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2人の方が、このレビューに「共感」しています。 2010/07/08
一般の愛好家の方は、ほとんどがネルソヴァとのブロッホ目当てに買われるディスクだと思われるが、私としてはガイザーの交響曲(第1番ニ短調)の初CD化が大変興味深く嬉しい。このCDのジャケデザインに入っているイラストが懐かしいOboussierとのLPの装丁だったが、これはもともとスイスの作曲家を紹介するシリーズのレコードだったようだ。アンセルメのこの録音のCD化は、よほどの機会がないと難しいと思っていた。 ガイザーの『交響曲』はいわゆる新古典派主義の系列になる作品だが、大変聴き易い作風で、全体の演奏時間も15分程度と短め。それこそマルタンやオネゲル、それからストラヴィンスキーの中期以降の作品などを好む方には十分楽しめるオーケストラ作品であることは間違いないので、まだ聴いたことのない方はぜひ聴いていただきたい(このアンセルメの演奏以外には他に一種類くらいしか録音がない)。交響曲の主要な主題はオネゲルが『火刑台上のジャンヌ・ダルク』で用いたものと同じスイス民謡(童謡)によっているので親しみ易く、第2楽章はこの主題による変奏曲になっている。他の楽章の主要なテーマやモティーフもこの童謡の音構造を基本に作られているため、作品全体の統一感が強く、大変聴きごたえある。この録音のCD化によって広く聴かれることで、このガイザーの素敵な交響曲がコンサートでも演奏される機会が増えることを、個人的な希望ながら期待したい。 Eloquenceのマスタリングは、ややヴィオラがLPよりも引っ込んだ感じで聞こえるために、ヴィオラが大事な声部を弾いているときに若干聴きづらくなるのが少し残念ではあるが、トータルの印象はこれまでこのシリーズで聴いてきた通り、満足出来る音に仕上がっていると思う。
2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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