【第9回】バイヤー寺町知秀のわくわくPOPSランド

洋楽の森からオススメ作品をピックアップ
あの番組、覚えてますか？
このコーナーでは、わくわくせずにはいられない海外の良質POPSをお届けします！

【第9回】恋に恋焦がれ恋に泣く。

みなさん、こんにちは。わくわくポップスランド第9回目は、フロー・モリッシー&マシュー・E.ホワイトによる、フランク・オーシャン、ロイ・エアーズ、レナード・コーエンらを取り上げたカヴァー・アルバム『ジェントルウーマン、ルビー・マン』にズームイン。

付き合った彼氏に感化されて、同じ音楽を好きになったりする彼女っているじゃないですか。ファッションの趣味まで変わったりして（蛇足ながら僕は、つき合った彼女に感化されるタイプでした）。セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンのデュエットをほうふつさせるこのコラボレーションは、図式的には付き合った彼氏＝マシューに、彼女＝フローが感化されたのではと妄想せずにはいられません。フローのソロ・アルバムは、メランコリックでダークな色彩が濃い作風でしたが、ここではマシューのインディー・フォーク〜フリー・ソウル的洒脱な音楽センスに沿って、軽妙でリラクシンな歌声を聴かせてくれます。一方、マシューも若くてキュートで才能豊かなフローとの出会いにトキめいて、モチベ上がってイキイキしていて（プロデュースしたナタリー・プラスといい、美女好き）、いつになく伊達男ぶりマシマシなように思いますね。これは恋ではない（by小西康陽）？

今月のもう1枚は、ザ・エックス・エックス『アイ・シー・ユー』。バンドの新たな展開を示唆したファースト・シングル「On Hold」のサタデー・ナイト・ライブのパフォーマンス映像が鮮烈で、ダリル・ホール＆ジョン・オーツネタ使いのジェイミーのアッパーなバックトラックに煽られ、フロントで少々ぎごちなく踊るロミー＆オリヴァーの姿がたまらなく初々しくて…。新しい世界に触れる好奇心と照れが入り混じった、フレッシュなぎこちなさがすごく印象的でしたね。シャーデー、アレッシー・ブラザーズネタ使いの「Say Something Loving」もポジティヴなヴァイブスに満ちていて、持ち前のメランコリックな静寂美とジェイミーがソロで魅せたカラフルな躍動感が交錯する、華麗なる“Change”を遂げた楽曲が並んでいます。

それではまた来月お会いしましょう。