ウリ・ジョン・ロート インタビュー!
2015年3月5日 (木)
Uli仙人のお言葉の前では、どんな前置きも蛇足でしかない。早速ご高説を賜ろうではないか。
- --- Mirai Kawashima (以下、M): それでは始めましょう。新作"Scorpions Revisited"は、準ライブレコーディングという形になっています。スタジオでのレコーディングよりもライブレコーディングの方がお好きとのことですが。
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Uli Jon Roth(以下、U):確かライナーノーツにはそう書いたね。スタジオでの作業はある程度は好きなのだが、それはライブとは違ったものなのさ。ライブは、皆同時に広い空間で演奏をするという特別なものだ。サウンドもフィーリングも、そして流れもスタジオ演奏よりも優れたものになる。スタジオにおいて一つ一つ完璧に演奏をするというのは、結果として味気ないものになりうるからね。知っての通り、過去にはそういった楽器を一つ一つ重ねて行くという作業もやった。私は完璧主義者だからね。でも今では皆同時に演奏し、一発録りで、ミスがあればところどころ修正したりヴォーカルをオーヴァーダブするというやり方の方がエキサイティングに思えるんだ。次のアルバムも、このやり方で録音しようと思っている。曲を準備し、一発で録音する。一発録音でしか得られないスペシャルマジックさ。このやり方にはデンジャーが伴うのも良い。そもそもロックというのはデンジャラスなものだからね。何が起こるかわからないのが面白いのさ。あまりに安全で、洗練されたものはロックとは言えないよ。大切なのはロックのスピリットさ。
- --- M : ではAuto-Tuneや完全にクオンタイズされたリズムと言った、今日のレコーディング・テクノロジーについてはどのように思われますか?
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U:クオンタイズはまったく好きではない。Creator、Notator、Logicといったシーケンサーが出てきたときには、クオンタイズを色々と試してはみたのだけど、確かに完全にクオンタイズされた音楽というのはある一面興味深い。例えばバッハのピアノ曲やオルガン曲のようなものは、とても心を落ち着かせる効果がある。完全なクオンタイズで演奏されると、確かに何か心に訴えるものはある。しかし完全にクオンタイズされているのがアーティスティックだとは言えないよ。アーティスティックであるというのは、例えばもっとオーガニックで、我々の体や心に結びついているものだ。例えば我々の脈が、心の状態や呼吸などの体の欲求によってスピードを変えるようにね。ロックというのはわりと一定のテンポで演奏される傾向にあるけれども、クラシックはそうではない。私のアプローチというのはその中間にあって、例えロックを演奏するときでも、あるパートは速くなり、別のパートは遅くなる。これは私にとって非常に重要なことだ。最初から最後までずっと同じテンポなんて、とても退屈だよ。死んでいるようなものさ。エネルギーの流れというのはそういうものではない。
- --- M : なるほど。シーケンサーを使った音楽と言うと、ドイツにはKraftwerkなどがいますが、いわゆるクラウトロックのような実験的な音楽に興味はありましたか。
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U:いや、まったくなかった。フェスなどで一緒に演奏をして、仲良く話すことはあったが、興味はなかったね。私はまったく別の世界にいると思ったし、Scorpionsはアメリカやイギリスのバンドに影響を受けていたから。個人的にはJimi HendrixやBob Dylan、それからCreamにとても大きな影響を受けた。Deep PurpleやLed Zeppelin、あとはThe Beatlesだね。私とKlaus (Meine)はThe Beatlesが大好きだった。音楽やメロディ、ハーモニーの理解ということについて、The Beatlesからは非常に大きな影響を受けたよ。彼らは本当に素晴らしい。クラウトロックからは何の影響も受けなかった。当時アメリカやイギリスのバンドの影響を受けて、ドイツ訛りの英語で歌っていたバンドは私たちしかいなかったんじゃないかな。それがScorpionsの味でもあったのだろう。
- --- M : あなたの音楽にはたまにエスニックな要素を感じますが、これはThe Beatlesからの影響でしょうか。
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U:エスニックな要素?そうかな。それは意識したことないな。個人的にはフォークソングが好きなんだ。(アコースティックギターを弾くまねをしながら)いわゆるフォークではなくて、民俗音楽の方のフォークソングだ。日本や中国の音楽も非常に美しいし、ドイツの民俗音楽もそうだ。私はそういう音楽のメロディからの影響は受けていると思う。Klausもそうじゃないかな。二人ともメロディを大切にするタイプだからね。
- --- M : 日本の古い歌にはドイツからの影響が大きいものがありますからね。
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U:中国からの影響も大きいんじゃないかな。もちろん日本と中国が抱えている問題というのは理解しているけど(笑)。日本と中国の音楽にはもちろん違う点もあるが、共通点も感じられる。4度や5度を使ったメロディの流れとかね。ドイツではあまり使われない動きだよ。でも確かに日本とドイツの共通点もあると思う。先日のMASA ITOさんとのインタビューでは、「荒城の月がScorpionsのオリジナルだと言っても違和感が無い」ということを言われた。確かに「荒城の月」を一度聞いたあとであれば、あのようなスタイルの曲を書くことはできたと思う。「荒城の月」は、ヨーロッパの影響下にある日本の曲という感じがする。おそらく作曲者にも、そのような意図があったのではないだろうか。とにかく心に触れるメロディは、どんなものであれ大好きさ。実際インドの音楽も大好きなんだ。ラヴィ・シャンカールとかね。いつも聞いているわけではないが、とても美しいと思う。George HarrisonがThe Beatlesに持ち込んだ要素も大好きだ。彼は天才だよ。いつかはああいったことも試してみたいとは思っているのだけど。
- --- M : クラシック音楽からの影響についてはいかがですか。
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U:クラシックからの影響は凄まじい。クラシック音楽無しでは、今の私のギタースタイルは無かったよ。私はトラディショナルなクラシック奏者ではないし、もっと反抗的なスタイルだとは思うが、ルーツはクラシック音楽にあるよ。
- --- M : お好きな作曲家は誰ですか。
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U:いわゆる偉大な作曲家たちの中からNo.1を選ぶのは難しい。時によって変わるからね。Mozartの時もあれば、Chopinの時もある。Beethovenであったり、Bachであったり。さらにこれらの作曲家に並ぶとまでは言えないが、非常に近いレベルの作曲家もいる。Brahmsとかね。それからWagnerは凄い作曲家だ。素晴らしいハーモニーは時に恐ろしく、パワフルだ。彼の時に恐ろしいメッセージは私の好みではないのだけど、音楽自体は非常に催眠的だ。Mahlerの交響曲も良い。さらに非常に美しいメロディを書く、Pucciniのような作曲家もいる。他にあのような美しいメロディを書ける人間はいないよ。私はあらゆるスタイルのクラシック音楽が好きなんだよ。厳密にはBachはバロック音楽と定義すべきなのだろうけど、Bachの時代と言えばHandel。Handelは素晴らしいね。「メサイア」とか。彼の曲は正直どれも似通っているけど、明らかに新たな音楽言語を創出したと言える。非常に力強く、高貴だ。彼の音楽はとてもシンプルで、派手さを装うための花火を使うことはない。「王宮の花火の音楽」は書いてるけど、それも派手なものではない。同じ時代にはScarlattiもいる。彼は本当に先を行っていた作曲家だ。決して聞きやすい音楽ではないが、間違いなく天才だよ。彼の使った不協和音は、まるで現代音楽だ。
- --- M : すみません、インタビューの持ち時間が残り2分になってしまいました。
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U:いやいや、時間はいくらでもあるよ。
- --- M : サウンドチェックの時間が迫っているようでして。
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U:サウンドチェックはインタビューが終わってからでもできるさ。
- --- M : どうもありがとうございます。ではインタビューを続けます。あなたの音楽では、インプロヴィゼーションが非常に重要な役割を持っていると思いますが、インプロヴィゼーションはどのようにやられているのでしょう。例えばスケールを意識してとか、或いはもっと自由に心のおもむくままにとか。
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U:スケールは絶対に意識しない。スケールを考えてインプロすることは無いよ。もちろん私はあらゆるスケールを知ってはいる。スケールの知識というものは、梯子みたいなものなんだ。AからBへ移るための道具でしかない。例えば君が話をする時に、いちいち文法規則について考えはしないだろう。ただ話す事柄のイメージを思い浮かべるだけだ。私がステージで15分間、完全にインプロヴィゼーションで演奏をしなくてはいけないとすると、私が考えるのは音楽の文法規則ではない。音楽理論について考えるのではないんだ。もちろん私は音楽理論にも通じている。だからこそ、今のようなプレイができる訳だ。しかし、インプロヴィゼーションをする時には、私の心は音楽理論から完全に自由になっているんだよ。真っ白いキャンヴァスのような物さ。これからどのような旅が始まるのか、私自身もわくわくする。私は、まるで映画のように私の心に湧きあがってくるイメージに従うだけだからね。そのイメージを三次元のものとして見て、感じることができるんだ。音符が三次元の物として感じられるんだよ。まるで幽霊であるとか、光のようにね。そしてコードは色のように感じられるんだ。
(ここでサウンドチェックのお呼びがかかる。)
悪いけど、インタビューを続けさせてくれないか。サウンドチェックの気分じゃないんだよ。今、素晴らしい話をしているところなので、邪魔をしないで欲しいんだ。話が終われば、サウンドチェックをするから。素晴らしい話を中断するというのは、Sky Academyの理念に反することだよ。どこまで話したっけ? - --- M : つまりミュージシャンというのは、まず音楽理論をきちんと勉強した上で、そこから自由に演奏するというのがベストとお考えでしょうか。
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U:音楽で何をしたいか次第だよ。もしプロのミュージシャンになりたいのなら、当然スケールの勉強もすべきだ。テンポに合わせて演奏することや、とにかくすべてを学ばなければいけない。職人というのは多くを学ばなくてはいけないんだ。しかしそれだけではアートとは言えない。アートというのは職人芸の上に位置する、さらに難しいものだからだ。アーティストは優れた職人でなければいけないのは当然だが、優れた職人が優れたアーティストであるとは必ずしも言えない。職人というのは同じことをずっと続けるが、優れたアーティストは、新たな物を創造し続けなくてはいけないからね。しかしいつもパーフェクトに、という訳にはいかないかもしれない。同じ物をパーフェクトに作るという意味では、職人の方が優れているだろう。本当のアートにおいて新たなことに挑戦するというのは、当然危険も伴うし、パーフェクトに行かないこともあるということだ。だが、その方が「生きている」ということであり、スピリットがあるということ。本当のアートは、生きたスピリットを持っているんだ。これは魔法のようなもので、アートはそれを受け取る人の中で生命を与えられるんだよ。アルバムを聴く人、小説を読む人、絵画を見る人の中でね。例えばミケランジェロの名作はそれを見る人の中に入り込むと、絵画それ自体は生命を持たず凍りついているにもかかわらず、溶け出し、その人の感情として生命が与えられる。CDも、それ自体は生命を持たない無機的なものだが、そこから出てくる音楽は、それを聴く人の中で生命を与えられるのさ。そしてその音楽を聴く君のスピリットと、録音された音楽とが共鳴をし、まったく新しいものを作り出す。それも聴く度に違うものをね。私はインプロヴィゼーションをするにあたって、いつもこの事を意識している。インプロをする時は私は常にオープンであり、だからこそどんなことでも起こりえる。時にはうまく行かないことすらある。殆どはうまく行くが、100%とは言い切れない。それこそが私の好きなデンジャーなのだ。バランスというのは常に大事だ。例えば飛行機や鳥が空を飛ぶ場合、風に逆らわず、それに乗る必要がある。何が起こるのかわからないわけだから、バランスを大切にし、次の一歩をどうするかという多くのジャッジメントをする必要がある。
- --- M : いわゆる名曲をリメイクするというのは非常に難しいと思います。と言うのも、ファンはどうしてもオリジナルの印象が強く、リメイクの結果がどうであれ不満を持つ傾向にあるからです。しかし、"Scorpions Revisited"については非常に成功しており、ネガティヴな評はいまだ目にしていません。リメイクを成功させた秘訣は何だったのでしょう。
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U:それはとても良い質問だね。まず今回のリメイクをするにあたり、非常にハードルが高いであろうことは意識していた。何しろこれまで数多くのギタリストが、いかに"Tokyo Tapes"が素晴らしいか、いかに彼らに影響を与えたかを伝えに私のところにやってきたからね。サインもたくさんした。しかし、私は不思議な気持ちだったんだよ。正直なところ"Tokyo Tapes"は、私にとってはそれほどの大きな意味を持っていなかったからね。あれは私にとってScorpions最後のアルバムであり、あの時すでにバンドを脱退気味であったので、ミキシングにも参加していない。それにあのサウンドも好きではないんだ。もちろんプレイ自体は気に入っているよ。あの1978年中野サンプラザでのプレイは、間違いなく当時のScorpionsのライヴとして最高の物だった。しかし音質やジャケットなどが気に入らなくて、出たときに一度聴いたきりにしていたんだ。ところが皆、あれは最高のアルバムだと言ってくるわけさ。だから、リメイクのハードルが高いであろうことは予想できた。アーティストがルーツに立ち戻り、新曲を昔のスタイルで書くというアイデアは好きだが、それで失敗するケースも多いだろう。残念ながら人間は年をとるとエネルギーやインスピレーションが減ってしまうからね。私はそのパターンにははまりたくなかったので、まずそれぞれの曲が持っている本質に迫る必要があった。そのために私がやったことは、オリジナルを聴き直すことではなかった。せいぜい1度か2度聴いただけだよ。すべての曲を覚えているしね。代わりに私がやったことは、あの当時と同じことだ。当時、ライヴでも毎回演奏を変えていた。"Tokyo Tapes"でも多くのインプロヴィゼーションが取り込まれているだろう。毎晩違うことをやっていたんだよ。私はそういうバンドが好きだったしね。Deep Purpleもそうだっただろう。毎晩違う演奏だった。Led Zeppelin、Jimi Hendrix、Creamも皆そうだ。いつも同じ演奏しかしないバンドはすぐに飽きてしまう。私は何かを作るというプロセスが大好きなんだ。つまり今回のリメイクの成功の秘訣は、これらの音楽にまったく新しい、新鮮な精神状態で取り組んだことだよ。リハーサルすらしなかった。リハーサルはやりたくなかったんだ。Scorpionsでもリハーサル無しでやることがよくあったよ。私のバンドのメンバーは、非常に優れたミュージシャンだからね、彼らは何でもできる。私が曲のリストを送れば、それを覚えてくる。そしていきなりステージで演奏する。これが私のやり方さ。("Tokyo Tapes"の)「荒城の月」もそう。事前にリハーサルはしなかった。Klausがカセットで聞いたメロディを覚えてきて、それをステージ上で歌って教えてくれたのだけど、すぐにどんな演奏が可能かはっきりわかった。今回のツアーでも同じやり方をしている。新しいイントロ、インプロヴィゼーションなど、毎晩違う内容なんだ。これこそがスピリットだよ。毎晩同じことをやっていたら、それは単にコピーをしているにすぎない。そしてコピーは決してオリジナルを超えられない。私のバンドには、Klaus Meineもいないし、Rudolf Schenkerもいない。そもそもKlaus Meineの代わりになるようなシンガーはいる訳がない。彼の声質やアプローチは特別だからね。なので私はKlausのようなシンガーを探すつもりはなかった。Klaus Meineは世界に一人だし、Rudolf Schenkerも一人しかいない。なので何か違ったものをバンドにもたらしてくれるミュージシャンを探した。そしてNATHAN (JAMES)はまさにそういうタイプだった。"Pictured Life"ではLiz (Vandall)が素晴らしい仕事をしてくれた。
もちろん新しい部分が必要である一方、オリジナルのスピリットに忠実であることも大切だ。これが成功の秘訣だと思う。つまり曲の本質に迫るということ。本質にさえ迫れれば、後は瓶のふたさえ開ければ新鮮な中身が噴き出してくるのさ。生きたものを取り出すためには、本質に迫れば良いのだ。今回は、非常に長いアメリカツアーを通じて少しずつ本質に迫れた。最初は自分たちのやり方を模索している感じだったけれども、毎晩毎晩良くなっていってね。そしてある時、古いものから新しいものが産まれたというのかな、その瞬間をはっきり知覚できた。そしてその新しいものと共にアルバムを録音したのだけど、これは非常に変わったアプローチの仕方だったかもしれない。レコーディングをScorpionsがリハーサルに使っていたホールでやったのも、本質に迫るためさ。あそこならうまく行くとわかっていたからね。そして思った通りになった。とても満足しているよ。何しろこれなら満足だと思える状態になるまでに1年以上かかったわけだから、決して簡単なプロセスだったとは言えないが、基準点を超えた途端にすべてがイージーになった。「よし、これだ!」と思った瞬間があって、それが魔法の始まりだった。それからはすべての曲が、「これだ!」という状態になってね。p> - --- M : なるほど、つまりこれらは過去の名曲であり、一方で同時に新鮮でもあるということが秘訣だったのですね。
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U:そうだね。こういうことは過去にやったことがなかったので、私にとっても非常に興味深い経験だった。クラシックの名曲を自分なりに解釈するというのと似たプロセスだったよ、Vivaldiの「四季」をやった時のようにね。「四季」という傑作がすでに存在していて、それをまるで子供のように、自分なりに新たに見つめ直すという作業に近かった。
- --- M : それでは最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
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U:日本のすべてのファンに?それともこの動画を見ている人にかな。"Scorpions Revisited"を好意的に受け止めてくれて、どうもありがとう。東京、大阪、名古屋のコンサートを見に来てくれた人たち、どうもありがとう。遠くからわざわざ見に来てくれた人もいたみたいだね。皆が歓迎をしてくれたおかげで、とても素晴らしいステージになった。日本のファンは私たちよりもきちんとと曲を覚えてきてくれるから、私たちもステージから皆の口の動きを見て参考にさせてもらったよ(笑)。
この素晴らしい経験をDVD用にも撮影できたし、良かった。どうもありがとう。 - --- M : どうもありがとうございました。
「バッハのピアノ曲やオルガン曲のようなクオンタイズされたもの」と「クラシックは一定のテンポで演奏されるものではない」が矛盾しているように見えるかもしれない。当然クラシックというのは指揮者や奏者によってその解釈は様々なのだが、バッハの「インヴェンションとシンフォニア」や「平均律クラヴィーア曲集」などを思い浮かべてもらえばわかる通り、これらの楽曲は派手にテンポを揺らして演奏するという印象は無い。当時の鍵盤楽器は、今のピアノのように音の強弱を自由につけられるものではなく、全体的に淡々と演奏される傾向にあったと思われる。普通我々は、クラシック音楽というとバッハなどのバロック期も含むが、Uliはインタビュー内でも触れている通り、基本的にクラシック音楽=古典主義以降という区分に従っているようだ。
それから「荒城の月」について。この曲は瀧廉太郎によって書かれ、その後山田耕筰により改変されているのだが、この二人とも当時ドイツに留学をし、西洋音楽を学んでいる。瀧廉太郎が「荒城の月」のメロディを思いついたのが、ドイツ留学の前なのか後なのかは微妙ではあるが、明治時代に日本で西洋の音楽を学ぶということはドイツ音楽を学ぶこととイコールだったのであり、「荒城の月は、ヨーロッパの影響下にある日本の曲」というUliの表現は、まさに歴史的事実を突いている。
アーティストにとってインタビューというのは、彼/彼女らの音楽活動や理念、発表作品について正直に、赤裸々に、理路整然と語る場ではない。ある情報の根拠として、インタビューでの発言が引き合いに出されることがしばしばあるが、ではアイドルが「ファーストキスの相手はお父さんです!」と言い放ったとき、それを額面通りに受け取る人間がどの程度いるだろう。(例えが古くて申し訳ない。)もちろん発言のすべてが虚構ではないだろう。事実と虚構が複雑に混ざり合って、インタビューそれ自体がそのアーティストの世界の一部を構成しているのだ。ニューアルバムがリリースされる。それについてアーティストが発言する。その発言は、ニューアルバムを外部から眺めて行うのではなく、むしろその発言自体がニューアルバムの世界を構成する一部となるのだ。「何故○○のカバーを収録したのですか?」という問いに対し、本音は「オリジナル書くのが面倒臭かったから」だとしても、おそらくはそうは発言しない。ジョニー・ライドンあたりは言いそうだが、それがまた彼の世界の一部なのだ。あるアーティストのインタビューは虚構1に対し事実9であり、また別のアーティストは虚構が9で事実が1かもしれない。ただ、明らかに外部にいる我々からすると、アーティストの発言が虚構であるのか事実であるのか、年齢が10万23歳というような、明確に虚構を示すことを意図しているケースにおいて以外知りようがないし、知る必要もないのである。
しかし、それを踏まえた上でなお、仙人Uli Jon Rothが語る言葉には、一切の虚構がないような気がしてならない。すべてが本心、本音。ご覧頂いた通り、Uliの答えは長い。通常、話が長いというのはネガティヴに捉えられやすい。ダラダラと話が続いた上に、結局結論がわからない、などというケースに遭遇することも多いだろう。しかし、Uliの発言に無駄な部分が見られただろうか。すべてに発言に意味が有り、かつ完璧に質問に対する結論に到達している。Uliにとってインタビューというのは、彼の音楽活動や理念、発表作品について正直に、赤裸々に、理路整然と語る場なのだ。もしあなたが本当に音楽というものを愛しているのなら、Uliの一言一言が心にしみるに違いない。
Uli & Mirai
川嶋未来/SIGH
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