60s後期のソウル・ジャズ名盤を2タイトル!

2007年5月25日 (金)

＜Limelight＞、＜Cadet＞レーベルに残された名盤たち

Limelight Center Label EmArcyやWingと並ぶMercuryの傍系レーベル。スーパーバイザーにQuincy Jonesを迎えたLimelightには、Art Blakey、Les McCann、Dizzy Gillespie、Gerry Mulligan、Chet Baker、Roland Kirk、Paul Bleyらによる数多くの良質な録音が残された。1960年代後半になると、レーベルのラインナップは大きく変化。民族音楽、実験性の高いエレクトリック音楽、サイケデリック、ヘヴィー・ファンクなど、時代の雰囲気を濃厚に反映した作品が多く生み出された。Limelightからは、計71枚のアルバムがリリースされ、一部のアルバムはCDでリイシューされるも、そのほとんどは未だにCD化されず、入手困難なアルバムが極めて多いレーベルの一つにも挙げられる。

•遂に出た！Melvin Jacksonのレアグルーヴ人気盤！

Eddie Harrisグループのボトムを支えたファンキー・ベーシスト、Melvin Jacksonが、Lester Bowie、Leo Smith、Roscoe Mitchell、Phil Upchurch、女性デュオ、The Sound Of Feelingといった多くのゲスト・ミュージシャン、Cadet系のセッション・マン等を従え、1969年に制作、発表した作品『Funky Skull』が待望の世界初CD化！

オリジナルはLimelight屈指のレア盤で、5年程前にただ1度LPで再発されただけということもあり、ソウル・ジャズ／ジャズ・ファンク・リスナー達の間では切にCD化が望まれていた1枚だ。

アナログ・エフェクターを通したウッド･ベースを傍らに不敵な表情を見せるジャケットが物語るとおり、強烈なインパクトを残すそのサウンドは、様々な奏法、電気処理を駆使してベースの概念を打ち破る野心的な実験精神を含んだLimelightレーベルの真骨頂とも云える。

独特な弓弾きベースの音色で度肝を抜く「Funky Skull Pt.1 & 2」、AACMとのスリリングなEddie Harris作のファンキー・ナンバー「Bold And Black」、初期E.W.&F.をも彷彿させる熱きオリジナル・グルーヴ「Say What」、9分半に亙る圧倒的なクレイジー・チューン「Silver Circles」等、この時代、このレーベルならではの、興味深すぎるサウンドが満載！

•Limelightの主要作品

　　　　　　　　左から：Art Blakey『S Make It』、Dizzy Gillespie『Jambo Caribe』、Roland Kirk『I Talk With The Spirits』、『Rip Rig & Panic』

　　　　　　　　
左から：Chet Baker『Baker's Holiday』、『Baby Breeze』、Oscar Peterson『Soul Espagnol』

Cadet Center Label シカゴのローカル・レーベル、Chessのジャズ部門として1957年頃に発足したArgoが65年にCadetと改名。その改名に伴い、新しいレーベル・デザインとなり、Chess／Checker同様におなじみのチェスの駒が描かれたものとなる。71年にはChessと統合。600番台はジャズ、4000番台はブルースとなっている。Argo時代当初の看板アーチストは、Ramsey LewisやAhmad Jamal。Cadet改名後の諸作品は、ヒップホップ・トラックのサンプリング・ソースなどとしても人気を博し、一連のソウル・ジャズ・ムーヴメントの一翼を担った。

•Dorothy AshbyによるCadet屈指のレア盤が再CD化！

名門Savoy、Prestigeからのリーダー作、また、Gary Bartz、Norman Connors、E.W.&F.作品への参加でも知られる、ジャズ・ハーピストの第一人者Dorothy Ashby。同じくCadetから発表された『Afro Harping』、『Dorothy's Harp』がヒップホップのサンプリング・ソースに使用されたということもあり、クラブ・ジャズ世代のリスナーからも絶大な支持を受けている。

クラブ・ジャズDJ達が血眼になって探しているその原盤LPは､今でも軽く4桁オーバーという、Cadetレーベル屈指のレア盤『Rubaiyat Of Dorothy Ashby』。そのジャケットからもお気付きのとおり、ハープだけでなく、日本の伝統楽器である琴を取り入れた東洋的なエッセンスも随所に散りばめられた、スピリチュアルな逸品として人気が高い。

ネタとしてもお馴染み、込み上げるストリングスとハープ、Dorothy自身のヴォーカルが幻想的な美しさを漂わせる「Wine」、ジャズ・ボッサ／ジャズ・ワルツ・マナーな「Dust」と「Heaven And Hell」、強烈なドラム・ブレイクに流麗なヴィブラフォンが絡む「The Morning Finger」など、多種多様なリズム／アレンジによって構成された、文句なしの傑作だ！


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•Cadetの主要作品＜フロア対応編＞

　　　　　　　　左から：Ramsey Lewis『Mother Nature's Son』、『Maiden Voyage』、Ray Bryant『Lonesome Traveler』、John Klemmer『Involvment』

　　　　　　　　
左から：Rotary Connection『Hey Love』、Terry Callier『Occasional Rain』、『What Color Is Love』