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2015年6月26日 (金)

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 ベルリン・フィル関係ニュース

キリル・ペトレンコが、ベルリン・フィルの次期首席指揮者に決定
発表記者会見の映像と全文訳をご覧ください!

 6月22日、ベルリン・フィルハーモニーで2018年に首席指揮者を退任するサー・サイモン・ラトルの後継者が発表されました。そのキリル・ペトレンコは、1972年オムスク生まれ。10代で家族と共に西部オーストリアのフォアアールベルクに移住し、ウィーン音楽大学で学びました。1999年にドイツ・マイニンゲン劇場の音楽総監督に就任し、《リング》を上演して高い評価を獲得。2002〜07年はベルリン・コーミッシェ・オーパーの音楽総監督を務めています。2013年からは、バイエルン国立歌劇場の音楽総監督のポストにあり、現行のバイロイト音楽祭の《リング》(2013〜15年)でも指揮しています。
 ペトレンコは、ハンス・フォン・ビューロー、アルトゥール・ニキシュ、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、クラウディオ・アバド、サー・サイモン・ラトルに続く、7代目のベルリン・フィル首席指揮者となります。本ページでは、発表記者会見の模様をビデオ(ドイツ語/英語)でご覧いただけるほか、その日本語全訳もお読みいただけます。


現地メディアの反応=「自分よりも作品を中心に置く“静かなスター”」
 ペトレンコは、既にロイヤル・コンセルトヘボウ管、シカゴ響等に登場していますが、これまで活動をほとんどドイツ、オーストリアに限定していました。完璧主義ゆえにCDも数枚しか録音しておらず、国際的には比較的未知の存在と言えるでしょう。しかし独語圏では、既にトップクラスの若手指揮者に数えられています。
 ドイツの主要メディアは、彼の選出をおしなべてポジティブに捉えています。その際、ペトレンコは「謙虚」、「自分よりも作品を中心に置く」、「メディア嫌い」と描写、評価されています。2013年にバイエルン国立歌劇場音楽監督に就任した際には、シーズン中、他の団体への客演を止め、ミュンヘンでの仕事に集中。世界を飛び回ることを避け、特定のオーケストラとの関係を築き上げるタイプの指揮者と認識されています。
 「彼は国際的クラシック界において、“静かなスター”と呼ばれている。インタビューはほとんど行わず、記者会見に参列する(しなければならない)場合も、少年のようにシャイな印象を与える。そして、本当に謙虚である。ミュンヘン・オペラの新シーズン記者会見では、“《マイスタージンガー》を初演劇場で指揮することには、深い畏怖を覚える”と語っている。彼は世界の劇場、オケから求められるスターだが、このような言い方は自惚れた“ポーズ”ではない。なぜなら彼は、自分が作品の僕だと理解するのであり、オーケストラと共に、スコアの内奥まで到達することを至上の目的としているからである(6月23日付『ターゲスシュピーゲル』紙)」(写真© Wilfried Hösl)


会見映像全文日本語訳
ペトレンコ「私はベルリン・フィルを抱擁したい気持ちです」


エリーザベト・ヒルスドルフ(広報部長)「皆さん、フィルハーモニーへようこそ。私は財団法人ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の広報部長エリーザベト・ヒルスドルフです。
 まず、今日お話しするメンバーをご紹介いたします。左から、コントラバス奏者でオーケストラ代表のペーター・リーゲルバウアー、第2ヴァイオリン奏者でメディア代表のスタンリー・ドッズ、インテンダントのマルティン・ホフマン、ソロ・チェリストでメディア代表のオラフ・マニンガー、ヴィオラ奏者でオーケストラ代表のウルリヒ・クネルツァーです。
 会見の進め方について、ご説明します。今日の模様は、デジタル・コンサートホールで世界的に生中継されます。そのため、ドイツ語と英語の両方でお話します(以下英語)」

マルティン・ホフマン(インテンダント)「今日はお越しくださって、どうもありがとうございます。今日はベルリン・フィルにとって、とても晴れがましい日です。皆さんはこうして沢山いらしてくださったわけですが、なぜ我々が突然記者会見を開いたか、薄々勘付いていらっしゃるでしょう。その理由については、オーケストラ代表のふたりが、皆さんにご説明します。しかし、まず私から申し上げたいのは、我々が昨日した決議について、非常に喜び、安堵を感じているということです。そして、それを皆さんに発表できるとは、何と素晴しい月曜日なのでしょう(以下英語)」

ペーター・リーゲルバウアー(コントラバス/オーケストラ代表)「私は皆さんに、重要はお知らせをしたいと思います。昨日オーケストラは、将来の首席指揮者を選ぶために、再びオーケストラ総会を持ちました。そして選挙のプロセスを終了し、結果を出すことができました。バイエルン国立歌劇場の現音楽総監督であるキリル・ペトレンコを、次期首席指揮者として選出したのです。ペトレンコは、直後の私との電話で依頼を受諾し、“ベルリン・フィルを抱擁したい気持ちです”と言ってくれました。彼は、自分自身ではなく、スコアと作品を最も大切とする音楽家であり、コンサートホールを魔法にかけることのできる指揮者なのです(以下英語)」

ウルリヒ・クネルツァー(ヴィオラ/オーケストラ代表)「今回の選挙で特別なのは、ペトレンコがたった3回の客演で首席指揮者に選ばれたということです。彼が2006年に初めて我々のオーケストラにデビューした時、その特別さは、既に現れていました。普通、初登場の指揮者が出演した後には、メンバーの間で“彼を次回、招待するべきか否か”が議論になります。しかしペトレンコの場合は、直後から“いつ登場してもらうか。いつ来られるか”ということだけが問題になったのでした。彼とより早く、より多く共演したいという気持ちは、次の2回でさらに強まり、ついに我々は彼を“首席指揮者として100パーセント得たい”と決断するに至ったのです(以下英語)」

オラフ・マニンガー(ソロ・チェロ/メディア代表)「私とスタン・ドッズからは、皆さんにキリル・ペトレンコからのメッセージをお伝えいたします。私がドイツ語、彼が英語です。
 その前に、私からひと言だけ言わせてください。我々は、この決断を本当に心から喜んでいます。そしてそれは、我々にとって非常にエモーショナルな決断です。ペトレンコが作品に掛ける情熱と信念、音楽への深い愛と探求精神は、最初の瞬間から我々を圧倒しました。彼が我々に至る道を見出し、次の首席指揮者となると決まったことに、ベルリン・フィルは信じられないほどの喜びを感じています。
 さて、彼の言葉です。“今の心境を、言葉で表現することはできません。幸せの絶頂から畏怖の念、不安まで、すべての感情が混ざっています。私はこのオーケストラにふさわしい首席指揮者となるために、全力を尽くしたいと思います。同時に、私に課せられる責任と期待の大きさも、強く意識しています。そして、オーケストラと共に、多くの芸術的喜びの瞬間を体験したいと、心から望んでいます。それこそが、我々の日頃の鍛錬の報いであり、芸術家としての人生を満たすものだからです”」

スタンリー・ドッズ(第2ヴァイオリン/メディア代表。ペトレンコのメッセージを英語で復唱)

記事首席指揮者発表記者会見の映像を観る
ペトレンコ指揮スクリャービン《法悦の詩》抜粋を観る


次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2015年7月17日(金)発行を予定しています。

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