Kei Koito: Organ Music Before Bach-works By Pachelbel, Froberger, Muffat, Etc

小糸 恵 / バッハ以前のオルガン作品集

スイスを拠点に活躍するオルガニスト、小糸 恵の演奏がドイツ・ハルモニア・ムンディから登場。収録内容は、得意領域であるバッハ以前の作品集。
　アルバムの幕を勢いよくあけるパッヘルベルの短い「トッカータ ニ短調」に続いて演奏されるのは、同じくパッヘルベルによる「シャコンヌ ニ短調」。穏やかな中にもバッハのパッサカリアを思わせる要素が色濃い作品で、録音が優秀なため、ペダル音の重低音にも凄いものがあります。バッハの父親世代のヨハン・パッヘルベル[1653-1706]は、バッハ一族とも交流があったということなので、直接的な影響があったのかもしれません。
　続くゲオルク・ムッファト[1653-1704]は、イタリアとフランスで学び、オーストリアとドイツで活躍した作曲家。「トッカータ第1番」は、壮麗なサウンドが印象的な作品。
　動的なトッカータの次は、静的なパッヘルベルの「ファンタジア」。瞑想的な美しい作品で、続く愛らしい小品『高き天よりわれは来れり』と共に静かで心地よい雰囲気を醸し出します。
　再びにぎやかな活気をもたらすのは、フランスの影響を受けドイツで活躍したヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー[1656-1746]のリチェルカール。バッハの平均律の先駆けとなった作品ともいわれるものです。
　そのほか、バッハに多大な影響を与えたと思われる作曲家たちの作品を中心に収録しています。
　使用された楽器は、南ドイツ、ヴォルフェックの聖カタリナ教会に据え付けられているバロック・オルガンで、1736年にヨハン・ヤーコプ・ヘルが製作、2008年にヘルマン・ヴェーバーがレストアしたものです。
　その楽器の音を見事なサウンドで捉えたのはジャン＝ダニエル・ノワールの運営する、ローザンヌ近郊の録音プロダクション「JDN Enregistrements」。

【小糸恵】
京都生まれの横浜育ちで、東京藝術大学、ジュネーヴ音楽院で学び、現在はスイス在住でローザンヌ音楽院の教授も務めるオルガニストです。
　小糸恵は長年に渡るヨーロッパでのオルガン演奏の実績から、数々の国際オルガン・コンクールの審査員としても招かれており、さらに1997年にはローザンヌでバッハ・フェスティヴァルを創設し、初年度から芸術監督として活躍、レオンハルトからも賛辞を得るなど高い評価を受けていました。
　バロックから現代作品まで幅広いレパートリーを持っていますが（最初のころは作曲も行っていた）、とりわけバッハとバッハ以前の歴史的オルガン作品には定評があり、それらの録音はグラモフォン誌やディアパゾン誌の高い評価を得てもいました。（ＨＭＶ）

【収録予定曲】
● パッヘルベル：トッカータ ニ短調 [1:58]
● パッヘルベル：チャッコーナ（シャコンヌ） ニ短調 [5:25]
● ムッファト：トッカータ第1番 [5:07]
● パッヘルベル：ファンタジア ニ長調 [5:05]
● パッヘルベル：『高き天よりわれは来れり』[1:40]
● フィッシャー：Ricercar pro Festis Pentecostalibus [1:25]
● フィッシャー：シャコンヌ ヘ長調 [4:28]
● パッヘルベル：トッカータ ト短調 [1:49]
● パッヘルベル：シャッコンヌ ト短調 [9:26]
● パッヘルベル：ファンタジア ハ長調 [2:22]
● パッヘルベル：トッカータ ハ長調 [1:52]
● ムッファト：シャコンヌ ト長調 [2:44]
● ヨハン・カスパール・ケルル：パッサカリア ニ短調 [6:51]
● フローベルガー：リチェルカーレ ニ短調FbWV.411 [3:28]
● パッヘルベル：プレリュード ホ短調 [1:25]
● パッヘルベル：フーガ ホ短調 [1:27]
● フローベルガー：カンツォン第5番ト長調FbWV.305 [2:50]
● フィッシャー：リゴードンと変奏 [4:22]
● フィッシャー：パッサカリア ニ短調 [5:34]
● フローベルガー：メディテーションFbWV.611a [3:23]
● ムッファト：トッカータ第10番 [5:56]

　小糸 恵（オルガン）

　録音時期：2014年6月
　録音場所：ドイツ 、ヴォルフェック
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）