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サリエリ、アントニオ(1750-1825)

DVD 歌劇「タラール」(1988年、ドイツ、シュヴェツィンゲン音楽祭) クルック/ラフォン/マルゴワール/ドイツ・ヘンデル・ゾリステン/他

歌劇「タラール」(1988年、ドイツ、シュヴェツィンゲン音楽祭) クルック/ラフォン/マルゴワール/ドイツ・ヘンデル・ゾリステン/他

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    otopon  |  東京都  |  不明  |  2010年09月30日

    サリエリのオペラも徐々に発掘/再演が進んでいますが、CDによる音盤が中心で、2010年9月現在日本で字幕つきの映像として観られるものは、CSのクラシック専門局で時々再放送される「見出されたエウローパ」と、DVD化された「ファルスタッフ」および「タラール」の3作品くらいではないかと思います。この3作品、作曲年代も作品のスタイルも異なり、3つすべてに触れられれば、はからずもサリエリの多才な面を知ることができますが、それはつまり、1つだけを観て「サリエリのオペラとはこのようなものか」とは思わないほうがいいということでもあります。 「エウローパ」はプリマドンナの超絶技巧を堪能できる迫力のあるセーリア、「ファルスタッフ」はキャッチーなアリアを多く擁するこれぞウィーン古典派のコミック、しかし、「タラール」はそのどちらでもなく、歌手の技巧やアリアよりも演劇性やドラマ性を追求した音楽作りで、音楽劇と呼んでもいいほどです。 さて、その「タラール」、パリのオペラ座のためにフランス語台本に作曲され、様式は序章+5幕からなるいわゆるグランド・オペラのはしりです。合唱を多用することで舞台全体の雰囲気を維持しつつドラマティックな効果を高めます(これはエウローパにもみられます)。レチタティーヴォのほとんどはオーケストラで伴奏され、短く簡潔なアリアとシームレスにつながっていきます。つまり歌が独走せずドラマにピッタリ寄り添っている感じです。おかげで、観終わった後、良い音楽を聴いたというよりも、良い舞台を観たという気にさせられます。しかし、冷静になって物語を箇条書きにしてみると他愛もない話だとわかります。そしてあらためて、物語にハクをつけていたのはサリエリの音楽であったことに気付かされます。当代きってのオペラ作曲家サリエリ、面目躍如たるものがあります。このような形になったのは、伝記本によるとウィーンとは違うフランス歌劇の様式やパリの歌手のレベルに合わせる必要があったことと、グルックからの影響などがあるようですが、ともあれモーツァルトの三大オペラのようなケ(叙唱/台詞)とハレ(アリア)のコントラストの世界を想像していると、この作品では面食らうと思います。 もっとも、音楽そのものは盛りだくさんです。サリエリの作曲スタイルは基本的には直球ド真ん中のウィーン古典派ですが、本作ではほかにも歌謡曲風、オリエント風、民謡風バレエ音楽と多彩です。要するに音楽が目立たないというわけではなく、たとえばバレエ・シーンは王のための宴という設定で対話を挟みながら展開されるなど、物語との整合性を意識してドラマと音楽が乖離しないように努めているのです。 台本は「セビリアの理髪師」や「フィガロの結婚」の原作者として知られるボーマルシェが書き下ろしたもので、「タラール」の音楽を大変気に入り、次回作もサリエリに作曲してもらうよう熱望しましたが実現はしませんでした。暴君が倒される筋書きはフランス革命直前のパリでは大ウケだったようですが、ボーマルシェもサリエリも進歩的な考えを持ちながらも革命のありかたを全面的に肯定していたわけではなく、特にサリエリは革命後の政情不安定なフランスを敬遠していたようです。むしろ本作のラストはナポレオンの戴冠を予言しているかのようです(少なくともDVDの演出ではそう思わせようとしています)。 このDVD、画質はさすがに80年代という感はありますが状態は悪くありません。シュヴェチンゲンはこの演目には小さい舞台だと思いますが、小さいなりに様々な演出上の工夫があります。不満なのはカットされている曲がありそうなこと。この作品は、神の実験という外枠の物語の中にタラール達人間の物語があるという入れ子構造になっていて、異なる序曲が2度演奏されます。序曲→序章→序曲2(第1幕序曲)→第1幕… という流れなのですが、序章と第1幕の間の序曲2が丸々カットされています。これは後に本作から神のシーンを除いてイタリア語用に改作された「オルムスの王アクスール」の序曲として知られる曲と同じものですが、原作の「タラール」でも本来は演奏されるはずです(スコアで確認しました)。いや演奏されなかったというよりはビデオの編集上カットされている感じです。映像は今のところこれしかないのですから、できるだけ完全な形で収録していただきたかったと思います。日本語字幕、日本語メニュー共に揃っています。ただし、字幕は学生に訳させたのかと思うほどつたないものです。詩的でもなければ伝わりやすくもありません、ないよりはずっとマシですけどね。ノーカットで字幕がもっと良ければ★は5つにしたかったのですが。 余談ですが、DVDパッケージに主人公のタラールが写っていません、表だけでなく裏にも。内容を観た人が作ったジャケットではない気がします(笑)。サリエリ不遇の時代はすぐには終わらないようです。

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  • ★★★★☆ 

     |  広島県  |  不明  |  2009年10月31日

    サリエリは、映画『アマデウス』でもよく知られるように、モーツアルトと同じ時代を生きた。しかし、その様式はウイーン古典派というよりは、バロックの末裔であるかのようだ。それでも、この『タラール』でも、オリエントを題材に、当時流行のトルコ風音楽をも取り入れるなど、新しい試みにも余念がなかった。もっとも、モーツアルトの『後宮からの逃走』が1782年、『タラール』が1787年だから、ここでもモーツアルトの後塵を拝してはいるのだが。シュヴェツィンゲンのステージは狭いが、マルティノティの演出はなかなかに変化に富んでいる。歌手陣は必ずしも個性的とは言えないが、マルゴワールの音楽は素敵だ。画質もかなり良好。

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