NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ/松下眞一
作曲家でもあり、日本有数の数学者でもある松下眞一の作品集です。初期の作品は、ブーレーズを始めとしたヨーロッパの前衛音楽の影響を強く受け、セリー形式や電子音楽を積極的に取り入れ、自らの語法を確立しました。この時期に書かれた『カンツォーナ・ダ・ソナーレ第1番』は、聴きようによってはフリー・ジャズ(?)とも思えるほどの即興性が感じられる興味深いものです。1965年に客員教授としてハンブルクに渡欧(数学の分野で)、滞在先でシュトックハウゼン、ペンデレツキ、ノーノら著名な作曲家たちとも交流し、サットマリーやイヴォンヌ・ロリオら演奏家たちも彼の作品を取り上げるなど、作曲家としても実り多き日を過ごしました。1970 年代の後半から、作風はロマン派的なものへと回帰していくことを考えると、この当時の作品が最も前衛的であり、また様々な試みがなされたものと言えるのかもしれません。(NAXOS JAPAN)
【収録情報】
松下眞一:
・カンツォーナ・ダ・ソナーレ第1番 (1960) 初演
竹前聡子(ピアノ)
山口浩一、佐藤英彦、熊谷弘(打楽器)
若杉弘(指揮)
録音時期:1960年9月12日
録音場所:朝日講堂(第1回東京現代音楽祭)
録音方式:モノラル
・ゲシュタルト17 (1970)
伊藤清、関根五郎、牧野守英(トロンボーン)
ウルズラ・ホリガー(ハープ)
本荘玲子(ピアノ、オルガン)
山口保宣、有賀誠門、百瀬和紀(打楽器)
山岡重信(指揮)
録音時期:1970年2月6日
録音場所:東京文化会館(第4回日独現代音楽祭)
録音方式:ステレオ
・ピアノ四重奏のための『結晶』 (1968) 初演
三宅榛名(ピアノ)
林瑤子(ヴァイオリン)、瀬尾麗(ヴィオラ)、岩本忠生(チェロ)
録音時期:1967年7月8日
録音場所:朝日講堂(日独現代音楽演奏会)
録音方式:モノラル
・管弦楽のための『星達の息吹き』 (1971)
読売日本交響楽団
山岡重信(指揮)
録音時期:1970年2月13日
録音場所:虎の門ホール(現代の音楽展'70)
録音方式:ステレオ
・ピアノのためのスペクトル第4番 (1971) 初演
平尾はるな(ピアノ)
録音時期:1972年2月28日
録音場所:東京文化会館(第6回日独現代音楽祭)
仕様:HQCD (Hi Quality CD)
解説:芝池陽子(楽曲解説)、諸石幸生(演奏論等)
【NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ】
NHKの協力のもと、戦後の日本現代音楽の時代の空気が当時の演奏で甦る!
「NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ」は、戦後の日本音楽シーンを代表する邦人作曲家に焦点をあてたCDシリーズです。収録音源は全て、NHKラジオ番組「現代の音楽」で過去放送された番組のマスターテープから編集・リマスタリングを行い、マスターの再現性においてきわめて評価の高いHQCD(Hi Quality CD)でリリースします。NHKの協力の元、希少価値の極めて高い録音のアーカイブ化を実現しました。代表作の初演や未発売作品のライヴ録音を中心に収録。日本人の創りだした音楽が、作曲当時の時代の空気とともに今ここに甦ります。
【NHKラジオ番組「現代の音楽」について】
戦後間もない1947年のラジオ番組「日本の音楽」などを前身として、1957年より日本の現代音楽の有り様を今日まで伝えている番組。現在の放送時間は、毎週日曜18:00-18:50。柴田南雄、上浪渡、白石美雪、西村朗などが歴代の解説を務め、2009年からは猿谷紀郎が担当。邦人作曲家から海外の著名な作曲家まで、音楽祭や作曲賞本選会などのライヴ録音を中心に放送。(NAXOS JAPAN)