エゴイスト 小学館文庫

高山真

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784094071757
ISBN 10 : 409407175X
フォーマット
出版社
発行年月
2022年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
高山真 ,  
追加情報
:
189p;16

内容詳細

「母が死んで、『死にたい』と思っていた僕の何かは死んだ」。14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者の本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。しかし、そこには残酷な運命が…。龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか?愛とは、自らを救うためのエゴだったのか?巻末には俳優・鈴木亮平の特別寄稿を収録。

【著者紹介】
高山真 : 東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業後、出版社で編集に携わる傍ら、エッセイストとして活躍。2020年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 鉄之助 さん

    映画化された原作本として、興味を惹かれ一気に読んだ。面白かった。共感するところも多々あったり、読んでさらに謎が深まったり…。複雑な感情が渦巻いた。「大都会は大森林より、身を隠すのがたやすかった」と三島由紀夫の著作からの名言と、主人公・浩輔の東京での生活ぶりを二重重ねする。私も同じ経験があった。恋は「毎日のように求める」ものではなく、「愛するに値する獲物が現れたときだけ意識を向ける」もの。ギラギラしてヒリヒリしていた、はるか昔を思い出した。

  • 旅するランナー さん

    「出会っちゃって、お互い大事に思ってるんだから、しょうがないだろう。しょうがないから、やっていくしかないだろう」男同士の愛情を超越した、深い人間性を感じる。母と息子という関係に留まらない、病床の会話に涙が止まらない。各々のえぐられた部分を満たしてくれる優しさに満ち溢れている。あとがきは鈴木亮平。作者高山真さんへの言葉がとても温かい。僕も高山さんが書いた羽生結弦に関するエッセイを読んだ後、フィギュアスケートの見え方が変わりました。そして、この小説を読んだ後、愛情という概念の捉え方が変わったように思います。

  • mukimi さん

    男性同士の愛を描いた小説は初めて。自分の経験に当てはめた共感ができないから、人と人が惹かれ合う理由を文章から読み取ることの難しさを感じた。概ねシンプルで説明可能な人生を生きて来た私は愛とは誰かの心身を守り励ますことだと思うけど、そこに社会的に認められにくい関係性やお金の問題が絡むと、謝罪や卑下といった負の力が纏わりついて綺麗な形にまとまらず「愛が何なのかわからない」という苦しみになることに心が痛くなった。想像に限界がある物語だからこそ映像を見たら心を持っていかれそうで映画はもう少し頭を冷やしてからにする。

  • ケイ さん

    映画の場面やこの表紙から想像する愛の形より、母への想いの強さが印象深い。与えたくて仕方ない愛し方は、エゴなのだろうか。与える事が金銭となってしまうのは何故だろう。ドルガバやGUCCIの服を選んで着る姿は、主人公の自己顕示欲や愛情の歪んだ形そのもののようだ。LGBTQの問題に焦点を当てているのではなく、愛情の示し方が分からない人間の話であって、だからこそ垣根が取り払われているのだなと感じる

  • りゅう☆ さん

    14歳で母を亡くした浩輔。ゲイということでいじめを受けた10代を思うと辛い。そして30代半ば、病気の母と暮らす龍太と出会い恋に落ちる。だが突然龍太から別れを告げられる。好きだからこそ仕事にならないと…。高校中退して病気の母を支える収入のある仕事。薄々感じてたけど、知った時はドーンと凹んだ。龍太を買うことを決め、足りない分は働いてもらう。予兆はあったのに気付かないフリをしてしまった。この現実に心が壊れそう。切ない。悲しい。浩輔も龍太も母への思いが偉大。浩輔と龍太母。ここに芽生えた関係が、思いやりが愛おしい。

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