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SIGH/川嶋未来氏によるティル・リンデマン インタビュー!

2015年7月7日 (火)

LINDEMANN
L to R : Till Lindemann, Peter Tägtgren
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< ティル・リンデマン インタビュー >

 RammsteinのヴォーカリストTill Lindemannがこの度デス・メタル・バンドHypocrisyPeter Tägtgrenとプロジェクトをスタート。プロモーションのために来日したTillに、話を聞いてみた。



--- Mirai Kawashima (以下、M): 日本の印象はいかがですか。


Till Lindemann(以下、Lindemann):ストレンジ!

--- M : ストレンジですか!どんな風に?


Lindemann:何と言うか、圧倒されるんだ。日本に来るのは確か10年ぶりだったかな、いまだにあらゆるものがマッシヴというか。それよりも印象的なのは人々が信じられない程礼儀正しいことだよ。とても気を使ってくれる。

--- M : Peter Tägtgrenとのプロジェクトについて教えてください。Lindemannの音楽はどのようなものでしょう。


Lindemann:Peterとは13年前、Rammsteinのレコードをミックスしている時にストックホルムで会ったんだ。私は彼のPainというバンドが大好きなんだよ。キーボードやシークエンスを使ってゴシックっぽい雰囲気があってね。よくRammsteinのライヴ前に、ウォーム・アップのためにPainのCDをかけて、それに合わせて歌ったりもしていた。それで彼と会う機会があったので、当然の成り行きとして「是非いつか一緒に何かを作ろう。私がPainにヴォーカルとして参加しても良いし。」みたいな話になったんだ。しかししばらくの間は、私が暇だと彼がツアー中、彼が暇だと私がツアー中みたいな感じで、なかなか話は実現しなかった。やっと2013年の夏、Rammsteinが1年から1年半の長い休みをとることになったので、9月にPeterに電話をかけて「今時間があるんだけど、一緒に曲を作らないか。」と持ちかけた。それで彼がファイルを送ってきて、それに私がヴォーカルを重ねて、というやりとりを始めたんだ。最初にできたのは「Lady Boy」だった。私はこれをインターネットにあげて、ファンの感想を聞こうとしたんだけど、Peterは「いや、まだ発表するべきじゃない。もっと曲を作ろう。」と、さらに何曲も興味深いものを送ってきた。私も英語で歌詞を書くという経験は少なかったので苦労をしたけれど、それも上達してきた。「英語で歌う場合、ここのコーラス・ラインはどうすべきか。」とか色々考えてね。英語で歌うのは、私にとってはキャンディ・ショップにいるような感じだった。新しく知る単語がたくさんあったり。まったく新しいことを一からやってみるという、素晴らしい機会だったよ。とても楽しい作業で、気付くと5-6曲が完成していた。それでEPをリリースしようかと考えたのだけど、PeterがHypocrisyの南米アメリカツアーから戻ってくると、彼は作業を継続し、気付くとフルアルバム分のマテリアルが出来上がっていたという訳さ。フルアルバムまで作ろうとは、考えてもいなかったのだけどね。

--- M : あなたとPeter以外は、誰も参加をしていないということですね。


Lindemann:そう、私たち二人だけだよ。二人しか関わっていないというのはとても良いことだった。例えば通常はレコーディングをするにも、エンジニアに機材の担当、プロデューサーと非常に多くの人間が関わるだろう。さらにバンドだけでも5人以上いたりする。多くの議論がなされ、最終的に皆の意見をとりまとえるだけでも一苦労だ。ところが今回はPeterと私しかいないわけだから、すべてイエスかノーで答えれば良いだけだった。言い争いももちろん無かったし、とても平和な作業だったよ。

--- M : あなたはヴォーカルを担当し、Peterがその他ギター、ベース、プログラムなどすべてを担当したのですか。


Lindemann:私は自分のスタジオで準備を済ませてから、スウェーデンにあるPeterのスタジオに行ったんだ。彼はストックホルムの北にある森の中に住んでいて、とても静かで素晴らしいところなのだけど、彼のスタジオは湖の上に建っているんだ。だから彼がエディットなどをしている間、私はスタジオの窓から釣りをしていたんだよ。なので歌を録って、釣りをして、歌詞を直してみたいな感じだった。一方ピーターはワーカホリックというのかな、四六時中コンピューターの前に座っていたよ。おかげで私は自由な時間がたくさんあって良かったけど(笑)。

--- M : では歌詞もすべてあなたが書いたのですね。


Lindemann:私が担当したのは歌詞とヴォーカル、Peterがそれ以外。

--- M : ドラムはすべて打ち込みですか?


Lindemann:いや、Peterがドラムも叩いている。

--- M : 今回歌詞を英語にしたというのは何故なのですか。


Lindemann:英語でないとPeterが理解できないからね。私にとっては新しい挑戦だったけど、より多くのオーディエンスに歌詞の内容をわかってもらいたかったし。Rammsteinではヴォーカルというのは楽器の一つであり、歌詞の内容を伝えようという意図はないので、英語である必要はなかったのだが。

--- M : Peterはドイツ語はわからないのですね。北欧の言語はドイツ語とわりと近いのかと思っていました。


Lindemann:確かに近い部分はあるので、書いてあるものを見れば理解できる単語もあるだろう。

--- M : 今回プロジェクトをLindemannという名前にしたのはどのような意図がありますか。


Lindemann:他に良い名前が思いつかなかったんだよ。レコードを出すんだから、何か名前をつけなくてはと言うことで、色々下らないアイデアを出したのだけど、ピンと来るものが無くて。ユニヴァーサル・レコードの人が「Lindemannはどう?君の名前をつけるべきだよ。」と提案してきて、「いや、私自身に焦点をあてたくはないんだ」と最初は断ってたんだよ。でも結局他に良い名前もないし、時と共に「Lindemannも悪くないんじゃないか?」と思い始めてね。結局締切が来てしまったので、Lindemannということで落ち着いた。今は気に入ってるけどね。今ではすでに自分の名前という感じすら希薄になってるよ。完全に別物の、バンドの名前という感じがしている。

--- M : Lindemannはプロジェクトなのでしょうか。それとも今後ツアーをやるなど、フル・タイムでの活動を予定されていますか。


Lindemann:夏にかけてライヴはやろうと思っているんだ。まだ詳細は決まっていないけど。非常に楽しい作業だったからね、一度のプロジェクトとして終わらせてしまうのはもったいない。今後も続けて行こうと思っているよ。

--- M : 歌詞はどのような内容ですか。「Golden Shower」など、タイトルは強烈ですが。


Lindemann:色々なことを歌ってるよ。抒情詩っぽいバラードもあれば、もちろん「Golden Shower」のようなセックスについての歌もある。「Lover Boy」も性的だね。愛やセックス、フェティシズム、倒錯した妄想といったトピックは、人々の注目を引くと思うんだ。「これは興味深い」であろうと「不愉快だ!」であろうと、何らかのリアクションを引き出せる。

--- M : ところであなたはアメリカのThe Mentorsというバンドはご存じですか。


Lindemann:The Mentors? いや、知らない。どうして?

--- M : 彼らはいつもセックスついて歌っていて、「Golden Shower」というタイトルの曲もあります。ヴォーカルも非常に低音で、Lindemannとの共通点を多少感じたものですから。


Lindemann:それは興味深い。是非聴いてみるよ。

--- M : 彼らは80年代のとにかく下品なバンドなのですが、


Lindemann(大爆笑)

--- M : もしかしたらThe Mentorsをご存じなのではと思いまして。


Lindemann:なるほど。チェックしてみるよ。

--- M : PeterはHypocrisyというデス・メタル・バンドをやっていますが、あなたはエクストリーム・メタルはお聴きになりますか。


Lindemann:いや、聴かない。私はゴシック・ガイなんだ。エレクトロニック・ボディ・ミュージックとか、ゴシックのような暗い音楽が好きなんだ。

--- M : 普通のへヴィ・メタルもお聴きにならない。


Lindemann:まったく聴かない。それが良い結果になったと思うよ。Peterのギターはラフでタフで、そこに美しいピアノが入ってきて、常に速いパートばかりではなく息抜きできる部分があるだろう。メタルとゴシックがうまくぶつかっているというのかな。彼の非常にうまく配置されたキーボードのシークエンスが気に入っているんだ。彼はたまにエレクトロニック・ヴァイヴについてやりすぎることがあるのだけど、基本的にこういうアレンジメントがうまいんだよね。

--- M : お若い頃は、どのような音楽を聴いていらしたのですか。


LindemannJean Michel JarreTangerine DreamMike Oldfieldあたりだよ。ギターの入った作品を好きになったのはもっと後になってからだ。

--- M : Tangerine Dreamがお好きだったとのことですが、いわゆるジャーマン・ロックはお好きでしたか。RammsteinではKraftwerkのカヴァーもやられていましたが。


Lindemann:ジャーマン・ロックとは一口に言っても、音楽性は様々だったからね。私は東ドイツに住んでいたので、なかなかそういう音楽を聴くことができなかった。もっとソフトな音楽しか聴けない状況だったんだ。ギターや歌詞のない、人々に反政治的な思想を持たせることのないような音楽ばかりさ。社会主義の国では、政府は人々を馬鹿で空っぽなままにしておこうとしていたからね。The Rolling Stonesのようなギターの入っている音楽は禁止されていたんだ。

--- M : ということは当時はTangerine Dreamのような音楽に接するのは不可能だったのですね。


Lindemann:まったく無理だった。

--- M : 70〜80年代の東ドイツにおける音楽シーンとはどのようなものだったのですか。


Lindemann:非常にアンダーグラウンドなところでは、パンクなどのインディペンデントな反政府的な音楽シーンがあった。エレクトロニクス的な音楽もあったが、それもやはり非常に政治的な内容を含んでいるものだったよ。私の音楽的なバックグラウンドとしては、クラシックも非常に重要だ。両親がクラシックが大好きでね、バッハとベートーヴェンは毎日聴かされていたよ。親父がギターが大っ嫌いだったので、ロックをかけることが禁止されていたんだ。ロックをかけていると、「そんな糞みたいなものは消しなさい。これが本当の音楽だよ。ヴァイオリンを聴いてごらん。」とヘンデルか何かを聴かされた。何とか私をクラシック・ファンにしようとしてね。

--- M : 簡単にクラシック・ファンには鞍替えしなかったのですか。


Lindemann:今はクラシックを紹介してくれたことについて、親父に感謝しているよ。今では逆にハードな音楽を聴くことは殆どなく、クラシックばかりだ。あとはキューバのサルサとかね。

--- M : お好きなクラシックの作曲家は誰ですか。


Lindemann:やっぱり今でもバッハだよ。彼はオルガン弾きとしても優れていたし、フルートやギターなど、様々な楽器を用いて多彩な曲を書いているだろ。素晴らしいよ。ワーグナーほどへヴィでないから聴いていて気が滅入ることもないし、ヴィヴァルディほど軽快でもない。その中間の非常に良いさじ加減というのかな。バッハの作品は今でもメジャーだろ。

--- M : そうですね、今でもロックやポップスにアレンジされて使われています。


Lindemann:そうなんだよ。

--- M : あなたの低音ヴォイスは非常に特徴的ですが、どのようなヴォーカリストから影響を受けていますか。


Lindemann:もちろん一番はThe Sisters of Mercy。フィンランドの69 Eyesのダークなヴォイスも大好きだ。Type O Negativeも大好きだね。Peter Steeleが死んでしまったのは非常に残念だ。

--- M : Rammsteinはもう10年も日本でライヴをやっていません。心待ちにしているファンも多いと思うのですが。


Lindemann:オーストラリアではライヴをやっているので、その帰りに日本に寄ろうといつも計画しているのだけどね。今回のプロモーションもオーストラリア経由なんだ。2011年にも日本に来ようとしたのだけど、火炎放射器の輸送に問題があってね、日本への持ち込みが不可能だったんだ。10年前に日本に来た時も、それらの機器を日本に持ち込む手続きがとても大変でね。しかし、なるべく早く日本に戻って来たいと思っているよ。前回のライヴは本当に良い思い出になっているんだ。ファンはとにかく熱狂的で、こういうのはたまに中南米ではあるのだけど、日本のファンはとにかく叫びまくったりで凄かったからね。

--- M : ライヴで火炎放射器などを使おうと思ったきっかけは何だったのですか。


Lindemann:Rammsteinの曲はイントロや中間部が長いので、ヴォーカルの私はマイクの前に突っ立っているだけで、やることがなかったんだよ(笑)。とにかく退屈で、かと言って私はダンスなどをやるタイプでもないし。それで何かやることはないかと考えて、「そうだ、火遊びでもしてみたらどうだろう。」と思った。パイロに詳しい友達がいたので、彼のところに行って「他のメンバーが演奏している間、私はやることがないので、何かステージで使えるものを作って欲しい。」と頼んだんだ。彼は火炎放射器などいくつか使えそうなものを見せてくれたので、私はそれを全部もらっていってステージで使い始めた。他のメンバーは、「お前何やってんだよ!」とびっくりしていたんだけど、「仕方がないだろ、ステージで暇で仕方だないんだ!」ってね。

--- M : それでパイロの資格も取得されたんですよね。


Lindemann:そうなんだ。そうでないと、ステージで使わせてもらえないからね。初めはパイロの資格を持っている人に来てもらっていたのだけど、毎晩ステージでやるために自分で資格を取ることにしたんだ。

--- M : 最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。


Lindemann:9月にまたRammsteinとしての活動を再開し、ニューアルバムのプリプロダクションを始める予定だ。Lindemannというプロジェクトを始めたせいもあって、Rammsteinは解散したなんていう噂が流れているようだけど、真っ赤な嘘さ。

--- M : どうもありがとうございました。




  TillがThe Mentorsなんて知っているわけないよなと思ったんですが、案の定ご存じなかったようで。本当にThe Mentorsをチェックして、「こんなのと一緒にするな!!」とお怒りでないと良いのですけど...


The Mentors


 Peter Tägtgrenとのプロジェクトとのことで、Rammsteinファンだけでなく、エクストリーム・メタル好きにも興味深いLindemann。音を聴いた感じでは、HypocrisyではなくPainのPeterという側面が強いように思われるが、Rammstein同様、間違いなくヘヴィ・メタル・ファンにもアピールする仕上がりとなっている。

 Rammsteinも間もなく活動再開というのも、うれしいニュースだ。是非ともまた日本に戻ってきてもらいたい。

川嶋未来/SIGH
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