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CD エミール・ギレリス/DG録音全集(24CD)

エミール・ギレリス/DG録音全集(24CD)

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    Papachan  |  北海道  |  不明  |  2016年06月15日

     誰が言い出したのか、ギレリスのピアノは「鋼鉄」と比喩され、彼の演奏は常にそのイメージ、いや先入観をもって聴かれてしまったように思います。しかしながら、この「鋼鉄」は、あまりにも一面的な評価にすぎません。実際の音に耳を傾ければ、どれほどの透徹したリリシズムをもっていたかはすぐにわかります。このセットで特に驚いたのはショパン、とりわけ第3ソナタ、第3楽章の表現の深さ、そして第4楽章の冒頭の鮮烈さには驚きました(恥ずかしながら、彼がショパンを録音していたことは、このセットを開けるまで知りませんでした。お粗末)。しかしながら、なぜ☆4つか。協奏曲がいけません。モノラルの「皇帝」は見事です。しかしステレオの協奏曲はいけません。ブラームスはヨッフムの指揮が鈍重(スケールが大きい、とはまるで違います)で、せっかくのピアノの名演をぶちこわしにしています。よく比較対照されるゼルキン/セル盤には、ピアノではなくオーケストラの差で遠く及びません。第2番はライナーとの旧録音のほうが、オーケストラははるかに素晴らしい(ピアノだけなら新録音のほうがいいとも思えますが)。モーツアルトは、もっといけません。巷ではベームのモーツアルトは高評価で、神聖視する人さえいますが、何も考えていないのではないのかと思えるくらい凡庸の極み。27番だけとっても、同じウィーン・フィルによるカーゾン/セル盤のバックとは雲泥の差。したがってギレリスのピアノもいまひとつさえないという感があります。それでも、ブラームスの独奏曲(とりわけOp.116が素晴らしい!)、グリーグの抒情小曲集などの名演がそれを補って余りあります。ベートーヴェンのソナタ全集が完成できなかったのが何とも惜しいのは言うまでもありませんが、残された素晴らしい演奏に耳を傾けることにしましょう。

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