「時を超える価値」を求めつづけた旅の跡を
エストニアの作曲家の作品でたどるアルバム!
「音楽は、つねに比類なく、光と同じように私たちに触れ、そのスペクトルいっぱいに私たちを豊かにする」。エストニアのチェロ奏者アッラル・カーシクが、「時を超える価値」を求めつづけた旅の跡をエストニアの作曲家の作品でたどるアルバム『時を超える光』。ウクライナ出身のガリーナ・グリゴリエヴァ[1962-]の作品が2曲。祭壇の前に跪き、祈りを捧げる人の姿を音楽イメージとしたサクソフォーンとオルガンのための曲を改作した『祈り』。チェロという楽器の色彩と表現をいっぱいに活用し「無伴奏チェロの個人的な告白」の音楽とした『レチタティーヴォ・アコンパニャート』。クルダル・シンク[1942-1995]の『主よ、われらを憐れみたまえ』は、田舎の静かな暮らしと丘の散歩をこよなく愛したという作曲家の「真理を求めた人間の音楽による遺言」。トヌ・コルヴィツ[1969-]の「はるか遠い国を舞台にした音楽による童話」『7羽の鳥の7つの夢』から選んだ4曲を「切れ目なく演奏される4楽章」としたチェロと合唱のための作品。アルヴォ・ペルト[1935-]がロストロポーヴィチに献呈した『プロ・エ・コントラ』は、作曲者から手稿譜の写しを渡されていたカーシクが「歌う革命」(1987〜1991年)の際、ペーテル・リリエ[1950-1993]指揮エストニア国立交響楽団の共演でエストニア初演した作品です。エルッキ=スヴェン・トゥールの『スペクトラム IV』は、チェロがオルガンを設置したロフトではなく祭壇の前で演奏、チェロとオルガンを隔てる「教会の空間」を「アンサンブ
ルの第3の演奏者」とした作品です。
「私にとって、教会に響く音楽はミサの一部」(カーシク)。シンク、コルヴィツ、エルッキ=スヴェン・トゥール[1959-]は新録音、その他は、ERR(エストニア公共放送)と Forte Recordsの新旧録音をリマスタリングして収録。2018年のエストニア独立100周年に捧げるアルバムとして制作されました。(輸入元情報)
【収録情報】
1. グリゴリエヴァ:祈り (2005/2013)〜チェロと男声合唱のための版
2. シンク/カーシク 補筆完成:主よ、われらを憐れみたまえ (1994/2012)〜チェロ独奏のための
3. コルヴィツ:『7羽の鳥の7つの夢』抜粋 (2009)〜チェロと合唱のための
4. ペルト:チェロ協奏曲『プロ・エ・コントラ』 (1966)
5. グリゴリエヴァ:無伴奏チェロ・ソナタ『レチタティーヴォ・アコンパニャート』 (2003)
6. トゥール:スペクトラム IV (2004)〜チェロとオルガンのための
アッラル・カーシク(チェロ/Benoit Fleury 1763:1,2,5 Justin Derazey 1869:3,4,6)
ミック・ウレオヤ指揮、エストニア国立男声合唱団(1)
マリス・シルマイス指揮、ラトビア国立合唱団(3)
ペーテル・リリエ指揮、エストニア国立交響楽団(4)
クリスティーネ・アダマイテ(オルガン:6)
録音:
2014年2月20日 タリン、エストニア・コンサートホール(1)
2016年5月9日 エストニア、ヴィームシ、聖ヤコブ教会(2)
2014年4月4日 エストニア、パルヌ・コンサートホール(3)
1988年 タリン、エストニア・コンサートホール(4)
2014年3月3日 タリン、エストニア・コンサートホール(5)
不詳 ヘルシンキ、聖ヨハネ教会(6)
【アッラル・カーシク(チェロ)】
アッラル・カーシクは1949年生まれ。モスクワ、ラトビアのリガ、エストニアのタリンでチェロを学び、エストニア国立交響楽団とエストニア国立歌劇場管弦楽団の首席チェロ奏者を務めています。タリン室内管弦楽団とバロッコ・レヴァリエンシスで演奏、ホルトゥス・ムジクスの創設メンバーでもあります。教育者として、東ヘルシンキ音楽学校とシベリウス・アカデミーで教え、ヨーロッパとアメリカでマスタークラスを主宰してきました。作曲者との関わりも深く、このディスクの作曲者の他、ペンデレツキ、ラウタヴァーラ、シュトックハウゼン、ヘルムート・ロゼンヴァルト、エステル・マギ、ウルマス・シサスク、ペーテリス・ヴァスクスに代表される作曲家と共同作業を行っています。(輸入元情報)