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Fantastic Plastic Machine ロング・インタビュー

Friday, July 6th 2007

  インタビュー
  Fantastic Plastic Machine
今年2月には、21世紀以降のベスト盤『FPMB』をリリースしロング・セラー中のFantastic Plastic Machine 。メジャー・デビュー10年を迎え、いよいよFPM 第3期へと向かう今、自身のハイセンス・コンピレーション・シリーズ『Sound Concierge』最新盤 、『Sound Concierge: #701: Super Romantic』『Sound Concierge: #702: Electric Heaven』を2枚同時リリース!自ら"コンシェルジュ"と名乗るDJ 田中知之 が考える選曲の極意、ポリシー、そして未来への展望。たっぷり語っていただきました!

Fantastic Plastic Machine
 



――まず、『Sound Concierge』シリーズも今回で8、9枚目になりますね?


そうですね。
立ち上げた時からずっと、シリーズ全てが店頭にズラーっと並ぶようになったらいいなと思ってて。
ちなみに、タイトルにある『Sound Concierge: #701: Super Romantic』(以下、#701)とは、2007年の1枚目だからなんですが、2006年は自分のアルバムだったりとかベスト盤だったりとかで、忙しくてなかなか取り掛かれなくて「600番台」というのが無くて500から700に飛んじゃったんですけど、約2年ぶりに出せて良かったなと。
一般的にコンピレーションのリリースの頻度が増えてて、どこもかしこもコンピって状況の中で、自分が作るならやっぱり作品としてパワーのあるものっていうか、テンションの高いものっていうか、そういうものをやっていかなければいけないなという事をあらためて肝に銘じた上で作った2枚なんですけども。
いつものごとく奇数品番はゆるい感じで、偶数品番はダンスものっていう大まかな流れがあって、その中で夏の頭にさしかかる時期にリリースするという状況での2枚なので、どういう感じにしようかなと。
#701の方は“Super Romantic”っていうタイトルを決めまして、夏にチルするだけじゃなくて喜怒哀楽の感情を揺さぶられるような楽曲をライセンスしてみました。なんとなくチルとかダウン・ビート要素はあるんですが、今っぽさとエヴァーグリーン感両方を封じ込めた作品になったと思います。


――Ben Westbeech とBenny Sings が繋がってたりとか?


そうなんですよ。
比較的新しい質感のダウン・テンポ、ラウンジも採り入れたくて。
自分で言うのもなんですが、FPM 初期の音源を『Hotel Costes』をはじめ、様々なチルアウトのコンピに収録してもらう事もあるのですが、いわゆるダウン・テンポといわれる音楽に食傷気味な自分もいて。
じゃあ最近のもので、過去のものと肩を並べられるものがどのくらいあるんだろうと考えた時に出てきたのがBen Westbeech だったり、Benny Sings だったり、 Lily Allen だったり。
FPM としてはそういう、チルアウト〜ラウンジの世界ではひと通りやり尽くしてしまった感があるので、なんか2007年出すものとして、何かその種のものに対するセンスに自分は厳しくいかなきゃいけないなという気持ちをもってセレクトしたのがこのアルバムです。
自分が聴き続けてきたエヴァーグリーンなもの…例えばSexy T.K.O.だったりとか―12インチが出た瞬間に買ったんですけども、確か23歳の時に買ったもので18年経った今でも愛聴しているし、そんなものもあれば、まったく新しい、ボサノヴァもダブも飲み込んだような「うわーこんな感性の音楽が出てきたんだー」と驚くものもあったり。
R&Bを新しく解釈したBenny Sings や、Fifty Foot Hose という60年代のサイケロックバンドなんですけど、それがBilly Holiday の曲をカヴァーしていてそれも入っています。アナログはバカみたいに高い値段で取引されているんですが、そのアルバムの中でもいいのはこれ一曲なんですけどね(笑)。あとはもう謎のサイケロック、ムーグがひたすらビヨビヨって…。


――収録曲はどれも、時代もジャンルもバラバラですね。


コンピってどうしても「レゲエなんとか」とジャンルで切られたものとか、「何とかレーベルの」となる事がすごく多いんですけど、そういう風にはならないようにっていうのが『Sound Concierge』のひとつの思想なので。
もともとユーミンさんのラジオに出た時に、ユーミンさんに「春スキーのゲレンデで聴く為の曲を選曲してくれない?」って言われて、実際にユーミンさんが“春スキー”ってテーマでゲレンデで聴く事を想定して、自分のレコード棚からいろんなものを探してコンピにして渡したんですね。その時に「一個のテーマを設定してコンピにしたらいいんだ」って思い付いたんですよ。
例えばフリーソウルっていうのも、レーベルとかアーティストっていう括りで選んだ素晴らしいコンピだと思うんですけど、そういうものでもなくて。 DJのミックスCDっていうのは、ある程度自分のレコード棚の中のものっていうのが宿命で#702に関しては仕方ないかなと思ってもいるんですが、#701とか奇数品番のものに関しては古今東西、新旧バラバラでひとつの世界観を作れるようなコンピにしたいなというのは当初からありました。過去に出したものもそのようになっていると思います。



FPM
 



――『Sound Concierge』は素晴らしいシリーズですが、ここまで続いていると「次はどんなものが出るのかな?」という期待とか、プレッシャーもあるかと思いますが?


ありがとうございます。そうですね。
ほんとにライセンスって作業が大変で、過去の音源だと権利者がもはや判らないとか、あとメジャーなレコード会社だと許諾してくれないとか、めんどうな事が多くて。逆にインディーズで作った方が楽な部分も正直ありますね。こんな事言っちゃあれなんですけど(笑)。
そんな壁を乗り越えて、#701、#702 共に収録時間ぎりぎり73分入れました。税抜き2000円っていう値段でどれだけのバリューを持たせられるか、という闘いもありつつ。ジャケも初回盤はプラケースに直接プリントしてある仕様なんで、マテリアルとしても魅力があって、ちゃんとセレクトされたもの。
なんか16曲とか18曲とか 入っていますけども、それをダウンロードで買ってもこの値段で買えないんですよね。こっちの方が安いんですよ(笑)。


――やはり、先程のFifty Foot Hose のような「このアルバムでなら聴ける一曲」というようなものは、よほど音楽好きの人でないと掘り起こせませんよね?


そうなんですよ。
やっぱり、何らかのきっかけがあって自分がこういう音楽を知って、こんなにいいなって思うのだから人にも聴いてもらいたいという欲求が基本的に前提にあるので。
今回はタイトルも"Super Romantic" ってすごい良いなと思っていて。恋をしたい人にも、してる人にも、良い恋をしてる人にも、良くない恋をしてる人にも、聴いたら何らかの感情の揺さぶりはかけられるのではと思っています。
だからそういう意味でも、僕が大好きな、大切な曲ばかりを選んだつもりです。




―続く―
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