SOZORO ×あがた森魚 対談 2

2007年8月13日 (月)

“最初あがたさんには、僕らがボサノババンドだと…。”

吉原:今となってはそんな感じがしますね。(笑)唯一「乱れ髪」という曲があるのが…別に意識したわけでもないんですが。

あがた:同名だね〜

吉原:あっちの「乱れ髪」はホント女の人の髪、こっちの「乱れ髪」は男の人の髪の歌だから。

あがた:でもね僕は、吉原くんはなんだかんだ言ってヴォーカリストだと思うんだよな〜。うん、ヴォーカリストとして、すごい個性というか、世界っていうかね、歌うことで世界作れる、数少ないアーティスト。 でもわりと、こういうなんかさぁ、ちょっと、このアルバムはとくにそうなのかもしれないけど、イベリア半島的な匂いっていうかさ。

吉原:今回のは、直前に、チェコに行って、東欧のほうに、その旅の影響もあり、

笠原:ホスポダって言葉が出てくるんですけど、チェコ語で居酒屋?

吉原:居酒屋とかビアパブのことをホスポダ、だから居酒屋の男っていう意味で、居酒屋の女とか、それが少なからず影響してると思いますね。

あがた:タイトルが“ゴッホのタッチ”だよ。

SOZORO:(笑)

あがた:これはどうして?

吉原:それはあの、僕の好きな版画家さんで、川上澄生っていう、その人の詩集とかエッセイの中でそういう文書があって、ゴッホのタッチのような中で、なんとか、かんとかして…。という文章があって、ゴッホのタッチっていう響きはとてもなんか心地よくて、いい響きだなと思って…、

笠原:響きから(笑)

吉原:そっからなんか、響きからまずは入って、そこでどんどん、どんどん世界を膨らまして詩をつけていったみたいな。

この年代の版画家さんは、ものすごいいい人がたくさんいて、で、その川上澄生さんは詩もとても良いので、すごい好きで。

あがた:俺もそういうとこがあるんだけど、タンゴとか、ボサノバとか、まぁボサノバだけではないんだけどもね、あとジプシー系とか、その辺は割りと僕も好んで選ぶ……、ジャンルなのかテイストなのか、世界・空気・匂いなのか、っていうのは、エスニック系というのでもないけれど、形には触れやすいんだけど、なかなか、その色やジャンルをこう自分達の音にして出すっていうのはなかなか簡単そうで難しいよね。

でもSOZOROの場合絶妙の嗅覚でその辺をこう描写するっていうの?このアルバムなんかも割りと…。さっきも言ったように吉原君の歌唱に帰ってくるのか…。

吉原:さっき言われたようにジャンルというよりは、空気とかそういう感じ、肌触りでなんか選んでるような感じですかね。

あがた:あぁやっぱり空間とか世界を造りたいっていうのはあるのかな?

吉原:そうですね。

あがた:なんかゴッホのタッチじゃないけど、なんかこう自分の見たい景色とか、空間とか音色とか、そういうものをこう世界にしてプレゼントしたりとか。
もう二人でコンビ組んでどれくらい経つんだっけ?

笠原:4年ですか。2003年の夏ぐらい?

吉原:夏。

笠原:ちょうど4年ぐらい。

あがた:(アルバムを手にしながら)今ここでかけてもらってもいいくらいだよね。ちょっとピッタリなんじゃないの。

(お店はオッケーでしたが、残念ながらプレイヤーがありませんでした。)

あがた:プレイヤーが無い?残念、そーか惜しかったな。

これはどのくらいかかったの?録音するのに。

吉原:2ヶ月ぐらい。イトケンさんもやってくれて、イトケンさんとやったやつは大体一発で録って。

あがた:あぁ本当。イトケン君が最初ね一緒に。

笠原:出会いというか。

あがた:紹介してくれたね。

笠原:イトケンさん、シン君があがたさんをすごく好きだっていうの知ってたので。

吉原:あがたさんのバックでも叩いているイトケンさんっていうドラマーの方がいて、僕らとのライブリハーサルの時にあがたさんを呼んでくれて、それが初めてかな?

笠原:うん初めて。

吉原:ちゃんと挨拶まではできなかったけど。その瞬間はもう緊張して何がなんだか。

笠原:そうリハーサルだったけど、本番以上の集中力。

吉原:全然もう、リハーサルじゃなかったよね。

HMV:そのときはもうあがたさんはSOZOROの存在は知ってたんですか?

あがた:存在は知らなかったですよ。紹介されて、あがたさん、昭和歌謡な若い子達がいるんだけどね、とか言われて。で、円盤でやってたんだよね。高円寺の円盤に用事があって、寄りがてらちょっと挨拶に行って。

HMV:はじめどうでした?どう思われました?

あがた:個性的でいいなと思いましたよ。まぁリハーサルやってたのを横目で眺めてたみたいな。

吉原:そう1〜2曲ぐらい。

あがた:だもんね。

吉原:たまたま数少ない「雨ブラジル」っていうボサノバ風の曲をやってたんで、しばらくの間あがたさんには、僕らがほんとボサノババンドだと…。

あがた:あ〜そうそう。(笑)

吉原:最初はずっと、違います違いますと。

あがた:そういう風に先入観が付いた。でもそれでも、その1.2ヶ月後か…?

吉原:そうですね〜。

笠原:5月5日、端午の節句のときです。 初めてライブご一緒したのが、2006年、感動的でした。

 
―続く―


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