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マーラー(1860-1911)

CD 【中古:盤質AB】 交響曲全集 マゼール&ウィーン・フィル(14CD)

【中古:盤質AB】 交響曲全集 マゼール&ウィーン・フィル(14CD)

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    Poirot  |  東京都  |  不明  |  2023年11月18日

    マーラーの全集としては,最も指揮(面白いが過剰ではない)とオーケストラ(うまいがメカニックには陥ってはいない)のバランスが取れたものの1つだと思うが,デジタル初期の録音が今ひとつという点が残念であったが,今回のSACD化で,録音の不満がなくなり(というより満足感が大きくなり=やはりウィーン・フィルはうまいだけでなく,音色に魅力があり,どれほど大きな音でもうるさくならない)素晴らしい全集となったと思う。

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  • ★★★★★ 

    伊東洋輔  |  神奈川県  |  不明  |  2014年08月23日

    ・・・マゼールの訃報が伝えられた時、「ああ、また一人巨匠が天へ召されたか」と嘆息したものだが、この全集は間違いなくマゼールの遺したレコードのベスト5に入れるべきものだろう。実は彼自身はマーラー・ブームのなかでインバルやシノーポリetcといった指揮者たちがしばしば、マーラーの神経症的・病的な部分を強調しようとしているのに寧ろ批判的で、たしか渡辺和彦サン(だったかな)との対談でも「マーラーは決して病人でも異常者でもない、ごく普通の音楽家だ」などと語っていたが・・・しかし実際の彼の振るマーラーは実演でも録音でも、ディテールの彫琢を施したアクの強いもので、かなり聴き手を選ぶタイプだと思われる。ただ、以前、イスラエル・フィルを振った第4番及び「巨人」を私は生で聴いた事があるが、そちらではこの全集とはだいぶ印象が違い、恰幅の良い、(良く言えば)おおらかな演奏をしていて(勿論彼にしては、だが)首を傾げた記憶がある。まあVPOとIPOの特徴を生かして作品のアプローチを変えただけ・・・なのかもしれないが、兎に角一聴に値する事は確かだ。

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  • ★★★★★ 

    氷の丈二  |  山梨県  |  不明  |  2014年03月16日

    このたびマゼール&ウィーンフィルとバーンスタイン&ニューヨークフィルを同時に購入し(今まではショルティを数枚持っていました買ったのは20年以上前)比較視聴しようと試みました。 結果、・・・・どちらも良い。 指揮者の意図と楽団の意思の疎通が出来た名演奏。 ショルティもマゼールもバーンスタインもみんな良い。 ここは、マーラーという偉大な作曲家を再確認したところ。

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  • ★★★★★ 

    クリングゾール  |  静岡県  |  不明  |  2013年10月22日

    マゼールのマーラーはいい!今から約四半世紀ほど前、FMで聴いたVPOとの7番を聴いて以来、マゼールのマーラーにはずっと魅かれていたのだが、正直言ってその理由が今まで良く分からなかった。この度改めて聴き直してみて、その素晴らしさにすっかり魅了されてしまった。多くの方が述べておられるように、このセットの最大の「売り」は、全曲がVPOである点にあるのは間違いないのだが、他の指揮者では聴くことの出来ないVPOの魅力を引き出しているのが、マゼール最大の功績と言えるのではないか。思うに、技術・才能といった点以上に、マゼールの資質はマーラーと本質的なところで似通っているのではないか?マゼールのアプローチは努めて純音楽的なものだが、そこからいろいろなものが聴こえて来るあたり、この指揮者の圧倒的とも言える情報力というか、様々なスタイルに通じている「カメレオン」的資質を表しているように思われる。マーラーは自らの書法を「バッハ的」と言っていたが、その言葉がまさにぴったりくるのが、このセットなのだ。この全集の演奏を聴くと、マーラーの特異なパーソナリティーは、もちろん表現されているのだが、それ以上に、伝統を継承した「ドイツ音楽」という印象を持つのは、わたしだけだろうか。それほど「普通に」聴こえる理由として、この演奏はなにより、マーラーのスコアにある室内楽的書法に焦点を当てているように思われる。激しいパトスの表出や、絢爛たるオーケストレーションの開陳の代わりに、複雑な線的動きの明確な表現、ソロ奏者の名人芸など、主に弱音部に魅力のある演奏になっている。そして、時折感じられる物足りなさの最大の要因は、デュナーミクの変化による感情表現が避けられているところにあるのではないか、と思われる。つまり、聴き手を興奮させるようなクレッシェンドや、意表を突く刺激的なフォルテシモは徹底的に避けられており、その代わりとして、様々な手練手管を駆使したテンポ設定やアゴーギグがつねに用意されていて、それがこの演奏を、クールだがしなやかで柔らかい、また情熱を底に秘めた、大変ユニークなものにしているのではないか。どの曲の演奏も大変美しく、BGMとしても聴けるマーラーだが、やはりそれではちょっともったいないと思う。個人的には、録音年代が後になるほど面白く聞ける。特に7・8・9番は、マゼールにとっても、なかなかいつもこうはいかないのでは、という出来だと思う。マゼールはこのVPOとの全集録音の後も、バイエルン放送響、NYP、フィルハーモニアとそれぞれツィクルスを行っていて、近日フィルハーモニアとのライヴ録音がリリースされるという。こちらも大変楽しみだ。

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  • ★★★★★ 

    marsstar  |  奈良県  |  不明  |  2012年03月25日

    きわめて素晴らしい演奏でした。マゼールの演奏は快演は有るのですがその反面、才走った性格からともすれば奇をてらう風な俗演になってしまう場合も多々あります。でも、このマーラーは違いました。そのいずれでもありませんでした。もちろんマゼールらしい斬新な切り口の部分もありますが、ウイーン・フィルの圧倒的技術力によってそれこそが正しい表現なのだと思えるほどの説得力がありました。それにしても、ウイーン・フィルの実力が凄いんです。ソロ楽器の音色、艶、コーダに至ってはうねり、地鳴りがしてきそうなほどに感じました。何度も聞きたくなる演奏です。

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  • ★★★★☆ 

    エーテルの風  |  長野県  |  不明  |  2012年01月28日

    ブーレーズのマーラーが『コンピューター的』だとすれば、マゼールのマーラーは『ロボット的』=それも具体的に挙げるなら、ウルトラセブンの第38話に登場した「クレージーゴン」のような、もうコテコテのロボットである。ここまで無感動に演奏しながら、少しも無機質な気がせず、むしろやっちゃった的愛嬌すら感じる。全体としてみるとまったくアンバランスなのだが、その瞬間瞬間は、ものの見事なアンサンブルしているあたり、マゼールの、常人には理解不能なまでの才能と言えるのだろうか?

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  • ★★★★★ 

    Erdinger  |  神奈川県  |  不明  |  2012年01月26日

    マーラーの交響曲は指揮者なら誰もが録音するような御時世になって、とても全部は聴くのが追いつかないが、このマゼール指揮ヴィーン・フィルの演奏は特筆すべき出来映えであると思う。マーラーが生きた19世紀後半〜20世紀初頭の中欧、ハプスブルク帝国末期の雰囲気を感じさせてくれるからだ。マーラーの音楽は、分離派、ユーゲントシュティール等、当時の芸術様式と分かちがたく結びついており、時代の空気を共有している。マゼールとヴィーン・フィルの演奏は、そのあたりを聴き手に如実に実感させる。マーラーのいくつかの作品の初版で装丁に使われた分離派やユーゲントシュティール様式デザインの音楽版と言ったら語弊があるが、表現がきめ細かく、色彩豊かで洗練されて、適度にモダンだが伝統的な手法も捨てていない。マゼールも相手がヴィーン・フィルだからこういうアプローチが可能になったのだろう。他のオケならこういう演奏は不可能だったのではないか。 マゼールはマーラーと同じくユダヤ系だったはずだが、血筋の共感から来る思い入れを込めた表現や、濃厚な情念の噴出を期待すると肩すかしを食う。彼の狙いはそういうところにはないからだ。しかし、第9番など、美しい響きのそこここに、第1次世界大戦が勃発して現実のものとなるカタストロフィの予感が秘められていることを、この演奏は忘れてはいない。 録音時期は1982〜85年(「千人」だけは1989年)だが、この頃はマゼールが年齢的(50代前半)にもキャリアでも円熟期を迎え、意欲と気迫十分で、より高みを目指す野望を抱いて「白い雲を見つめつつ坂を登っていた」時期でもあった。 マーラーの交響曲は大編成だが、練達の管弦楽法を駆使した轟然たる音響ダイナミックスで聴き手を圧倒する場面は実はさほど多くない。総奏部でなく楽器編成の薄い、いくつかのソロ楽器が室内楽風に音楽を紡いでいく部分こそが聴き所、核心部分である場合が多く、楽器が次々に交代しつつ旋律を奏でていく所など、新ヴィーン楽派、特にヴェーベルンの音色旋律に繋がる道を指し示している。そして、そうした部分におけるヴィーン・フィルの奏者たちの腕前は実に見事。フルートやクラリネット、ヴァイオリン・ソロ等のちょっと気取った艶やかな一節が、飾りのたくさんついたフェミニンなロングドレスにつばの広い帽子を被り、手には小振りな日傘を携え、小型犬を連れた女性たちが行き交う・・・・といった当時の光景を彷彿とさせ、聴き手をあの時代へといざなう。 また、遅めのスケルツォ楽章(例えば第5交響曲の第3楽章など)の3拍子がヴィーン風に訛ってスウィングすると、忽ち舞踏会ムードが醸し出され、マーラーの前半生がヨハン&ヨゼフ・シュトラウスと重なっていたことに気づかされる。ヴィーン・フィルは他の指揮者ともマーラーを演奏し、録音しているが、何故かこういう雰囲気は出てこない。 ただ、CDの音質に関してはいささか問題がある。録音された時期はデジタル録音の黎明期。録音機器もPCM1610systemから始まって、同じく3324system・・・・、と短期間に次々に更新されていったことが記されており、色々試行錯誤があったであろうと想像される。そして、最初に世に出た第5&6交響曲は当初LPとカセット・テープでの発売。だから、というわけではあるまいが、特に第5はLP(蘭プレス)の方が音色のグラデーションが豊富で、上記の演奏の特色は実はLPを聴いてのものだ。CDは何度か意匠を変えて発売されたが、マスタリングの更新は行われていない様子。CDの方は写真に例えると、明部は白く飛び、暗部は黒く潰れた、暖かみのない硬調なプリントのよう。ヴァイオリンやトランペットの高域は硬く冷ややかで聴き疲れする。だからCDを購入はしたものの、聴くのはもっぱらLPのみという有様。より後に録音された第1や「千人」のCDは十分に満足できる音質であるので、メーカーには、早い時期に録音された「復活」、第5、第6あたりの新たなマスタリングを是非要望したい。

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  • ★★★★★ 

    symphony No.5  |  三重県  |  不明  |  2012年01月01日

    80年代前半、マーラーをCDで聴き始めた頃は今ほどマーラーのCDはなくて、ショルティかマゼールか・・・という選択だった。当時はマゼールのマーラーを好きになれなかった。しかし、改めて全集を聴き返してみると、言い知れぬ懐かしさとともにマゼールのマーラーって悪くない気がしてきた。貴重な全集だと思う。ウィーンフィルも素晴らしい。

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  • ★★★★★ 

    kuzu2001  |  東京都  |  不明  |  2011年11月15日

    先のレビューでマゼールの新旧マーラー交響曲全集の演奏時間に触れているが、実際は6番や9番の両端楽章をはじめ、ニューヨーク・フィルとの新録音のほうがより長大な演奏になっているものも多く、「概して」の論は撤回。 それでも言えるのは、NY録音の方が、けれん味が充溢したマゼール節を楽しめるということ。だからこそ逆に、このウィーン盤が、落ち着いてマーラーを味わうには向いているということ。第3番の終楽章のいつ終えるとも知れない歩みの緩やかさは奇跡的だ。 2つの全集は、20年の時間を隔てた同一人物の指揮によるものながら、全く異なった印象を残した。すべてのマーラー好きに勧めはしないが、マゼール好きなら、両方聞いておくべきだろう。ついでに申し添えておくと、第6番のスケルツォは、NYでは当然第3楽章になっているが、ウィーン録音の80年代にはまだ第2楽章に置かれている。

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  • ★★★★★ 

    kuzu2001  |  東京都  |  不明  |  2011年11月14日

    ロリン・マゼールは、ウィーンのシュターツオパー(とウィーン・フィル)、ニューヨーク・フィルという、マーラーその人が活躍した2大楽壇のポストを踏襲し、それぞれのオーケストラでマーラーの交響曲全曲録音を残すという偉業を達成した最初の指揮者となった。もちろん時代の巡り合わせもあろうが、これはさすがにレナード・バーンスタインもなし得なかった。さらにこの2つの全集に挟まれる時期に、ミュンヘンで「大地の歌」を含む主要歌曲集も網羅している。 2000年代に録音され、NY時代のマゼールの数少ないスーベニアとなった2度目の全集は、NYPの公式商品だ。しかし現在のところネット配信のみのリリースで、特に日本から正式に購入できるのは圧縮フォーマットのみという事情からか無視されがちなのが残念。ちゃんと無圧縮の音源で聞くと、明晰な録音とライブならではの演奏のメリハリが際立つ快演揃いなのだ。そして一方この1980年代のウィーン盤にはそれとは全く違う魅力がある。 マゼールの芸風は、たっぷりとためを作り、ときには思いがけない脇役に雄弁に語らせ、ここ一番で大見得を切る芝居がかった演出を衒いもなく計算づくでやってのけながら、それが嫌みにならないところだ(いや、嫌みに感じる人もいるのだろうが)。先日の東京交響楽団客演での第1番では念の入った大技をこれでもかというほど繰り出して、圧倒的な感動を与えた。そうしたマゼールらしさのうち、華麗な効果は新しいNY録音の方に、丁寧な仕掛けはこのウィーン盤のほうに強く感じられる。力技に頼らず、スコアに書き込まれ、練り込まれたメッセージを一つずつ確認しながら前に進むような匠技の結果、演奏時間も概してウィーン盤の方が長い。 ウィーン・フィルというオーケストラで、しかも全曲ムジークフェラインザールでのセッション録音にこだわったことで、この結果が得られたともいえる。ステージの狭いこのホールで第8番を録音するなどという無理のために音場を犠牲にし、オーバーレベルのクリッピングとの戦いというデジタル初期の試行錯誤の中で、決して見通しがいいとはいえないものの、NYでもミュンヘンでもましてベルリンでもないマーラーを録り上げた苦労がそこかしこに聞こえる。それでも、無用な興奮を求めず、マーラーの音楽を噛み締めたい時に選択するのが、私にとってのこのボックスなのだ。

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  • ★★★★☆ 

    蓮華人  |  千葉県  |  不明  |  2011年11月13日

    とうとうここまで値段が下がったので買うとするか。単売で相当数持っているので、あえて買うまではとは思うのだが…。当初、CD時代の「王道」を行くかのような麗々しいウィーンフィルとの録音を期待したのだが、意外と鈍く、くぐもっていて、次は…次は…と期待した思い出がある。肩透かしのままだったが、フェラインザールの実際の響きからすれば「優秀録音」だったのかもしれない。演奏もどこか投げやりなところがあって、迫りくるものが感じられず、まあシニカルにやったのだろう。多分、届いてもすぐ聴くことはないかもしれないが、もしかすると「疲れないマーラー」をチョイスする日が来るかもしれない。

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  • ★★★★☆ 

    奈良の技芸天  |  奈良県  |  不明  |  2011年11月09日

    初めてCDで出たのは5番6番の3枚組で\9,000もしました。それが全集でこの値段、持っていないのは3番と7番。大半が重なってもこの値段なら買おうと思っているところ。一つだけ気に入らない録音がある。それは8番。タンノイなど同軸、あるいはフルレンジのスピーカーで聴いておられる方は気が付いておられると思うが、よく聴けばオーケストラの中に合唱が混じって聞こえます。他の録音と聞き比べて下さい。おかしいなと思って解説(買ったのは最初に出た国内盤)を読むと、録音立ち会い記が載せられていて、合唱を客席側に置き合成されている事がわかり、それが原因だと言う事がわかりました。いかによい音でとってもこんな不自然な聞こえ方では最悪の録音と言わざるを得ません。録音技師がモニターしてこれに気が付かずどんな耳をしているのか疑わざるを得ません。大変な苦労をして録音された事が立ち会い記に書かれているが、非常に残念で仕方がない。もしこの聞こえ方に気が付かれた方がいらっしゃれば共感するにチェックをお願いします。しかし大半の演奏は大変気に入っています。

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  • ★★★★☆ 

    充介  |  東京都  |  不明  |  2011年06月28日

    ウィーンフィルのマーラーを聴くならこの全集に止めを刺す。マニエリスト、マゼールの面目躍如といったところ。いつもの人工美がマーラーでは鼻に付かないどころか、特にディティールにおいて本領が発揮されている。だが過度に人工的にならないのはウィーンフィルのおかげだろう。正・反・合で、ウィーンフィルとマゼールの組み合わせは意外に新しいものを生み出している感じがする。残念なのは「大地の歌」が入ってないことと、4番のバトルがあまりに場違いなこと。マゼールならもっと他のソプラノを起用できたのではないだろうか。オケが万全なだけに極めて残念。

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  • ★★★★☆ 

    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2011年06月25日

    桁外れのレパートリーの広さと膨大な数のレコーディングを誇るマゼールであるが、本盤におさめられたマーラーの交響曲全集は、マゼールによる唯一のものである。マゼールほどその芸風を変化させた指揮者は、ワルターなど殆ど少ないと言えるが、本盤の録音当時のマゼールは、1960年代の前衛的で先鋭な演奏を繰り広げていたマゼールが1970年代から1980年代初頭のいわば中だるみの時期を経て、ベルリン・フィルの次期芸術監督を狙って再び野心的な演奏を繰り広げ始めた時期に相当する。この時期のマゼールの演奏のすべてが素晴らしいとは言い難いが、それでもベルリン・フィルと録音したブルックナーの交響曲第7番や第8番など、今なおその価値をいささかも失うことのない素晴らしい名演の数々を生み出していたのも事実である。本全集のメリットは、何と言っても全曲ともにオーケストラにウィーン・フィルを起用したことであろう。個別の交響曲をウィーン・フィルと録音した例はそれまでにも何度もあったが、全曲に渡ってウィーン・フィルを起用した全集は本盤がはじめてであり、その後も現在に至るまで皆無であると言える(DVD作品としてバーンスタインの全集があるが、第2番はロンドン響、大地の歌はイスラエル・フィルであった。)。いずれにしても、ウィーン・フィルならではの極上の美音が演奏全体を支配しており、これを聴くだけでも本全集の価値は高いと言えるのではないかと考えられる。そして、マゼールのアプローチであるが、テンポが実にゆったりしているのに大変驚かされる。バーンスタインやテンシュテットのようにドラマティックな劇場型演奏ではなく、むしろ曲想を丁寧に掘り下げて描き出していくという趣きがあると言える。しかしながら、随所に、いかにもマゼールならではの仕掛けが施されており、前述の中だるみの時期の演奏に時として聴かれたある種のあざとさが感じられないわけではないところだ。もっとも、ウィーン・フィルの懐の深い美演が、そのようなあざとさを感じさせる箇所を解きほぐし、演奏全体として格調の高さを損なっていないというのが素晴らしい。その意味では、ウィーン・フィルにはじまって、ウィーン・フィルで終わるという演奏と言えるのかもしれない。したがって、本全集をファーストチョイスとしてお薦めするというのはいささか気が引けるが、ある程度マーラーの交響曲を聴き込んだ熟達した聴き手には、マーラーの交響曲の違った魅力を発見することが可能な演奏として、一聴の価値のある全集と言えるのではないかと考える。また、本全集に交響曲「大地の歌」が含まれておらず、マゼールは本全集に併せて録音を行わなかったようである。マゼールは、その後、バイエルン放送響と同曲を録音(1999〜2000年)しているが、演奏はイマイチであることから、せめて本全集に併せてウィーン・フィルと録音しておけば、もう少しいい演奏を行うことが可能であったのではないかとも考えられるところであり、大変残念な気がするところだ。録音は、1980年代のスタジオ録音であり、従来盤でも十分に通用する素晴らしい音質であると言える。いずれにしても、マゼールの若干のあざとさを感じさせるアプローチなどを考慮しても、ウィーン・フィルによる美しい演奏、鮮明な高音質、そして約3600円という廉価を考慮すれば、★4つの評価が至当ではないかと考える。

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  • ★★★★★ 

    candi  |  福井県  |  不明  |  2011年02月09日

    ウィーンフィルの美しさを久しぶりに認知させてもらった演奏です。マーラーはこの演奏を軸にして聞くと理解できることがなんとたくさんあることか。レビューを信じて買って良かったです。しかも廉価版なのに2枚にまたがる演奏の隙間に別のシンフォニーの楽章が重複していないのが不思議です。演奏内容もじっくり酔え、素晴らしいと思います。

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