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CD プロコフィエフ:チェロ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ラフマニノフ:ヴォカリーズ キャサリン・ヒューギル、ヴラディーミル・アシュケナージ

プロコフィエフ:チェロ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ、ラフマニノフ:ヴォカリーズ キャサリン・ヒューギル、ヴラディーミル・アシュケナージ

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    ココパナ  |  北海道  |  不明  |  2021年07月06日

    “From Darkness to Light”というタイトルが与えられている。ヒューギルによると、「2つのソナタがもつパッセージの暗さに基づくものだが、それらは普遍的かつ希望的な解決へと導く可能性を内在している」とのこと。独奏チェロを担うヒューギルはシドニー交響楽団の首席奏者。2009年から12年まで同オーケストラの首席指揮者であったアシュケナージと、形を変えての協演は、感慨深いものもあるだろう。そのアシュケナージのピアノは、室内楽として理想的なものに感じられる。崩れないバランス、チェロ奏者の表現を踏まえたこまやかなアクション、運動的な個所であっても、客観的な視点をつねにキープした造形性。アシュケナージは、これらの2つのソナタを、1988年にハレルと録音しているが、それと比べても、さらに完成度が高まった感がある。プロコフィエフは、第1楽章の薄明かりの下の不安を感じさせるメロディーと憂鬱な情感がとてもきれいな繋がりをもって奏でられる。第2楽章はウィットな感覚と叙情的なフレーズの役割分担が明晰に表現されており、チェロの適度に艶やかな音色に軽やかに沿うピアノの距離感が抜群だ。第3楽章ではロシア民謡の影響を受けたリズムがほどよい活力で表現されていて瑞々しい。プロコフィエフのチェロ・ソナタという楽曲における現代を代表する録音と呼ぶにふさわしいだろう。ショスタコーヴィチのチェロ・ソナタは、28歳のショスタコーヴィチか書き上げた作曲者最初の大規模室内楽である。4つの対比感のある楽章から構成される。ショスタコーヴィチらしい不穏さはあるものの、作曲者特有のダークさはそこまで色濃くはなく、むしろ彼の作品の中では保守的なものとして分類されることが一般的だ。ヒューギルとアシュケナージは、純音楽的なアプローチといって良く、自然なアーティキュレーションで、しなやかな流れを形作る。楽曲本来の姿を正しく伝えながらかつ味わい深い大家ならではの演奏だ。第3楽章のラルゴにおける透明な情感、そして以外に小規模でスケルツォ的性格をもつ第4楽章の一貫した流れの美しさにとくに感銘を受ける。末尾に収録されているヴォカリーズは、アメリカのチェリスト、レナード・ローズによる編曲版が用いられている。淡さの中にいるようでいて、気がついいた時には、深い情緒の薫りの中に誘われている演奏で、アルバムを美しく締めくくる。

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