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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第91号:クラウディオ・アバドが死去 ベルリン・フィル・ラウンジへ戻る

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2014年1月22日 (水)

ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

クラウディオ・アバドが死去。「私は今、体のなかから音楽が聞こえるような気がするのです」
Claudio Abbado
Milan, 26.06.1933 - Bologna, 20.01.2014

 既に報じられているように、クラウディオ・アバドが2014年1月20日、ボローニャで80歳で死去しました。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は、謹んで哀悼の意を表します。
 アバドは1966年のデビュー以来、ベルリン・フィルと緊密な関係にあり、1990年から2002年にかけては、首席指揮者としてオーケストラに絶大な影響を与えました。当団は、深い悲しみを覚えると共に、彼の音楽活動の一部として活動できたことに、心からの感謝を捧げます。
 サー・サイモン・ラトルは、逝去の報せに対し、次のように談話しています。「我々は偉大な音楽家、そして惜しみない寛大さに溢れた人物を失いました。10年前には、我々の誰もが彼が病気に打ち勝つだろうかと自問しました。しかしその危惧を翻して、彼は素晴らしい人生の秋を迎えることができたのです。そこでは彼の芸術のあらゆる側面が、見事に花開いたのでした。我々は音楽家として、また聴衆として、それを享受することができたのです。
 数年前、彼は私に言いました。“私の病気は恐ろしかったけれど、その結果は悪いことばかりではなかった。私は今、体のなかから音楽が聴こえるような気がするのです。胃がなくなった代わりに、体の内側に耳ができたような…。これがどんなに素晴らしいことか、言葉にする術がありません。病気になった時、音楽が私を救ってくれた。それは間違いないことです”」
 彼は生涯にわたって偉大な指揮者でした。ここ数年の演奏は、何かこの世のものならぬ雰囲気を湛えていました。我々は皆、それを共に体験する幸運に恵まれました。私個人に対しては、彼はキャリアの最初から非常に優しく、鷹揚に接してくれました。ユーモアと暖かさに溢れた関係は、つい先週の金曜日に至るまで続いたのです。彼の思い出は、私の心に深く残ることでしょう」

ベルリン・フィル公式サイトの記事
「アバド時代の遺産」映像(1991-2002)

アバド逝去:ベルリン・フィルにおける追悼行事について

 ベルリン・フィルでは、1月23〜25日のメータ指揮の定期演奏会に先立って、インテンダントのマルティン・ホフマンが弔辞を読み、プログラムの最初にベートーヴェン「交響曲第3番《英雄》」第2楽章が演奏されます。この模様は、デジタル・コンサートホールでも中継される予定です。
 また、5月16〜18日にアバド指揮で予定されていた演奏会では、当初のプログラムのうち、モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第3番」(独奏:フランク・ペーター・ツィンマーマン)が、指揮者なしで演奏されるほか、後半は、ブルックナー「交響曲第7番」が、ラトルの指揮で上演されます。

ベルリン・フィル公式サイトの記事


 最新のDCHアーカイブ映像

ボザール・トリオのM・プレスラーが90歳でベルリン・フィルにデビュー
2014年1月11日

【演奏曲目】
モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番

ピアノ:メナヘム・プレスラー
指揮:セミヨン・ビシュコフ

 ピアニストのメナヘム・プレスラーは、音楽界の「生きる伝説」と言っても過言ではない存在です。17歳でデビューを果たし、サンフランシスコのドビュッシー・コンクールで優勝(そのときの審査員のひとりは、フランスから亡命したダリウス・ミヨーでした)。その後、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団との共演でソロ・ピアニストとしての国際的なキャリアを歩み始め、1955年夏にタングルウッドでピアノ三重奏団のボザール・トリオを結成。実に53年間に渡って活動をすることとなります。室内楽の分野でこれほど長い間、国際的な活動をしたグループは例がありません。現在90歳のプレスラーが今回セミヨン・ビシュコフ指揮ベルリン・フィルの定期演奏会に登場します。モーツァルトのピアノ協奏曲第17番において、至芸ともいえる演奏を聴かせています。
 後半はショスタコーヴィチの交響曲第11番。後のロシア革命につながる1905年の「血の日曜日事件」を描写した作品で、作曲当時の「ハンガリー動乱」との関連性も指摘されています。「私はショスタコーヴィチのようにソ連時代の集団テロを経験したことはないが、彼が生きた当時の環境や彼自身に身を重ねることはできる」とビシュコフは語ります。1980年代、カラヤンはビシュコフ指揮ベルリン・フィルのショスタコーヴィチ録音を聴いて、彼を自らの後継者候補のひとりに挙げたと言います。

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ラトル指揮のレイト・ナイト・シリーズ第2回は、フランス音楽がテーマ
2014年1月11日

【演奏曲目】
ラヴェル:マダガスカル島先住民の歌
デュティユー:ザッハーの名による3つの詩節
ドラージュ:4つのインドの詩
イベール:ディヴェルティメント

ソプラノ:ローラ・エイキン
チェロ:ソレーヌ・ケーマレック
指揮:サー・サイモン・ラトル

 第2回レイト・ナイトでは、サー・サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルのメンバーが「フランスのエスプリ」をテーマにお届けします。ラヴェルの《マダガスカル先住民の歌》は、1925年から26年にかけてエヴァリスト・パルニーの詩に曲付けしたもので、ラヴェルは作品について「この歌は劇的で、実のところ官能的な新しい要素を導入していると思う。一種の四重奏を形作っており、声がその中心的な楽器となっている。何よりも重要なのは簡素なことである」と書き記しています。続くデュティユーのチェロ・ソロのための《ザッハーの名による3つの詩節》は、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチの主導によりスイスの指揮者パウル・ザッハーの70歳の誕生日に合わせて書かれた作品。SACHERの6つの頭文字に因んだeS (=E♭), A, C, H, E, Re (=D)の音が、各詩節をつなぐ役割を果たしています。このほか、ラヴェルの弟子だったモーリス・ドラージュが1912年インドへの旅行中に作曲した《4つのインドの詩》、軽妙な味わいを持つイベールのディヴェルティメントと、才気に富んだプログラムをお楽しみください。

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メータのブルックナー「第9」
2014年1月18日

【演奏曲目】
クラム:《いにしえの声》
ブルックナー:交響曲第9番

ソプラノ:マーリス・ペーターゼン
指揮:ズービン・メータ

 ブルックナーの交響曲第9番は、その初演当時から同じニ短調という調性ゆえ、ベートーヴェンの交響曲第9番と結びつけられてきました。ブルックナー自身は「ニ短調を選んだのは、何より自分が好きな調性だったから」と語っています。しかし、第3楽章の第2主題を導く柔らかなコラールを「生への告別」と述べていることからも明らかなように、ベートーヴェンの「第9」同様、今生の別れの作品となったのです。
 結果的に未完に終わったものの、ブルックナーは交響曲第9番の中で自身のこれまでの交響曲で得た成果をまとめあげました。ダイナミックなコントラストが貫かれており、フル・オーケストラの響きを味わう妙味に満ちています。オルガンの影響を受けたオーケストレーションは、ゴシック様式の壮大な大聖堂を思わせるもので、和声や不協和音の扱いは、恍惚と悲劇的な崩壊との間を揺れ動く葛藤を想起させます。それは後のマーラーに続く道を指し示したものと言えるでしょう。
 コンサートの前半では、アメリカ人作曲家ジョージ・クラムが1970年に作曲した歌曲集《子供たちのいにしえの声》が演奏されています。フェデリコ・ガルシア・ロルカの詩に曲付けした、ドラマチックな作風を持つ歌曲集です。今回の指揮は、ベルリン・フィルと半世紀の友好関係で結ばれているズービン・メータ。そして、コロラトゥーラのみならず、現代音楽の解釈にも定評のあるソプラノのマーリス・ペーターゼンが独唱を務めています。

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 これからのDCH演奏会

メータの《英雄の生涯》、ブッフビンダーの《皇帝》
日本時間2014年1月26日(日)午前4時

【演奏曲目】
ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
R・シュトラウス:《英雄の生涯》

ピアノ:ルドルフ・ブッフビンダー
指揮:ズービン・メータ

当演奏会の冒頭では、クラウディオ・アバドに哀悼を表して、ベルリン・フィル・インテンダントのマルティン・ホフマンが弔辞を読み、ベートーヴェン「交響曲第3番《英雄》」より、第2楽章が演奏されます。

 1月最後の定期演奏会では、前週に引き続きズービン・メータが指揮を務めます。今回のメインプログラムは、リヒャルト・シュトラウスの交響詩《英雄の生涯》。この作品の「英雄」が、シュトラウス自身を指すことはよく知られています。冒頭で提示される雄渾な英雄の主題から、気まぐれな伴侶との絡み合い、無知な批評家との戦い、過去の業績の回顧に至るまで、作曲当時34歳だったシュトラウス自身の半生が色濃く反映されています。ここでのオーケストレーションの輝かしさは円熟を極めており、多彩なオーケストラの響きをたっぷりと味わえる作品と言えるでしょう。コンサートマスターが華麗に奏でる「英雄の伴侶」のソロ・ヴァイオリンにもご注目ください。
 前半はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番《皇帝》。ベートーヴェンというと、我が道を行く天才というイメージが定着していますが、シュトラウスとは対照的に、彼は自分の人生経験を音楽化することに意味があるとは考えませんでした。《皇帝》が作曲された1811年は、ベートーヴェンの難聴が次第に悪化していく時期と重なりますが、この傑出したピアノ協奏曲に彼個人の失望感を聴き取ることはできません。ソロを務めるのは、ベートーヴェン弾きとして名高いオーストリア出身のピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダー。コンサートのオープニングには、アントン・ヴェーベルン作曲の管弦楽のための6つの小品が演奏されます。

生中継:日本時間2014年1月26日(日)午前4時

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モルクのドヴォルザーク「チェロ協奏曲」
日本時間2014年2月1日(日)午前4時

【演奏曲目】
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
リンドベルイ:《クラフト》

チェロ:トルルス・モルク
指揮:アラン・ギルバート

 ニューヨーク・フィルの音楽監督を務めるアラン・ギルバートを客演指揮者に迎えます。ギルバートがベルリン・フィルの定期演奏会に登場するのは今シーズンこれが2度目。前半はノルウェー出身のチェリスト、トルルス・モルクを独奏に、ドヴォルザークのチェロ協奏曲を共演します。交響曲的な堅固な構成を持ち、技術的な難易度の高さでも知られるこの作品は、独奏チェロのために書かれた金字塔であるだけでなく、この楽器のあらゆるヴィルトゥオーゾにとっての試金石とも言えるでしょう。
 後半のプログラムは、1980年代中期、マグヌス・リンドベルイがベルリンのパンク・シーンからインスピレーションを受けて作曲した《クラフト》。リンドベルイはベルリンのパンクに強い興味を抱き、その激しいエネルギーと実験的な音響に魅了されていました。作曲家は語ります。「私はこの音楽にショックを受け、同時にいくらか嫉妬心を抱いたのです。そして、自分にこう問いかけました。『古典的なオーケストラの資産を使って、いくらか似た作品をなし得ないだろうか』と」
 この曲に熟練したアラン・ギルバートによると、《クラフト》は「上演することが一つの出来事となるような並外れた作品」。巨大編成のオーケストラがホール中に散らばって演奏するコンセプトは、客席が舞台を取り囲むフィルハーモニーの構造によく適ったものと言えるでしょう(作曲家自身もピアニストとして演奏に加わります)。このスペクタクルな作品をどうぞお聴きください。

生中継:日本時間2014年2月1日(日)午前4時

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 アーティスト・インタビュー

クラウディオ・アバド、マウリツィオ・ポリーニ、アンナ・プロハスカ
「病気だった時、バッハをよく聴きました。バッハは薬のようなものです。聴くと心と体が癒されます」
聞き手:サラ・ウィリス(ベルリン・フィル ホルン奏者)
2011年5月15日

【演奏曲目】
モーツァルト:コンサート・アリア〈あなたに明かしたい、おお神よ〉 K. 418
歌劇《魔笛》よりアリア〈愛の喜びは露と消え〉
ピアノ協奏曲第17番ト長調
ベルク:歌劇《ルル》より4つの交響的断章
マーラー:交響曲第10番よりアダージョ

ソプラノ:アンナ・プロハスカ
ピアノ:マウリツィオ・ポリーニ
指揮:クラウディオ・アバド

 2011年に行われた演奏会より、アバドのインタビューをお送りします。アバドはインタビュー嫌いで有名でしたが、この時はデジタル・コンサートホールの休憩時間用に、快く応じています。共演者であるポリーニとプロハスカも参加。本稿では短縮してまとめてありますが、オリジナルは3人と聞き手のサラ・ウィリスとの、プライベートな歓談という趣を見せています。アバドの明るい表情が印象的です。

サラ・ウィリス 「ポリーニさんは、今回モーツァルトのピアノ協奏曲第17番を演奏されます。この曲は、アバドさんとの共演では初めてだとか」

マウリツィオ・ポリーニ 「そうです。奇跡的な作品です。しばらくモーツァルトを弾いていませんでしたが、戻ってみると、その素晴らしさに魅了されます。私自身、作品を新たに発見した、という感じです。第17番は、ティンパニーとトランペットを必要としない曲で、室内楽的な協奏曲ですが、その創意は非常に斬新です。例えば第3楽章の変奏は革新的で、ベートーヴェンを予見するものとなっています。第2楽章の転調も魔法のようで、私はモーツァルトの偉大な楽章のひとつだと思いっています」

ウィリス 「アバドさんは、ポリーニさんとは数十年来のお付き合いですが、プロハスカさんとは最近初共演されたのですね」

クラウディオ・アバド 「そうです。カラカスでシモン・ボリバル・ユース管とやった演奏会が最初でした。出会った時からとても気が合い、楽しく演奏できました」

ウィリス 「ベルリン・フィルが遠くなって寂しいですか(笑)」

アバド 「寂しくありませんよ。だって、毎年指揮していますからね(笑)。私は近年、演奏会の数を制限しています。年間で見ても、ベルリン・フィルと1回、ルツェルン祝祭管と2回、それから他のオーケストラと数回共演するだけです。あとは自宅で勉強しています。勉強することはたくさんあります」

ウィリス 「今回のマーラーの交響曲第10番は、ベルリンでは初めてですね」

アバド 「マーラーは、第8番を除いて全部やったと思いますが……」

ポリーニ 「いや、第8番は録音したでしょう。リハーサルをやったのを覚えているよ」

アバド 「そうだったっけ?だったら、彼の方が正しいですね(笑)」

ウィリス 「モーツァルトのコンサート・アリア〈あなたに明かしたい、おお神よ〉は、恐ろしく難しい曲です」

プロハスカ 「このアリアでは、自分をコントロールすることが大切です。私はもともと音楽にのめり込むタイプなんですが、モーツァルトでは発声を維持しないと美しく聴こえません。旋律線や高音を完璧に歌いながら、それを感情表現と結びつけるバランスが難しいです」

アバド 「オーボエとのデュエットが、本当に美しいんだよね」

プロハスカ 「溶け合うようですよね。オーボエは、音域もソプラノとほぼ同じです。歌手も2つの声帯で歌っているのだから、一種のリード楽器と言えるかもしれません(笑)」

ウィリス 「今回は、DCHの中継も入っていますが、あらゆる機会で録音・録画が行われる、ということについてはどうお考えですか」

ポリーニ 「私は問題を感じません。というのは、後代の人々が我々の演奏を観たり聴いたりできることは、基本的に良いことだからです。考えてもみてください。ベートーヴェンやショパンの演奏を録音で聴くことができたら、どんなに助かるでしょう。ストラヴィンスキーやシェーンベルクの指揮姿は残っていますが」

ウィリス 「皆さんはお仕事でない時は、どんな音楽を聴かれるんですか」

プロハスカ 「私は、ジョギングしながらヘビーメタルを聴きます(笑)」

ポリーニ 「若い頃はジャズも聴きましたが…。今はクラシックだけですね」

アバド 「病気だった時、バッハをよく聴きました。バッハは薬のようなものです。聴くと心と体が癒されます」

ウィリス 「プロハスカさんは、アバドさんがポリーニさんの協力で初演したノーノの《愛に満ちた偉大な太陽に向かって》にも出演されています」

プロハスカ 「私はザルツブルクで歌いましたが、初演はスカラ座だったんですね。当時はきっと、スキャンダルになったんじゃないですか」

アバド 「アヴァンギャルド時代でしたが、ブーはひどくなかったですね。でも、このような作品を理解するには時間が掛かります。マーラーの第10番だってそうです。初演時には、誰も理解できなかったでしょう。私たちだって、分かるのに半世紀掛かっているのです。ノーノも同じです」

ウィリス 「今回、マーラーのアダージョとベルクの《ルル組曲》のアダージョを聴いていて、どちらがどちらだか、分からなくなる瞬間がありました」

アバド 「この2曲を勉強していて、私が何を考えていたと思いますか。マーラーの第10番は、和声法において《ルル》よりもさらにモダンだ、ということです。驚異的な作品です。私はベルクも大好きで、彼は当時において非常に新しかったと思いますが、マーラーはその先を行っています」

ウィリス 「プロハスカさんは、理想的なルルではないですか」

プロハスカ 「そういっていただけると嬉しいですが、まだちょっと早いですね。あと数年経験を積んでからの方がいいでしょう。《椿姫》と同じで、3つ声が必要な役なんですよ」

アバド 「ドラマティックだからね」

プロハスカ 「そうです。そして音域が非常に高い」

ウィリス 「アバドさん、彼女は素晴らしいルルになると思いませんか」

アバド「もちろんですよ。ぜひ全曲を歌ってほしいと思います」

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ヤンソンス、アバドを語る
 バイエルン放送響の演奏会のためにミュンヘン滞在中のマリス・ヤンソンスに、英『ガーディアン』紙がアバドの死についてのコメントを求めている。概略は以下の通り。
 「アバドは現代最高の指揮者のひとりでした。それはまったく疑いの余地のないことです。音楽は彼のすべてでした。彼と共に、ベルリン・フィルの日本ツアーに行った時のことを思い出します(2000年)。当時、彼は病気が明らかになって、私は何か起こった時、コンサートを代演するために同行しました。しかし指揮することが、音楽をすることが、彼を助けたのでした。彼はやせ細って、今にも倒れそうでしたが、舞台立った時、何かが彼を助けたのです。その時のプログラムは、《トリスタンとイゾルデ》の全曲。信じられませんでした。彼が病気を克服して、その後10数年も活躍できたのは、音楽が、指揮があったからなのです。
 彼は実に率直で、真剣で、深い音楽家でした。人間としては、非常にシャイで慎み深かった。彼のことを心から尊敬していました。我々の関係はとても親愛に満ち、音楽のことだけでなく、人生について語り合いました。
 私は彼が若い音楽家たちと仕事したことを、賛美していました。彼は若者に、多くを捧げたのです。ルツェルンのオーケストラは素晴らしい。彼らは、クラウディオがいたからあそこに集まったのです。彼らは彼を心から敬い、愛していました。ルツェルン祝祭管のアイディアはとても良いと思います。しかし、アイディアだけでは足りません。そのアイディアを全うできなければいけないのです。クラウディオは、それをしたのでした」(写真:©BR)

ソヒエフがボリショイ劇場の音楽監督に
 トゥガン・ソヒエフが、ボリショイ劇場の音楽監督に即時就任することが決定した。
 ボリショイ劇場では、12月にこれまでの音楽監督ヴァシリー・シナイスキが急遽退任することになり、後任が必要とされていた。ソヒエフは、現在トゥールーズ・キャピトル管とベルリン・ドイツ響の首席指揮者を務めている。

次号の「ベルリン・フィル・ラウンジ」は、2014年2月7日(金)発行を予定しています。
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