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エリザベス・シェパードのNewは傑作ですよ

CLUB JAZZ STORE

2008年5月27日 (火)

Elizabeth Shepherd Trio


 
ジャイルス・ピーターソンも絶賛。
クラブ・ジャズとオーセンティック・ジャズのギャップを埋める
トロントの才女、エリザベス・シェパード。

2006年11月、デビュー・アルバム『Start To Move』をひっさげて、彗星の如くジャズ・シーンに登場した、カナダはトロント出身のエリザベス・シェパード。自身でピアノ、ヴォーカル、作詞・作曲をこなすマルチな才能に加え、マイルス・デイヴィス、クリフォード・ブラウン、ハービー・ハンコックらの有名ジャズ・スタンダードを新しい解釈でパフォーマンスする柔軟なアプローチに多くの注目が集まった。サンプリングを交えたユニークなメソッドを挟みつつも、ドラムス、ベース、三位一体のトリオ・パフォーマンス、そのおもしろさの極みをしっかり味わい尽くしているからこその「トリオ」名義へのこだわりをも見せる。それは、ジャズの持つ伝統性への最大級のリスペクトとも言えるだろう。

Elizabeth Shepherd

モーツァルト、ジョージ・マイケル、スティーヴィー・ワンダーといった名前を挙げながら、様々なジャンルの音からの影響を語る彼女。その影響は、ファイヴ・コーナーズ・クィンテットやジャザノヴァ、クオンティックといった同時代のダンス・ジャズ・アクトらとの交流によって、さらに進化を遂げたジャズ・サウンドとして具現化されていった。「クラブ・ミュージックは素晴らしいし、踊るのも大好き。でも、ダンス・ミュージックの反復性と、ジャズのアドリブ性を調和させる良い方法があったらと、いつも思ってるの」。

80年代にアシッド・ジャズを標榜した首謀、ジャイルス・ピーターソンが、彼女のデビュー作を大絶賛した理由も簡単に頷ける。彼女の作品には、当時のアシッド・ジャズ諸作が持っていた「前向きな」ヴィンテージ感がある。「温故知新」というような言葉でなぞらえきれない、何か、マジカルな新旧エッセンスの協調性も感じさせる。それらは、ややもすると付いてまわる「プレイヤー側の堅苦しい求道性」というバランスの悪さを排除した、真にフラットな姿勢で音楽にのめりこむ、シェパード、ジャイルス両者のピュアな感性からにじみ出ているものに他ならないだろう。ジャイルスは、彼女の方法論に
舌を巻いたのではなく、彼女自身からにじみ出るピュアでパースペクティヴな感受性にシンパシーをおぼえた。そう思えてならないのだ。 

Elizabeth Shepherd

傑作『Start To Move』、そして、Bサイド集『Besides -Remixes & B Sides』に続き、いよいよリリースされる新作『Parkdale』。プロデューサーには、UKジャズとスピリチュアル・ジャズを現代的に再構築してみせた傑作『Everything Under The Sun』が方々で賞賛された、UKが誇るサウンド・クリエイター、ノスタルジア77ことベン・ラムディンを迎えている点も見逃せない。両者の感性が共鳴した素晴らしい1枚となったことは、想像に難くないだろう。

表現の振り幅もより広がりをみせ、カナダ・ミュージック・シーンの先達、ジョニ・ミッチェルやジノ・ヴァネリの世界観を浸透させたかのような楽曲なども楽しめる。また、モーダルな7拍子ダンス・チューンとなったタイトル曲や、オスカー・ブラウンJr.、ディジー・ガレスピーのカヴァーなど、前作に引き続いた、「大いなる遺産」への柔軟でフレッシュなアプローチにもますます冴えをみせる。



エリザベス・シェパード。彼女のピュアな感性は、クラブ・ジャズとオーセンティック・ジャズ、両者のギャップを確実に埋めてゆく。  



Parkdale

 
4 『Parkdale』 « New«


UKの鬼才サウンド・クリエイター、ノスタルジア77ことベン・ラムディンをプロデューサーに迎えた待望のニュー・アルバム。モーダルな変拍子ダンス・ジャズのタイトル曲、オスカー・ブラウンJr.のカヴァー「Long As You're Living」、ディジー・ガレスピーのアフロ・キューバン・クラシック「Con Alma」のカヴァー、キラー・ブラジリアン「Mirror Living」など、デビュー作以上にカラフルなリズムが全編を包む。シェパードの表現力とノスタルジアの世界観。現代のダンス・ミュージックとジャズの旨味を知り尽くした両者の融合が最高の結実をみせた1枚。



 




Start To Move
4 『Start To Move』


エリザベス・シェパード・トリオの記念すべきデビュー・アルバム。骨太なジャズ・ファンク「Start To Move」を皮切りに、クリフォード・ブラウンのグッド・カバー「George's Dilemma」、バップ・スキャットも映えるマイルス・デイヴィス・カバー「Four」、ジャイルス・ピーターソンもヘヴィ・プレイしたハービー・ハンコックへのオマージュ「Melon」、スピリチュアルな「Along The Way」など、手を変え品を変え、シンプルなトリオ・パフォーマンスの極限と、その真髄に迫ってみせる。



 




Besides -Remixes & B Sides

4 『Besides -Remixes & B Sides』


クラブ・フィールドでも引っ張りだこの彼女らしい、リミックス&未発表Bサイド集。ライオネル・ハンプトン「Midnight Sun」のボッサ・テイストたっぷりのグッド・カヴァーや、ノスタルジアのNostalgia 77によるドンピシャなブレイクを当て込んだ「Reversed」のリミックス、「Just getting By」のBBC Radio 1でのライヴ・ヴァージョンなど、生粋のジャズ・ミュージシャンによるクラブ・シーンへの接近が盛んな昨今を象徴する1枚。







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Keep Reachin Up -Remixed
4 Nicole Willis 『Keep Reachin Up -Remixed』

 世界中ににネオ・ノーザン・ソウル・フィーバーを巻き起こした、フィンランドの歌姫ニコール・ウィリスの傑作『Keep Reachin Up』のリミックス・アルバム。シングル・カットもされた「If This Ain't Love」のシェパード・トリオによるリ・ワークは、タニア・マリアなどを想起させる快活なブラジリアン・ダンサー仕上げ。




Escape From The Pigeon Hole
4 Abdominal 『Escape From The Pigeon Hole』

 カナディアンMC、アブドミナルの1stソロ・アルバム。Do Rightからのリリースとあって、レーベル・メイト、シェパードもこっそりと参加。このUS盤のみ収録となる、シェパードをフィーチャーしたヴァージョンの「Open Relationship」は、エレピが揺らめく超メロウ・チューン。フックでの両者の掛け合いも◎!




Modal Jazz Loves Disney
4 V.A. 『Modal Jazz Loves Disney』

 須永辰緒がトータル・コーディネイトを手掛けた「ジャズで踊るディズニー」コンピ。Sunaga t Experienceをはじめ、ファイヴ・コーナーズ・クインテット、ニコラ・コンテ、ファブリツィオ・ボッソらが極上の新録音源を提供。シェパード・トリオは「Beaty and the Beast(美女と野獣)」で参加。

  



One Offs, Remixes & B-sides
4 Nostalgia 77 『One Offs,Remixes & B-sides』

 シェパードの最新作でプロデュース&ミックスを手掛けているUKダンス・ジャズ・シーンの鬼才、ノスタルジア77のレアなリミックス音源と、自己のオクテット名義でのライヴ音源+未発表を収録した究極の裏ベスト。シェパードの『Remixes & B Sides』にも収められている「Reversed」のリミックスを収録。

 



Ready Or Not: 2
4 V.A. 『Ready Or Not: 2』

 トロントのクラブ系レーベルDo Rightより、レーベル・オーナーであるジョン・コングがコンパイルしたカナダ音源のキラー・ジャズ・コンピ『Ready or Not』。その第2弾。シェパード・トリオは、『Start To Move』にも収録された「Ton Visage」で参加。




Messin Around
4 V.A. 『Messin Around』

 UKのジャズ・パーティーとして有名なMessin Aroundの10周年記念コンピ。ラスマス・フェイバー「Ever After(Samba Reprise)」、ジャズトロニック「Rita(Live Version)」など未発表音源もタップリ収録。人気ジャズ・ダンス・ユニット、ジャズコテックが激しく踊りまくる様子が目に浮かぶ最高のフロア・ジャズのオンパレード。シェパード・トリオは、マイルスのキラー・カヴァー「Four」で参加。




Grand Gallery Presents PM9:00
4 V.A. 『Grand Gallery Presents PM9:00』

 Grand Gallery発、24時間の生活に合った音楽を提供する時間軸シリーズの「大人の夜」篇。シェパード・トリオは、『Start To Move』収録のスインギン・チューン「Roots」で参加。