C30

80年代後半から実に20年以上の音楽的キャリアを誇り、ミニマル・サイドへのシフト以降、感性の鋭いDJやフロアでの評価が急上昇を続けている大ベテラン・JENS ZIMMERMANN。活動初期には商業的なポップ・ダンスを作っていたというのが冗談としか思えない、コマーシャリズムのかけらもないミニマル・テクノの最深部を提示したトラックは、RICHIE HAWTIN、RICARDO VILLALOBOSをはじめ世界中のTOP DJから惜しみない賞賛を得ている。またWIRE08、 09をはじめ過去数回に渡り来日公演を行い、その驚くべき強度を持った瞑想的・覚醒的なサウンドでパーティー・ピープルを虜にした。DJに強いこだわりを持ち、自らのトラックもDJがミックスするために作っていると語るように、彼の作り出すサウンドは余計なメロディーやサンプルが一切使われないクールでシンプルなディープ・ミニマル。故に聴き込めば聴き込むほど深い陶酔感が押し寄せる、最高のインナートリップ・チューンだ。本作「C30」は、08年にドイツのINTERNATIONAL FREAKSHOWからアナログ2枚組でリリースされた作品で、ほとんどが10分を超える長尺のトラックで構成され、ZIMMERMANNの魅力を味わうにはうってつけの1枚。鼓膜を刺激する重低音サブベースとランダムに変化するパーカッションの妙で飽きさせないM-1、まるでBASIC CHANNEL/MAURIZIOのような音響処理が聴く者の意識を刈り取るM-2、ざらついたクラップと穏やかに広がっていくスペーシーなシンセの対比が実にトリッピーなM-4など粒揃いのトラックが揃っている。さらに今回のCD化に際し、別の12”作品としてリリースされていたトラック”ModModBlubBlub”の17分に及ぶ未発表ヴァージョンを追加収録。こちらがまたすさまじい仕上がりで、徐々に音数を増しながらツイストしていくエクスペリメンタルなドープ・ミニマルとなっている。RICHIE HAWTINとはまた違った方向からミニマリズムを追求する彼の特異なサウンドは、キャリアにおける一つのターニング・ポイントを迎えている今こそ、多くのテクノ・リスナーに評価されるべき時だろう。ぜひこの奇妙で特別な音空間を体験してほしい。

＜メーカー資料より＞