2014年ジュリーニ生誕100周年記念
1970年代最充実期の極上ライヴ演奏の数々が
お求め易いセットになって登場
2014年に生誕100年を迎える、イタリアの名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニ[1914-2005]を記念して、「Profil」よりリリースされたアルバム5点をまとめたお得なセットが登場。
ジュリーニがケルン放送響、バイエルン放送響を指揮したライヴ演奏の数々は、シカゴ交響楽団首席客演指揮者のポストを得て、巨匠が欧米双方でもっとも精力的に活動していた1970年代におこなわれたものです。ブラームスの第1交響曲、ドビュッシーの『海』、フランクの『プシシェとエロス』、ラヴェルの『マ・メール・ロワ』といったプログラムは、折に触れてレコーディングを重ねてもいるように、ジュリーニがたいへん得意としていたレパートリーとして知られますが、なるほど、ここでの演奏内容の充実ぶりには、ジュリーニ自身の異演盤との比較でも見逃せないものがあります。また、そのすべてが放送局の正規アーカイヴ音源使用により、すぐれた音質で収録されているのもありがたいところです。
ほかにも、ジュリーニがまだ40代だった頃の、たいへんエネルギッシュなドヴォルザークも、歌心と推進力にあふれる音楽運びでおおいに楽しめます。(キングインターナショナル)
【収録情報】
Disc1 [53:28]
(PH06010)
ケルン放送響、ズッカーマン/メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(1971)
ふらっと吸い寄せられるような甘美な音色。パールマンと同門でジュリアードのガラミアン仕込みのズッカーマン。メンデルスゾーンはキャリア最初期の69年にバーンスタイン&ニューヨーク・フィルとの共演で華々しい成功を収めた曲。同年に同じ顔合わせでスタジオ盤も録音しています。ここではジュリーニのサポートのもと、伸び伸びと時に官能的でさえあるメンデルスゾーンを聴かせています。
一方、ドビュッシーの「海」はもはや説明不要のジュリーニの十八番。フィルハーモニア(62年)、ロス・フィル(79年)、コンセルトヘボウ(94年ライヴ)ときて、じつに4種目。こちらもライヴという条件によるためか振幅の大きな表現が印象に残ります。
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 op.64
・ドビュッシー:『海』〜3つの交響的スケッチ
ピンカス・ズッカーマン(ヴァイオリン)
ケルン放送交響楽団
録音時期:1971年1月15日
録音場所:ケルン、ヴァルラフプラッツ・フンクハウス、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc2 [49:16]
(PH05021)
バイエルン放送響/ブラームス第1番(1979)
追悼盤の相次ぐジュリーニ、なんとプロフィルからも超弩級のリリースが!
ブラームス1番はフィルハーモニア(62年/EMI)、ロス・フィルそしてウィーン・フィル(順に81年、91年/DG)に次いで4 種目、ライヴとしては初めて。しかもオケはバイエルン放送響という理想的な顔合わせ。
79年といえばジュリーニがロス・フィル音楽監督(1978〜84)に就任して、欧米双方の楽壇でもっとも精力的に活動をしていた頃。これは巨匠の風格を加え、遅めのテンポを特徴とする個性的なスタイルへの傾斜を深めていくのと時期も重なります。
悠然たる構えが巨匠の芸というほかないウィーン・フィル、緻密なアンサンブルを聴かせるロス・フィルと、オケと時期の違いもありそれぞれが独特の魅力を放つジュリーニのブラームス。このバイエルン放送響とのライヴもまた、いかにも「カンタービレの巨匠」の面目躍如たる内容といえるでしょう。
すでにジュリーニの美が色濃い第1 楽章。ただ情熱と緊張で押し切るようなことはなく、慈しむように旋律を紡ぎ上げてゆくあたりが、まぎれもなく彼ならではの歌いまわし。
さらに第2 楽章では‘ジュリーニらしさ’はピークに達し、弦はもちろん木管の表情などすべてが、たとえようもなく繊細でありながら豊かな歌でいっぱいに満たされています。
そしてフィナーレ。およそ力んで煽るようなところは微塵もなく、じわっと自然に湧き上がるような音楽。このように演奏も圧倒的なら録音がまたじつに素晴らしい。すでに四半世紀以上を経過していることをまったく感じさせない驚異的なクオリティは、バイエルン放送の技術水準の高さを物語っています。
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68
バイエルン放送交響楽団
録音時期:1979年1月26日
録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc3 [43:23]
(PH05037)
バイエルン放送響/ハイドン:驚愕、ラヴェル:マ・メール・ロワ(1979)
上記ブラームス1番と同日のライヴで、前半のプログラムであったハイドンとラヴェル。いずれもジュリーニお気に入りの作品ですが、こちらも屈指の高機能オケ、バイエルン放送響との相性の良さを物語る素晴らしい内容となっています。
フィルハーモニアとのスタジオ録音(56年/EMI)やウィーン・フィルへの客演などでも取り上げている名作「驚愕」。ためしに、なんとも柔らかく開始される木管と弦の序奏を聴いてみて下さい。どこまでも格調高くエレガントな美に彩られていることか。モダンオケの磨き抜かれた響きで、ゆったりとたっぷりと鳴らされたハイドンは、今では失われつつある古き良き伝統を思い起こさせます。まさに次元を超えた美。
やはりフィルハーモニアや、後年のコンセルトヘボウ(89年/SONY)など数種の録音でも知られるマ・メール・ロワ。ファンタジー一色に染め上げられた世界は、触れると壊れてしまいそうな繊細さがたまりません。それにしても、このオケの柔軟性にはただ驚かされるばかり。巨匠スタイルへ傾斜を深めてゆくジュリーニの音楽づくりとバイエルン放送響の圧倒的な存在感。バイエルン放送による録音も見事です。
・ハイドン:交響曲第94番ト長調 Hob.I:94『驚愕』
・ラヴェル:『マ・メール・ロワ』組曲
バイエルン放送交響楽団
録音時期:1979年1月26日
録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
Disc4 [62:45]
(PH06011)
ケルン放送響/ブゾーニ、フランク&ドヴォルザーク(1971)
カンタービレの巨匠ジュリーニが振ったケルン放送響とのライヴ集第2弾。彼がもっとも充実していた1970年代のブゾーニとフランクは、既出ズッカーマンとのメンデルスゾーンとドビュッシー『海』(PH06010)と同日のライヴになります。とくにフランクでは、後年のベルリン・フィルとの録音でもみられる幻想的な美しさがたいへん魅力的。
メインのドヴォルザークはジュリーニ40代半ばのもの。旋律を歌い尽くした89年のコンセルトへボウとのライヴとは大きく印象も異なり、第1楽章のコーダやフィナーレでの堰を切ったようにはじけた表現はまことに痛快です。WDRアーカイヴの音源使用により音質良好です。
・ブゾーニ:『ファウスト博士』のための2つの習作 op.51(サラバンドとコルテージュ)
録音時期:1971年1月11日
録音場所:ケルン
録音方式:ステレオ(ライヴ)
・フランク:交響詩『プシシェとエロス』
録音時期:1971年1月15日
録音場所:ケルン、ヴァルラフプラッツ・フンクハウス、クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
録音方式:ステレオ(ライヴ)
・ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調 op.88
録音時期:1958年11月3日
録音場所:ケルン
録音方式:モノラル(ライヴ)
ケルン放送交響楽団
Disc5-6 [72:58 / 67:43]
(PH08015)
ミラノ・スカラ座、カラス/『セヴィリアの理髪師』(1956)
1956年、マリア・カラスはスカラ座で、舞台では唯一の機会となったロジーナを5公演歌っています。これはその初日の記録。指揮は当時スカラ座の音楽監督だった若きジュリーニ。スカラ座のオーケストラから生き生きしたイタリアの歌を引き出しています。さらにアルヴァ、ゴッビと、非常に豪華な顔ぶれでした。
・ロッシーニ:歌劇『セヴィリャの理髪師』全曲
マリア・カラス(S ロジーナ)
ティト・ゴッビ(Br フィガロ)
ルイージ・アルヴァ(T アルマヴィーヴァ伯爵)
メルキオッレ・ルイーゼ(Bs バルトロ)
ニコラ・ロッシ=レメーニ(Bs バジーリオ)、他
ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
録音時期:1956年2月16日
録音場所:ミラノ、スカラ座
録音方式:モノラル(ライヴ)
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)