インタビュー:佐野元春(Page4)

2007年7月6日 (金)

佐野元春インタビュー
 
リスナーからの質問にアーティストが答えてくれる!
【Hear My Voice:佐野元春】
 
─続き─

 
 

9.11 に象徴されるように、現実世界はますます絶望感をぬぐえないような出来事が多いですが、そんな中でポップ音楽の現在の役割はいったいなんだと思いますか?また、元春は自分の音楽で何ができると思いますか?
(Sさん)

佐野:しっかり考えるに値する質問だよね ... 。この質問にまともに答えるとしたら時間を 50 分ください … ただ真剣に質問してくださっているんだろうから、僕も答える義務があると思う。

時代がどうあれ、ポップ音楽の素晴らしい点のひとつは僕らのノスタルジーを喚起してくれるところですね。優れたポップ音楽を聴くと、僕の場合は一瞬のうちに過去・現在・未来を時空を飛び越えて把握することができる。それは、実際の人生ではそんなことはできないんだけれど、優れたポップ音楽にはぼくらにそれをさせてくれる何かがあるんだよね。 Magic と呼んで良いと思う。

僕は相変わらずロックンロール音楽やポップ音楽の Magic をどこかで信じている節がある。 6 歳や 7 歳の男の子のようにね。それを感じる気持ちが無くなったらどうしようって不安になることもある。でも、まだ大丈夫っていう自分もいる。ポップ音楽ができること、、、いいことも悪いこともいろんな事がいろんな可能性があると思うんだけれども、ひとつだけ僕が願っていることは「ロックンロール音楽やポップ音楽がいつまでも僕の友達でいてほしいな」ということですね。僕から裏切る事は決してないし、音楽のほうから僕を裏切るという事も決してないと思う。ずーっと信じてる。

 
 
 

新しいアルバム『 Coyote』聴きました。今までとはまた違った仕上がりにとても感動しました。私はそれなりに年齢はいってますが、まだ「大人」になりきれていない自分のような未熟者がこのアルバムを聴いてもいいのでしょうか・・・?ちょっと不安です。
(Yさん)

佐野:僕の髪の毛を見てくれ、もうシルバーフォックスだ。そういう人が歌ってんだから、心して聴いて欲しいと思いますね。もう聴く資格は十分にあると思います。

 
 
 

「コヨーテ、海へ」興味深く聞きました。映画「ランブルフィッシュ」や「アカルイミライ」も闘魚や毒クラゲを海に向かわせていますね。主人公のナーバスなところ、世代の流れや関係、作品から受けるイメージとしての色調などなど比べたりしてると興味は尽きません。個人的には、「自分らしくあれ」という佐野さんからの力強いメッセージをうれしく受け取ったつもりです。勝利ある、 show real... どこかのパーティの誰かが言ってたあのひらひらしてるものより断然素敵だと思います。こんな聞き方してますが、 ok ですか?
(Yさん)

佐野:あぁ、映画が好きな方だ。 100% オーケーでしょう。

 
 
 

『 THE SUN 』がリリースされる少し前頃、語り部となってストーリーテリング的な表現手法で創作することへの興味と意欲を、さるイベントの場で話していらっしゃったと思います。『アルケディアの丘で』や『希望』が新鮮で魅力的だったのでそんな作品に会えるのを3年余り楽しみにしてきました。届けられた『 COYOTE 』はその延長線上で出会えた作品と思っていいでしょうか。
(Fさん)

佐野:あぁ、話してたんだ!その通りだよね。僕はね、インタビューしていろんな事しゃべっているんだけれど片っ端から忘れていく悪い癖があるんだけれども、確かにファンの方はしっかり覚えててくれますからね。ほんの少し約束が果たせたのかなと、嬉しく思っています。

 
 
 

コヨーテ男が気になって気になって眠れませんあるテレビでコヨーテ男の性格についてお話していましたね生き延びることに熱心で優しいから友人が多くてアウトロー元春に似てるところがあるかも知れない?!らしいですねもっと彼についてしりたい。どんな奴なの?元春とコヨーテ男の関係も気になるところ。特にジャケットの様子は一体?コヨーテ男は食事してるのに元春はそっぽむいて皿はからだし、聞くのもやぼかもしれませんが何しているの?仲良しなの?けんかしてるの?
(Sさん)

佐野:(きっぱりと)教えません。あのー、僕も過去レコードを買ったりしたときにアルバムアートワークというのは本当に素晴らしいなと思って見てきて。特にその中の音楽とグラフィックデザインが関連していたりして、そのナゾみたいなものを自分で解いたときの喜びといったら、もう屋根の上に上ってね、世界中に叫びたい嬉しい気持ちになるね。そのときからそのアルバムが本当に僕の心の宝物になる。だからぜひぜひいろいろな秘密の鍵や色々な意味をね、パッケージに今回はばらまいてますので、その解きあかしを楽しんでください。

 
 
 

『 Coyote 』楽しんでいます。このアルバムでは元春のアコースティックギター、アコースティックピアノが前面に出ていて、その音色が楽曲の深味となっていてとてもよい感じなのですが、奏でる際、今回、何か気を使われた事や特別な事はありますか?
(Mutsumiさん)

佐野:まあ、とかく僕の音楽っていうと僕の詞の面とかが全面にフィーチャーされることも多くて、それはそれで嬉しいんだけれども、実をいうとこれまでの自分の楽曲のデザインは全部僕がやってきてるし、その何曲かは僕自身もプレイヤーとして弾いて。で、今回は集まってもらった 3 人に加えて僕自身もギター、それからピアノ、オルガンを担当して、だから 4 人のバンドサウンドですね。

 

すごい久しぶりに演奏を楽しんだなという感じで、それはもう集まってくれた 3 人での演奏が楽しかったから、それに加わってね、やれたということがね。

やはりどこに気を払ったかということでいうと、彼らとのバンドアンサンブルを心から楽しむ。というところにあると思います。
 
 
 

■ 「ルー語」をご存知ですか?佐野さんも横文字を入れて話される事が多いですが。
(フレンチヤマダさん)

佐野:それは … 多分印象だと思うよ。意外と僕はねぇ、会話の中にルー大柴みたいにね、無節操に ( 笑 ) 、横文字を入れたりしない。逆に日本語はとても美しいですから、ラジオで DJ をするときなどはその日本語の美しさというものに、ぼくなりの敬意を持って話しています。だから ... 印象なんじゃない? ( 苦笑 ) 。「ルー大柴と一緒にするな!」って書いといて ( 一同爆笑 ) 。

僕の学校の先輩なんだよ、 1 年上の、立教高校の。もうね、そのときからうるさかったんだよ。それと古館伊知郎ね、僕の 1 年上。だからその 2 人は同級生、もう 2 大うるさいやつ ( 笑 ) 。僕が 2 年生のときに休み時間に 3 年生がいる 3 階にあがると、古館がプロレスの実況アナウンスしてるんだよ。もう全然変ってない。で、ルー大柴なんてもうあのまんまだよ。もうヤだよ。だから一緒にしないで欲しかったね ( 笑 )

佐野さんスタッフ:あの、スタッフから補足させていただくと、佐野の場合は固有名詞とかは英文字が入るんですけど、例えば NHK のことを国営放送とか ...

佐野:そう、アメリカのことを米国って言ったりすると逆につっこまれたりするんだよね。

佐野さんスタッフ:そう、だからインタビューとかの中にそういう英語の固有名詞が多くでてくるのでそういう印象があるんじゃないでしょうかね?

佐野:そう「カモーン!」とかさ、言ったりしないしねえ ( 笑 ) 。
 
 
 

佐野さんは今回のコヨーテ、ポール・ジョンご自分でどちらのアーティストに近い感触を持っていらっしゃいますか?
(マッキーさん)

佐野:ジョンに近いんじゃないですかね?前回の「ザ・サン」は色々な人の人生を、色々な人を主人公にしてつくったアルバムなんですけれどもこれはどちらかというとポール的。で、ジョンの場合はビートルズ解散後の「ジョンの魂」に顕著にあらわれるように、やっぱりある一人の人間の視点で対象をえぐっていくというところね、そのアプローチからすると今回のコヨーテアルバムは「ジョン的といっていいんじゃないでしょうか」

スタッフ:なるほど、では「ジョン的」ということで。白ジョンでよろしいでしょうか?

佐野:はい、白ジョン差し上げます。

 
 
 

 取材後記:いかがでしたか?ルー大柴氏との意外な関係(?)など、リスナーの方からの質問により、普段あまり見ることのできない佐野さんの一面が明らかになっているのではないでしょうか?質問をお寄せいただいた皆様、本当にありがとうございました。諸事情により"白ジョンT"は差し上げられませんが、レーベル様のご好意により今回質問をいただいた方の中から抽選で3名様に【COYOTE Tシャツ】をお送りいたします(発表は発送をもってかえさせていただきます)

たくさんの質問にも「まだまだ何でも聞いて下さい」と仰ってくださった佐野さん。本当にありがとうございました!
『Coyote』をさらに聴きこみつつ、今後発表されるであろうリリースツアー情報などは下記オフィシャルサイト、特設サイトをご覧下さい。

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