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グラナドス (1867-1916)

CD 『ゴイェスカス』 クン=ウー・パイク

『ゴイェスカス』 クン=ウー・パイク

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    ねこ  |  大阪府  |  不明  |  2022年10月29日

    異色の名演である。先だって、大阪で「ゴイェスカス」のみのコンサートで熱っぽい演奏(ホールが狭くパイクの音楽を100%響かせることができなかったように思われた)で確認したところでもある。この日からこの曲が頭から離れない。異色と言ったのは、ラローチャは別格としても、チッコリーニやルイサダに感じた、明晰な響きを背景に小粋でキリッとした歌い回しで「愛」を語るという風情とは大きく異なる。いままで彼らの演奏に聞き慣れた耳からすれば違和感とまでは言わないまでも、従来の趣とは大いに異なる異次元の演奏であることは確かである。第1曲目の「愛の言葉=口説き文句」からして大きく違う。甘く切なくやるせない情感を感じさせながら、若者の男女の恋物語をきりりとしたタッチで浮かび上がらせる語りではなく、例えようもない澄み切った目の奥に深い情念をたたえて大事な文句だけを鍛え抜かれた音の連なりで表現する大人の恋物語であり演奏である。その深々とした音は実に重く太々でドラマチック(小粋とは真逆)。しかし、メロディーラインにおいては「おや?」と思うほどに彼の指先から恋に拘泥した心を温かくほぐすように感じることができた(これこそが彼の目指す「愛」の形かと)。誤解されないように念のため言っておくが、チッコリーニやルイサダ等々の演奏が軽薄で深みのない安っぽい演奏と言っているのではない。で、この重厚で厳しい表現は終曲まで緊張が途切れることなく延々と続く。よって、本来組曲には含まれない「わら人形」が終曲の「幽霊のセレナード」で幽霊がギターをつま弾きながら消え去った後に演奏されたとき、我々の耳は「愛の言葉-愛憎の綾」の呪縛から解き放たれ、我に返る-現実世界にひきもどされたような錯覚に陥るのである。この対比の妙は素晴らしく、実演では更に見事であった。最後に、ハードカヴァー・ブックは洒落ていて、パイク自身が撮影したスペインの風景写真も多く視覚的にも楽しめる。付録に絵はがきも2枚封入されている。でも最大のご褒美は、CDのラベル印刷にある。限定盤なのでお早めに購入することをお勧めします。

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