『いばらの冠のミサ』 ピーター・フィリップス&タリス・スコラーズ
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mimi | 兵庫県 | 不明 | 2019年08月04日
The Tallis Scholarsが、Josquin、Palestrinaと共に、レパートリーの3本柱とする、自国イギリスのルネサンス音楽、中でもTavernerはMissa Gloria tibi Trinitasを2回も録音していることから、特に愛着を持っている作曲家なのでしょう。Josquinより数十年あとの時代であるTavernerは、フランドル楽派の非常に練れたポリフォニーを基礎に、英国独特の夢見るような上声部の旋律と、強烈に甘いハーモニーを軸に、一瞬たりとも濁りの無い音楽であり、このような作品における演奏はThe Tallis Scholarsのまさに独壇場と言えるでしょう。あまりにも響きの良さが勝ってしまうこの時代のイギリス・ルネサンスの特徴として、JosquinやOckeghemの、あくまでも厳格な多声構造による、強烈な表現力は一歩も二歩も譲るところはありますが(これらフランドル楽派の巨匠に匹敵する作曲家としてはW.Byrdを待つことに)、それでも大陸の作曲家にはない、極上の美しさを備えた名品であり、それをThe Tallis Scholarsが同国人としても情熱を込めて歌い上げています。正直申し上げると、このようなスーペリウムの旋律が有意になる作品として、現在のThe Tallis Scholarsは、やや女声部の精緻さが以前に較べると劣っており、満足できない部分もないではありませんが、それでも世界最高レベルであることは変わりないので、ここに文句をつけるのは贅沢の極み、というものなのでしょう。イギリス・ルネサンスの貴重な名品を上質な演奏で堪能できる機会として、多くの古楽ファンにお薦めできる盤と思います。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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