Exile〜亡命音楽家たちの録音集

2016年5月29日 (日)

Exile〜亡命音楽家たちの録音集

政変や戦火による米国への亡命、あるいは演奏活動での長期滞在から米国籍取得の道を選んだクラシックの音楽家は数多く存在します。このアルバムは、そうした音楽家たちが遺した録音から有名なものを中心に集めたコレクションもので、音楽の世界も実社会の影響を強く受けることを改めて考えさせてくれます。
　収録された17人の演奏家の亡命パターンを大別すると以下のような感じです。

● 戦火のため
アルトゥーロ・トスカニーニ／1937年
エーリヒ・ラインスドルフ／1937年
ブダペスト四重奏団／1938年
イーゴリ・ストラヴィンスキー／1939年
ブルーノ・ワルター／1939年
ルドルフ・ゼルキン／1939年
フリッツ・クライスラー／1939年
パブロ・カザルス／1939年
ミエチスワフ・ホルショフスキ／1940年
マリラ・ジョナス／1940年

● ロシア政変のため
セルゲイ・ラフマニノフ／1918年
アイザック・スターン／1921年

● 演奏活動のため
ヤッシャ・ハイフェッツ／1917年
ユージン・オーマンディ／1921年
フリッツ・ライナー／1922年
ウラディミール・ホロヴィッツ／1928年
アルトゥール・ルービンシュタイン／1937年

なお、カザルスは亡命先がフランスですが、16年後にプエルトリコに移ったためアメリカ国籍となっており、また、マリラ・ジョナスは強制収容所脱出後にブラジルに亡命、その後、米国籍を得ているので、このアルバムに含まれることになったと思われます。（HMV）

【収録情報】
● R.シュトラウス：交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』より冒頭部分
　フリッツ・ライナー指揮、シカゴ交響楽団

● コルンゴルト：ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35より第2楽章
　ヤッシャ・ハイフェッツ（ヴァイオリン）
　アルフレッド・ウォーレンスタイン指揮、ロサンジェルス・フィル

● シューベルト：ピアノ五重奏曲イ長調 D.667『ます』より第4楽章
　ミエチスワフ・ホルショフスキ（ピアノ）、ブダペスト四重奏団

● シューベルト：即興曲 Op.90-3
　ウラディミール・ホロヴィッツ（ピアノ）

● カタルーニャ民謡：鳥の歌
　パブロ・カザルス（チェロ）

● ショパン：ワルツ第9番 Op.69-1
　アルトゥール・ルービンシュタイン（ピアノ）

● マーラー：交響曲第5番嬰ハ短調より第4楽章：アダージェット
　ブルーノ・ワルター指揮、ニューヨーク・フィル

● J.S.バッハ：ゴルトベルク変奏曲の主題に基づく14のカノン BWV.1087
　ルドルフ・ゼルキン（ピアノ）

● ラフマニノフ：ヴォカリーズ
　セルゲイ・ラフマニノフ指揮、フィラデルフィア管弦楽団

● バーバー：弦楽のためのアダージョ
　ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団

● クライスラー：わが瞳に輝ける星
　フリッツ・クライスラー（ヴァイオリン）

● ヴェルディ：歌劇『椿姫』より第1幕への前奏曲
　アルトゥーロ・トスカニーニ指揮、ニューヨーク・フィル

● ストラヴィンスキー：ロシア風スケルツォ
　イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮、コロンビア交響楽団

● ショパン：夜想曲第19番ホ短調 Op.72-1
　マリラ・ジョナス（ピアノ）

● バルトーク：ラプソディ第1番
　アイザック・スターン（ヴァイオリン）
　レナード・バーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィル

● プロコフィエフ：バレエ音楽『ロメオとジュリエット』より「ロメオとジュリエットの別れ」
　エーリヒ・ラインスドルフ指揮、ボストン交響楽団