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56Pブックレット付き!初期ウエスの超貴重音源がResonanceより再び!

名盤復刻 再発ストア

2015年3月9日 (月)

ウエス・モンゴメリー

ウエス草創期の一大アンソロジー
オクターブ奏法、ベースを弾くウエス、クインシー・プロデュース音源・・・『エコーズ・オブ・インディアナ・アヴェニュー』を凌ぐ驚愕の未発表音源!


我々の演奏はビバップ主体で、当時にしてはちょっと変わったサウンドだった。またギターをメロディー楽器として主役に立てるアイデアも斬新だった。― モンク・モンゴメリー

この録音をした55 年、ウエスのプレイはまだ青臭いが、もう独特のサウンドがあるじゃないか。オクターブ奏法も親指の技法も、彼が発明した技が全て出ている! ― クインシー・ジョーンズ

親父が長生きしてくれて、一緒にこのコレクションを聴けたらどんなに良かっただろう(生きていたら92 才だ!)。きっと父も僕と同じくらいこのアルバムが大好きになったろう。これが世代やスタイルを越えて愛されるジャズだ。 ― ピート・タウンゼント


 2012年に大きな話題となった『エコーズ・オブ・インディアナ・アヴェニュー』に続いて再びウエスの大変貴重な未発表音源が登場!今回も、未発表演奏をギッシリと収録。しかも、これは、決して、前作の時に漏れた音源ではないのです。その経緯についてはライナーにある発掘仕掛け人ゼヴ・フェルドマンの言葉に詳しくありますが、これは『エコーズ・オブ・インディアナ・アヴェニュー』がきっかけになって、新たに明らかになった発掘音源なのです。

 また音源の貴重さはもちろんですが、今回も編集、企画が素晴らしく、偉大なるギタリストの初期の姿を明らかにするもの。一言でいうなら、本作はズバリ、「ウエス・モンゴメリー草創期の一大アンソロジー」といって過言ないでしょう。

 ディスク1全てとディスク2収録3曲の計17トラックは、ウエスの弟バディが所有していた録音で、そのうちの13トラック(Disc1/M1-13)が、インディアナポリス「ザ・ターフ・クラブ」での1958年8月と11月の演奏(一部は『エコーズ・オブ・インディアナ・アヴェニュー』と重複)、1トラック(Disc1/M14)が同じくインディアナポリスにあるウェスの姉妹アーヴィーナ・モンゴメリーの自宅で1956年9月に行われたジャム・セッション、そして残る3トラック(Disc2/M1-3)が1958年11月に収録された同市“ミサイル・ラウンジ”での演奏。この3トラック目では、この時期にして華麗なるオクターブ奏法が披露される展開。


モンゴメリー・ブラザーズ


 また、アーヴィーナの自宅での「ラルフス・ニュー・ブルース」ではウエスがなんと、エレキ・ベースだけを弾いていて、何とソロまで取っているのですから本当に驚きの大発見です。さらに、「ミサイル・ラウンジ」の3曲中2曲は10分を超える演奏で、後にオルガニストとしてウエスの相棒を務めるメルヴィン・ラインがピアノを弾いています。

 続く5曲(Disc2/M4-8)は、1955年6月15日にウェスがNYCのスタジオで、クインシー・ジョーンズのプロデュースの下、エピック・レーベルのために録音したもの。そのうちの1曲「ラヴ・フォー・セール」だけは米コロンビアのオムニバス盤『Almost Forgotten』に収められて世に出ていますが、残る4曲はこれまで存在すら知られていませんでした。ライヴよりコンパクトにまとめられた演奏は緊張感にあふれていて、初期ウェスの実力が余すところなく記されています。また、ソフィスティケイトされたサウンドには、クインシー・ジョーンズのプロデュース・センスも垣間見えるもので、その筋のファンにもお薦めといえるでしょう。

 さらに、この『イン・ザ・ビギニング』は続きます。
ディスク2のM9「オール・ザ・シングズ・ユー・アー」は、1957年にシカゴの「C&C ミュージック・ラウンジ」での演奏。インディアナポリスで共に演奏していたサックス奏者プーキー・ジョンソンも加わっており、くつろいだウエスのプレイが光っています。

 最後の3曲(Disc2/M10-12) は、このアルバムの中で最も古い演奏で、1949年の録音。当時ウエスが所属していたライオネル・ハンプトン・バンドの同僚でテナー奏者のジーン・モリス名義でカリフォルニア州フレズノにあったスパイア・レコードに残された演奏ですが、SP盤2枚分4曲のうち3曲がここに収録。この時期のウェスは、チャーリー・クリスチャンの影響をはっきりと感じさせ、何とも興味をそそります。



『Early Recordings from 1949-1958 In the Beginning』 収録曲

CD1
  • 01. After You've Gone
  • 02. Fascinating Rhythm
  • 03. Brazil
  • 04. What Is There To Say?
  • 05. Four
  • 06. Wes' Tune
  • 07. My Heart Stood Still
  • 08. How High The Moon
  • 09. Django
  • 10. Going Down To Big Mary's
  • 11. I Should Care
  • 12. Caravan
  • 13. Six Bridges To Cross
  • 14. Ralph's New Blues

CD2
  • 01. Soft Winds
  • 02. Robbins' Nest
  • 03. A Night In Tunisia
  • 04. Love For Sale
  • 05. Leila
  • 06. Blues
  • 07. Undecided
  • 08. Far Wes
  • 09. All The Things You Are
  • 10. King Trotter
  • 11. Carlena's Blues
  • 12. Smooth Evening

■ こだわりの制作の数々
・CDは56ページのブックレット付き。未発表写真、オリジナル・テープのデータを写した写真など、当時を物語る資料も満載。LPも同内容の大判ブックレット(8ページ)を収録。
・超豪華執筆陣によるライナー・ノーツ。バディ・モンゴメリー(兄弟の末っ子)、ダンカン・シャイト(フォトジャーナリスト、文筆家)他多数。さらには、アシュリー・カーンによるクインシ―・ジョーンズ・インタビューも掲載。
・国内盤仕様CDは、英文ライナーノーツを完全翻訳。ここでしか読めない数々の貴重なエピソードを日本語で掲載!

モンゴメリー・ブラザーズ


草創期ウエスの魅力を語る
ジョン・コルトレーン『Offering: Live At Temple University』で第57回グラミー賞「ベスト・アルバム・ノーツ」を受賞したジャズ評論家アシュリー・カーンによるライナーノーツから

本テキストは、『Early Recordings from 1949-1958 In the Beginning』の
国内盤仕様CD(KKJ1009)に掲載されているライナーノーツを一部抜粋したものとなります。


 全ての創造行為と、それを行う人々の軌跡を見守る者に共通の考えがある。それは、開花前の才能のつぼみ、形成期の天才についての概念だ。そして、大輪の花が初めて開く瞬間に立ち会いたい、開花の様子がどんなものなのか、それを促すきっかけを見届けたい、という欲望だ。特にジャズの世界では魅力的な考えである。ハービー・ハンコック、キース・ジャレットといった現在の大スター達のサイドメン時代のプレイに興味を持たない者が居るだろうか?チャーリー・パーカー、オーネット・コールマン、ジョン・コルトレーンといった巨匠と初めて出会ったのは、彼らが、騒々しい客の前で一晩に4、5セット演奏していた頃だった、という話を読んだりすれば、誰でも羨ましく思うだろう。

 ジャズ・ギターの歴史を近代へと塗り替えた男のそんな時代を目撃するまたとないチャンスを見逃す者がどこにいるだろう?人はその男を“TheThumb ( 最高の親指)” と呼ぶ。彼が、愛器“ ギブソンL-5” のボディを、他の4 本の指を大きく広げて抑えながら、親指で弦をかき鳴らす弾き方を好んだためであった。

 ウエス・モンゴメリーは、独特の技法を持つギタリストで、僅か10 年間にインディアナポリスという地元の逸材から世界的に賞賛される名手へと成長した。死後50 年近く経った現在も名声は衰えず、大きな影響を与え続けている。その音色が醸し出す特別なぬくもり、不思議なほど滑らかなフレージング、彼が好むスムーズなオクターブ奏法、それらは今なお賞賛の的である。彼の重要度はマイルス・デイヴィスやソニー・ロリンズに匹敵する。おおらかに流れるようなリリシズムは、彼が最も影響を受けたスイング時代のギタリスト、チャーリー・クリスチャンから受け継いだものであった。当時まだ日の当たらなかったギターという楽器を敢えて選んだウエスは、モダンジャズ時代の花形楽器であるトランペットやサックスの名手に引けをとらない疾走感と複雑な和声を、独力で実現してみせた。

*


 本コレクションは、年代を逆行するタイムトリップの醍醐味が満喫できる作品だ。未だ埋もれた逸材であった若きウエス・モンゴメリーが、様々なバンドで繰り広げるエキサイティングな歴史的パフォーマンスの数々、バンドによっては音楽一家であったモンゴメリー・ファミリーのメンバーがフィーチュアされる。同時に、20 世紀中期、これらが録音された10 年という期間には、米国黒人社会におけるポップ・ミュージックの多様なスタイルに密接な相関関係があったという実態を垣間見せてくれる。当時のミュージシャン達は、ポスト・バップの多様なモダンジャズからブルース、スタンダード、それにR & B ナンバーまで幅広く演奏していたのだ。演奏場所は質の高いプレイを求めると同時に、地元の逸材が遺憾なく実力を発揮する場を提供していた。

 インディアナ州南部は、フィラデルフィアやデトロイトといった都市に比べ、特にジャズの名手の輩出地とみなされているわけではない。だが多年に渡り、ホーギー・カーマイケル(ソング・ライター)、リロイ・カー(ブルース・ピアニスト)、J.J. ジョンソン(トロンボーン奏者)、フレディ・ハバード(トランペット奏者)を世に送り出し、全米音楽シーンに多大な影響を及ぼした。1950 年代、長年“ナップタウン” と呼ばれるインディアナポリスの黒人街で、モンゴメリー姓の3人兄弟をフィーチュアしたバンドの人気が高まる。

 その兄弟とは、ベーシストのモンク、ピアノ兼ヴァイブ奏者のバディ、中でも傑出した存在が“ ウエス” というニックネームのギター奏者、ジョン・レスリーである。彼の才能は天性のものであり、ギターの腕前も自前であった。ギターらしからぬ滑らかなサウンドが、自分の最高の武器である事に早くから気が付いていた結果、スムーズな共鳴音を生むGibson L-5 CES(後年はギブソンの特注モデル)への嗜好やピックなしの奏法へと向うことになる。

 「音色は親指を使う方が好きだが、テクニック的にはピックを使った方が良い。でも両方は無理だから・・・」後にウエスはこのように告白している。だが、まろやかな音色とともに、彼がアップテンポで、いとも容易に繰り出す快調なグルーヴが名声の源であったのは皮肉でもある。

*


 1958 年、やっと転換期が訪れる。演奏旅行でインディアナポリスに立ち寄ったキャノンボール・アダレイが、《ザ・ミサイル・ラウンジ》というアフターアワーズの黒人用の小さな飲み屋で、このギタリストのプレイを目の当たりにしたのだ。驚愕したアダレイは、すぐさま彼のプロデューサー、オリン・キープニュースに、絶対にウエスを“ リバーサイド・レコード” でレコーディングすべきだと薦めた。キープニュースがやっとNY から足を運んできたのは翌’59 年、“ ザ・ターフ・クラブ”という騒々しい繁華街にある白人専用サパークラブのステージ脇のテーブルでウエスを初めて聴いた思い出を、彼はこのように語っている。「彼の親指は目にも留まらぬ速さで動いていた。その演奏は文字通り‘ この世のものとは思えない’ほど凄いものだった。私はともかく誰かに電話をしてこの出来事を伝えなければと思った。誰かに現実世界へと連れ戻してもらいたかった。それで公衆電話から妻に電話してこう言ったよ。『自分がここで聴いていることが信じられないんだ!』ってね。」


ウエス・モンゴメリー


 ジャズの世界で広く行き渡る通念がもう一つある。成長期にある逸材は、才能の開花前はレコーディングをあせらず、大切なつぼみが摘まれぬよう、そうっとしておいたほうが良い、というものだ。果たして、1959 年以前、ウエスが全国的な注目に足る成熟を見せていたか否か、その問に対する事実上の回答が『イン・ザ・ビギニング』での非凡な演奏内容である。収録演奏は、ほぼ10年に渡る音楽的発展の集大成であり、彼の才能を育くんだ地元インディアナポリスでの“ ザ・ターフ・クラブ” に於ける1956 年の演奏が13トラック、“ ザ・ミサイル・ラウンジ” に於ける1958年の演奏が3トラック含まれている。さらに遡って1949年のスタジオ録音、また1955 年、若き日のクインシー・ジョーンズが、CBS傘下の新生レーベル“Epic” のために行ったテスト・セッションまでもが網羅されている。

 さて、ウエスは自らを遅咲きと思っていたのだろうか?色々な話を総合すると、どうやらウエスという人は、全く飾り気のない、非常に謙虚な性格だったので、そんなことは一向に頓着しなかったようである。1968 年、死の僅か数週間前、彼が50年代にインディアナポリスに留まる決断をし、昼の務めの傍ら、週末に演奏活動を行っていた理由について「やらなければならない事に比べれば、やりたい事は二の次だったから。」とダウンビート誌に語っている。家族が最も大切だという、明確な人生哲学があったのだ。「成功は僕にとって大事なことだが、どうしても大事というわけじゃない…他のことを見失うほど、音楽にどっぷり浸かってはいない。」

 そんなウエスの「地に足のついた」感覚は、彼の懐の深さや心の温かさとともに、演奏に滲み出る。天才ギタリストが単なるバンドの一員で満足していた時期、例え脇役であろうとも、その素晴らしい輝きが失われることはない。

(アシュリー・カーン)


アシュリー・カーン:
音楽ライター、歴史研究者、教育者。NY大学運営クライヴ・デイヴィス・レコード・ミュージック研究所で教鞭を執る。著書:「ジョン・コルトレーン:『至上の愛』の真実」他。ジョン・コルトレーン『Offering: Live At Temple University』に寄せたライナーノーツが、第57回グラミー賞「ベスト・アルバム・ノーツ」を受賞した。

ウエス・モンゴメリー (Wes Montgomery)

ウエス・モンゴメリー
ジョン・レスリー・モンゴメリーことウエス・モンゴメリーは、1923年3月6日、インディアナポリスに生まれている。そして、1935年、後年グループを組むことになる兄に買ってもらったのが“テナー・ギター”という、4弦で中低音を受け持つ半分ベースのようなギターだった。

 19歳の時、ウエスは結婚と同時にチャーリー・クリスチャンの「Solo Flight」を聴き、ギター探求への道を歩き始める。なんと次の日にはアンプと「エレキ・ギター」を買ってしまったのである。ウエスの家庭は決して裕福ではなく、350ドルもの大金をはたいたのは並大抵のことではなかった。ウエスは回想している「一年間はこのアルバムのほかには何も聴かなかった」と、お蔭でウエスは、翌年地元の「440クラブ」に雇われ、クリスチャンのコピー演奏を披露することになる。

 1948年、ライオネル・ハンプトンがインディアナポリスを訪れ、欠員メンバーを募集するという。応募したウエスは譜面が読めないにもかかわらず合格、ハンプのバンドに参加することになる。この当時の演奏は、ライオネル・ハンプトン『Lionel Hampton - 1949-1950』の中の「Moon Glow」ではっきりと聴くことが出来る。後年の演奏からは想像できないソフトな演奏はシングルトーンである。しかし、ウエスにとって家族と離れて暮らすことは絶え難いことであったらしく、一年半ほどでハンプトン楽団を退団してしまう。この時点ですでにウエスは27歳になっており、しかも、これからしばらく工場での朝7時半から午後3時までの「仕事」、そして、午後9時から夜中の2時までのバーでの「仕事」、そして、その後、やっと地元の「ミサイル・ルーム」というクラブでジャズを演奏するのである。後年、この無理が天才ウエスを早く天国へと旅立たせる原因になる。

 その間、ウエスは兄弟たちと“モンゴメリー・ブラザーズ”、後に“マスター・サウンズ”に参加して活動している。残念ながらハンプトン楽団退団後のウエスの軌跡は録音上は1955年までの空白がある。この時期にウエスは「オクターブ奏法」を完成させるが、彼はこのことについて「練習する時間が夜中でアンプの音が近所迷惑だったから、ピックを使わずに親指で弾いたんだよ」と語っている。ウエスを早逝させた厳しい生活がウエスに「オクターブ奏法」という、ウエスをジャズ史に刻み込むことになる演奏法をもたらした。なんと言う皮肉だろう。“マウスター・サウンズ”に客演したウエスは、パシフィック・ジャズに4枚のアルバムを残している。

 1959年9月7日 、遂にウエスが中央ジャズ界にデビューするきっかけがやってくる。当時リヴァーサイド・レコードの新人発掘担当でもあったキャノンボール・アダレイが、ウエスの地元インディアナポリスにやってきた。コンサートの後、地元ミュージシャンがジャムセッションを行なう前述の「ミサイル・ルーム」に招かれたキャノンボールは、ウエスの演奏の一曲目の半ばで席をウエスの「真ん前に」移りそれからそこを動かなかったという。すぐに「リヴァーサイド」と契約を結んだウエスはニューヨークに出て、初リーダー作『The Wes Montgomery Trio』を、メルヴィン・ライン(org)、ポール・パーカー(ds)とのトリオで吹きこんだ。評判は芳しくなかったが、続いて吹きこんだ『Incredible Jazz Guitar』によって、ウエス・モンゴメリーの名はジャズ史に刻まれることになる。

 これに先立つナット・アダレイの「Work Song」を初めとして、ウエスは一気に多くの録音に参加、自己名義の『Moving Along』録音後、1962年1月25日、ウエス最高傑作の一枚となる『Full House』を、ジョニー・グリフィンを迎え、バークリーに来ていたマイルス・デイヴィスのリズム・セクション(ウイントン・ケリー〜ポール・チェンバース〜ジミー・コブ)を加えたクインテットで「ツボ・コーヒー・ハウス」で録音する。1960年から1963年に掛けてウエスは、ジャズ専門誌“ダウンビート誌”の批評家投票でジャズギターの首位を独占する。しかし、ウィズ・ストリングスの作品 『Fusion』を残して、ウエスはリヴァーサイド・レーベルを去る。

 1965年、多くの家族を抱えたウエスは「ヴァーブ・レーベル」と契約し、“大衆ジャズ路線”を歩むことになる。より多くの聴き手へアルバムを届けることと、自己の音楽の葛藤はあったとはいえ、この頃のウエスの演奏は決して迎合した演奏であるわけではない。円熟したテクニックと歌心は、どんな演奏形態においてもウエスを人気のギタリストに押し上げ、1966年には、オリヴァー・ネルソンの編曲指揮によるビッグバンドとの共演盤『Going Out Of My Head』で「グラミー賞 ベスト・インストルメンタル・ジャズ・パフォーマンス部門」を手中に収めている。いままで批評家の評価は抜群だったとはいえ、経済的に恵まれたわけではなかったウエスにとってこのことの意義は忘れてはならない。この時期の作品にはいまだに多くのファンを魅了する人気盤『California Dreamin'』や『Tequila』などがある一方で、最高傑作『Full House』での相性も良かったウイントン・ケリーとの、クラブ“Half Note”でのライヴ演奏など、シリアスなジャズファンを納得させる素晴らしい演奏も 残されており、この時期ウエスがアルバムでは大衆路線を行きながらも、ライヴ演奏においては、ジャズのメインストリームを歩み続け、次々と素晴らしいパフォーマンスを繰り広げていたことが窺える。

 1967年、ヴァーヴでもプロデュースを担当したクリード・テイラーが独立し、ウエスはA&Mレコードと契約。ウエスにとって最後の時期を迎えることになる。この時期はビートルズがポップスの世界で覇権を握り、ロックが音楽界を席捲してきた時期だった。ギターの世界にとっても、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンといったギターの歴史に名を残すパフォーマーたちが出現していた。

 しかし、この時期テイラーは親しみやすいビートルズのナンバーを選んで作品を制作。第1作『A Day In The Life』は、喫茶店にも流れる大衆ヒット曲となった。その後も「Georgia On My Mind」を含む作品『Down Here On The Round 』、「Fly Me To The Moon』、「Yesterdays」を含む『Road Song』を発表してウエスの人気は大きくなっていった。

 しかし、1968年、家族には内緒で以前からニトログリセリンを常用していたウエスは、医者にかかるために故郷インディアナポリスに帰った。しかし、時はすでに遅かった。6月15日、ウエスは心臓麻痺で故郷に45歳の生涯を終えた。

 ウエス・モンゴメリー、オクターブ奏法を完成させ、ジャズギターを大衆化した人気ギタリスト。しかし、経済的にはなかなか恵まれなかった。近年、ウエスの大衆路線の作品が若い新しいファンに聴かれ、ウエスの人気は復活しつつある。その根底にあるのはウエスの演奏が持つ「歌心」と「暖かい音色」だろう。心をほっとさせる「California Dreamin'」の演奏は永遠に不滅だ。




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  • California Dreaming

    CD 輸入盤

    California Dreaming

    Wes Montgomery

    ユーザー評価 : 5点 (2件のレビュー)
    ★★★★★

    価格(税込) : ¥1,650
    会員価格(税込) : ¥1,169
    まとめ買い価格(税込) : ¥1,169

    発売日:1989年06月20日


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  • California Dreaming: 夢のカリフォルニア +1

    CD 限定盤

    California Dreaming: 夢のカリフォルニア +1

    Wes Montgomery

    価格(税込) : ¥1,100
    会員価格(税込) : ¥1,012

    発売日:2015年09月30日


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  • Dynamic Duo

    CD 限定盤

    Dynamic Duo

    Jimmy Smith / Wes Montgomery

    ユーザー評価 : 4.5点 (2件のレビュー)
    ★★★★★

    価格(税込) : ¥1,100
    会員価格(税込) : ¥1,012

    発売日:2015年09月30日


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  • Willow Weep For Me -Remaster

    CD 輸入盤

    Willow Weep For Me -Remaster

    Wes Montgomery

    価格(税込) : ¥2,519
    会員価格(税込) : ¥2,318

    発売日:2002年04月30日


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  • Day In The Life

    CD 輸入盤

    Day In The Life

    Wes Montgomery

    ユーザー評価 : 5点 (6件のレビュー)
    ★★★★★

    価格(税込) : ¥2,299
    会員価格(税込) : ¥1,580
    まとめ買い価格(税込) : ¥1,580

    発売日:1995年02月10日


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  • Day In The Life

    SACD 限定盤

    Day In The Life

    Wes Montgomery

    価格(税込) : ¥3,850
    会員価格(税込) : ¥3,542

    発売日:2014年11月26日


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  • Down Here On The Ground

    CD 輸入盤

    Down Here On The Ground

    Wes Montgomery

    価格(税込) : ¥2,420
    会員価格(税込) : ¥2,105
    まとめ買い価格(税込) : ¥1,815

    発売日:2009年06月12日


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  • Road Song

    SHM-CD

    Road Song

    Wes Montgomery

    ユーザー評価 : 5点 (3件のレビュー)
    ★★★★★

    価格(税込) : ¥1,885
    会員価格(税込) : ¥1,735

    発売日:2011年06月22日


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  • Movin': The Complete Verve Recordings (5CD)

    CD 輸入盤

    Movin': The Complete Verve Recordings (5CD)

    Wes Montgomery

    価格(税込) : ¥10,780
    会員価格(税込) : ¥7,893

    発売日:2011年09月30日


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