなじんでいると、これはいかにも浅い、芸が小さい、という印象もあります。ですがまあ、ボロディンのメロディー・楽想を素直に美しく表出したという意味ではむしろ単純に楽しめまして、大いに好感が持てるものであります。第1番も端正でよし。鄙びた味わいが魅力的な第3番(未完成)も実にいい感じ。総じて曲を素直に楽しめる好演かと存じます。録音は優秀。ボロディンの交響曲入門編として結構ではないでしょうか。満点にしておきましょう。

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     2013/08/04

    この演奏は、「東日本大震災で失われた幼き命への追悼コンサート」であります(2011年11月15日、大阪・いずみホール)。オーケストラもこのコンサートのためだけの特別編成だそうです。そういうイヴェント性を知ってしまうと演奏についてとやかく申し上げることが憚られてしまいますが、ディスクを購入した者としては遠慮することもないでしょうか。正直、演奏としては両曲とも「良い」とは言えません。少なくとも、これまでに多数リリースされている両曲のディスクに伍するレベルではありません。マーラー没後百年も兼ねての選曲のようですが、美しさに浸りきることもできず、一方、精緻な分析・再構成ともゆかず、どうにも落ち着かない演奏となってしまいました。表現の不徹底、それはあるいは災害の記憶の生々しさと、そして曲自体の表現する内容の生々しさとにひるんだところもあるのかもしれません。イヴェントの志の崇高さには心から敬意を持つものですが、演奏については全面的に肯定はできません。歌手も非力。恐縮ながらこれではいけません。ディスクで聴く演奏についてのみの評価です。お許しを。

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     2013/08/03

    みなさまのご要望通り、ブルーレイも発売されるようですな。さてこれは音だけのCDです。確かにアマチュアとは思えない確かな腕前に驚きます。よいホールでの響きのせいもあるかもしれませんが、充実した音色・響きにて脆弱さのない確かな音であります。ライヴでありなおかつ難曲でありますので、途中から若干ミスは目立ってきますが、ま、それは言わぬが花。健闘賞と敢闘賞は確実であります。ですがねぇ、特に身内でもなくてひいきをしないならば、やっぱり「表現」の不足は否めませんね。それは指揮者のせいでもありましょうかね。そのレベルまでは到達できなかったんだな。この曲、決してただの音響作品ではなく、登山をめぐるいろんな感情をいっぱい含んだ曲でありまして、名演はそこをしっかり表現しています。さすがにそこまではいかなかったなあ。「ティル」は完全にショウ・ピースですが、そこそこぼちぼち。録音は優秀。そんなとこすかねぇ。

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     2013/08/02

    亡きカルロスへのトリビュート・アルバム。「トリスタン」はほんのさわりだから別として、「未完成」とブラームスという大プログラム。で、このうちでは「未完成」が断然すばらしいと思います。指揮者の意思がこんなに全編通いまくった「未完成」は聴いたことがありません。各声部のバランスや旋律線の受け渡しなど、実に鮮やかなもの。そして二つの楽章のテンポ設定もなるほどと思わせるもの。第2楽章をゆっくり目にとって第1楽章とコントラストをつけるタイプの演奏が多いですが、カルロスはほぼ同じテンポ。しかし、表情付けが繊細で凝っているので、十分に鮮やかな対比・変化がついております。こうした究極の人工性を持ちながら、聴こえる音楽は実に自然。この「未完成」は、彼の偏執狂的なこだわりが最高にプラスに働いた名演といえましょう。一方のブラームスはそこまでの完成度はないかなあ。やっぱりその細部へのこだわり方が、こちらでは楽想の表わす「気分」と必ずしもマッチしていない気がします。なんかもっと「気持ち」をそのまま羽ばたかせた方が魅力的でしたかね。いい演奏であることは確かながら、それにとどまるかな。いずれの曲もウィーンフィルが実に厳しいプロならではの演奏を聴かせます。ウィーンフィルの魅力ではなく、(凄みのある)力を示していますね。録音は優秀。個人的には、カルロスさんは伝説・神話が先に立ち過ぎで、真に実力を発揮した録音はそんなにないと思いますが、大変な人だったことはこのアルバムでもよくわかります。

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     2013/08/02

    まだ30代初めのころのフリューベックさんの意欲作。で、これが、期待通りの実に結構な出来栄え。まあ曲が曲ですから、芝居っ気たっぷりに強弱や緩急をつけて、歌詞や曲想の「えげつなさ」を表出すればいいんです。フリューベックさん、それを臆面もなくやってくれました。いかにも!という感じの「見えを切る」場面が見事にはまってて、聴いていてうれしくなります。オケも歌手も好調。ウィルヘルム・ピッツ指導のコーラスも充実の限り。なお、独唱バリトンが二人いるんだね。珍しいな。録音も優秀。レンジはやや狭いかもしれませんが、バランスは良好だし、アナログのいい「艶」があって問題なしです。フィルアップのストラヴィンスキーは、正直、無くてもいいな。でも、聴いていると面白くてそれなりに結構でしょう。フリューベックさんの傑作。お薦めしましょう。

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     2013/08/01

    アバドさんの再録音。これが大変良い出来栄えです。いかにも個性的なところはありませんが、曲の特質をよくつかみ、聴いていて「ああ、いい曲だなあ」と思わせます。両曲とも内向きの繊細な抒情と抑制のあるパトスが共通で、そこをうまく表現しているのではないでしょうか。ベルリンフィルも重くならず、適度に厚みのある音で、ブラームスをしっかりと奏でます。いずれも好演。録音はやや冴えない気もしますが、これはオケの音色(ブラームスのサウンド?)のせいもあるのかな?

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     2013/08/01

    これはすばらしい!スヴェトラーノフ大先生による傑作。この大曲に対する姿勢は至って神妙で厳か。「美」などを感じるのは不謹慎だとでも言わんばかりの落着きを感じます。ライヴですが熱狂的な忘我などはかけらもなく、興に乗って駆けだすこともない。緊張を保って、ずっしりと手ごたえを感じさせる、重厚なアプローチですね。第1楽章展開部の感情と音響の見事に相俟った高揚は見事なものでしょう。そしてオーケストラが実に優秀で、引き締まった響きを保持しつつ、合奏も個人技も立派な腕を披露しています。何より、スヴェトラーノフの意図(意志)をしっかり汲んで見事に応えました。前のロシアとの録音がさっぱりダメでしたので、ホントに別人のような演奏。録音も優秀で大変に結構です。ですが、一つ大文句。ライナーノートは大野澄明なる人物(誰?)の文が載っていますが、これがひどい駄文。いろいろ何か所も文句はあれど一つだけ例示しましょう。「第4楽章が、第1楽章と並んで、この演奏の白眉である」とこの人は言います。白眉とは数多ある中で最も優れたものを指して言う語です。ところでマーラーの交響曲第9番は全4楽章からなり、このスヴェトラーノフ先生のタイミングは順に、29分19秒・18分8秒・12分37秒・24分45秒となっております。まず、四つしかない楽章のうち半分にあたる二つが「白眉」というのはいかにも奇妙であります(意味、わかってないんじゃないの)。まして、第1楽章と第4楽章をたすと54分4秒になり、全曲84分49秒のうち6割以上になり、それだけの大きさを「白眉」と称するなどとは表現上ありえないことは誰にも自明であります。どういう経緯でこういう人物の駄文が採用されたのか知らないけど、商品価値を下げますぜ。レコード会社は要注意。

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     2013/07/29

    セルおじさんのワーグナー、これが実にすばらしい傑作アルバムです。オーケストラは見事に充実した響きで、ワーグナーを聴く醍醐味、満点であります。特徴があるのはすでにご指摘のある「リエンツィ」で、テンポの緩急をつけた、いかにも「見得をきる」感じがあって、セルらしからぬ印象でしょう。でもライヴではセルは結構熱い演奏もしておりますし、そんなところの片鱗が出ました。「ファウスト」は珍しい曲。魅力的かといわれると「?」はつきまして、できるなら「ローエングリン」の第3幕の前奏曲か、「パルシファル」からちょっと欲しかったな。でもこれでも十分。録音も良好で問題なし。これはホントに傑作。セルおじさん、やっぱり偉い人だったなあ。

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     2013/07/28

    言っては悪いですが、聴く前から不安を拭いきれない感じのマイナーな演奏者による「レニングラード」。ネームヴァリューで偏見を持ってはいけないのですが、遺憾ながら予想どおりです。オケはメンバーが少ないんですかねぇ、特に弦の音がひ弱でちっとも響きの厚みを保てておりませぬ。木管は技量が劣り、いかにも頼りなさげ。金管はパワー不足。スロヴァークはこの大曲をどうとらえたのでしょうね、瞬間的に大音量が轟くことはあっても、長い流れの盛り上がりはいま一つで、ドラマ性に欠けます。総じて、不満足。予想が当たって、やっぱり残念。

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     2013/07/28

    2曲とも1957年の録音ですが、モノラルです。この時期ならもう普通にステレオでいいのにねぇ、残念です。開始早々、古めかしい音にがっかりしますが、聴いておりますと慣れてきて気にならなくなります。さて、シルヴェストリさんの「マンフレッド」は、ボーンマスとの激烈ライヴがありましてそれもよい出来でした。先立つこのセッション録音も同様なスタイルで、ずいぶんとダイナミックで起伏の激しい演奏です。第1楽章は音の古さがハンデになってちょっと中途半端。第2楽章は粘らずにすっきりとまとめ、第3楽章が白眉だなあ、強靭な抒情とでもいうべき熱さがあります。第4楽章は豪快に盛り上げ、ラストのオルガンも大音量で大迫力。ホントに録音の古さが惜しまれます。フィルアップの「タッソー」は初聴きで何とも言えませんが、ま、ほどほどの曲をそれなりに聴かせてくれました。といふことで、演奏はオッケー。

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     2013/07/28

    第8番が大変すばらしかったこのコンビのブルックナー。第4番はいかにもネゼ=セガンさんの資質に合いそうで、期待しました。で、予想通りの展開です。しっかりした歩みで、丁寧な音づくりを心掛け、ビューティフルな仕上がりです。ですが、こっちは曲の弱さと言いましょうか、冗長さをしのぐことができず、感銘度はやや薄いというところです。最もいい意味でのBGM的な「ロマンティック」としては結構なのですが。惜しいなあ。創立から30年ほどの若いオケはよく頑張っています。明確なポリシーを持ったなかなか見識のある団体らしいことがライナーノートに書いてありました。応援しましょう。録音は優秀。

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     2013/07/27

    ショルティさんとコロ様の『タンホイザー』、言わずと知れた名盤ですが、今回、ようやく全曲通してちゃんと聞いてみました。まずはコロのタイトルロール。まだ大変に若い声で、しかも精一杯の力演で、あるいは「絶唱」ともいえましょう。ただ、やはりその美声の開放にウエイトが傾いていて、いささか表現は単調かもしれません。「ローマ語り」も熱唱だけど力みすぎですね。他の歌手ではゾーティンが貫録のあるいい歌。ヴォルフラムのブラウンはなんだか爺むさい感じで、コロ(=タンホイザー)の友にして恋敵には聴こえないなあ。女声二人は特に何とも。コーラスは力強くも美しい立派なもの。ショルティの指揮は、いかにもこの頃のショルティだなあと思わせるスタイル。きっちりとした拍節、強弱のやけに明白なコントラスト、克明な音型の執拗な再現、そんな進行が特徴です。これも実演では結構安心できるスタイルかもしれませんが、若干ニュアンス不足、味わい不足の感はいたします。せっかくのウィーンフィルの表現力が生かされていないのは惜しいですね。録音は当時のデッカの特徴で、ステージでの動きを音像で再現しようとしたもので、第一幕後半での巡礼の合唱は右から左へかなり露骨に動いていきます。今となってはCDで音だけ聴く分にはこういう「演出」は煩わしい気がします。若干迫力が失せることともなっていますしね。また、中〜高音域が強めのバランスで低域が薄く、やや硬めで、ちょっと聴きづらい感もあります。音質自体は鮮明で優秀です。総じて、魅力的な要素もありますが、全体の感銘度は薄いという結果となりました。

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