LINKIN PARKのあの日、あの時 11
2012年8月3日 (金)

3枚目の新作『MINUTES TO MIDNIGHT』は、前作『METEORA』(2003年)から4年ぶりとなる2007年5月に発売された。
発売の約2ヵ月前にハリウッドで新作試聴会と対面取材が行われたのだけど、その少し前に日本のレコード会社の大会議室で新作のプリ試聴会もあった。ロサンゼルス本社からスタッフが新音源を持って来日し、大勢のメディア関係者、CDショップ・スタッフらを集め開かれた。実はレコード会社によって新音源試聴会のやり方って微妙に異なる。大会議室を使い、たくさんの関係者たちが出席、3〜4人ずつ長テーブルに就く、というのはどこも同じだ。が、LINKIN PARK所属のレコード会社ではスピーカーから大音量で流す、というのではなく、出席者全員にワイアレスのヘッドフォンが渡され、聴くという方法がとられる。これはその対象アーティストがLINKIN PARKであろうが、OPETHであろうが同じ(笑)。当たり前だけど、音源試聴中に激しくノッている人など1人もいない。みな一様に大人しく聴いていて、なかには印象、感想を、だろう、手元のメモにペンを走らせる人も少なくない。室内後方から見渡すと、その光景はさながらどこかの試験会場のような様相を呈す(笑)。
そのとき聴いた新音源は収録曲全曲ではなかった。確か6〜7曲と収録曲の半分ほどだったと思う。先行1stシングル楽曲「What I’ve Done」をはじめ、「Given Up」「Bleed It Out」「Shadow Of The Day」などを聴いたのはなんとなく憶えている。で、第一印象はビックリした、というよりむしろ戸惑ったっていうのが正直なところだ。デビュー作『HYBRID THEORY』(2000年)、続く前作を聴いて大いにLINKIN PARKのことが気に入った人なら理解してもらえると思う。誰もがその2作品から抱いた音楽的イメージを大切にし、今作の音楽性もその延長線上のものであってほしいと密かに願い、期待するものだ。自分もそうだっただけに余計、新音源を聴き、楽曲が進むにつれてその戸惑いは消えるどころか、逆に大きくなっていった。「え、マジ!? こういう方向でくんだ?」「チェスターとマイクの声で、2人が歌っているのも紛れもない事実だけど、音作りも楽曲スタイルもこれまでとは違う…」「ブラッドのエッジーで肉厚なギターはいずこ?」…etc.etc..そういう想いがずっと頭んなかをグルグル回り、“?”がいくつもついた。『HYBRID THEORY』日本盤ライナーに、自分はその音楽を指して、執筆中にふと閃いた音楽的造語“泣きのミクスチャー(・ロック)”と書いた。が、しかし、その、聴いた新音源にはもはやそれにあてはまる楽曲、サウンドはなかった。試聴会終了後、気づいたらレコード会社のスタッフ数人に囲まれ、新音源の感想会のごとくの雑談と相成った。
「新音源どう思いました?」。いきなり振られた。
自分はこんなふうに答えたように思う。
「全曲聴いてないわけだから断言はできないけど、前2作とは明らかにニュアンスもタッチも違うし、1枚の作品としての世界観も異なりそうだね」と。
間髪入れずに「今回もまた売れますかね?」と訊かれた。この世界で働く者が集い、作品の内容のことなどに関しての話になると、だいたい締めはコレである(苦笑)。そして、自分はこう言った。
「えー、わかんない。だって全曲聴いてないもん!」
決してお茶を濁し、一刻も早くその場を立ち去りたかったわけでもないし、スタッフたちを煙に巻きたかったわけでもない。ホントにわからなかったのだ。
それから程なくして新作試聴会と対面取材のためハリウッドに飛んだ。場所に指定されたのは、ハリウッドをブチ抜くロサンゼルスの目抜き通りのひとつ、サンセット・ブールヴァードからちょい小道に入ったところにある某・高級リゾート・ホテル。“ロックンロール・ホテル”とも呼ばれる、この世界では超有名なところで、対面取材の場として指定されることも多いし、AEROSMITHのスティーヴン・タイラーや、KISSのジーン・シモンズがフツーにランチしていたり、お茶していたりする。もちろん、まずは新作試聴会が先。このとき初めて全曲聴けた。自分はじっくり2回聴いた。それでもまだまだ戸惑いは少なからずあったものの、LINKIN PARKが今作で音楽的に前2作のそれから次の領域にいっている、ことは理解できた。そして、対面取材に臨んだ。このときはチェスター・ベニントン(vo) & ロブ・ボードン(ds)組と、マイク・シノダ(vo,g,key) & ジョー・ハーン(dj, electronics)チームの2組に分けられていた。各自、新作完成直後の想いをこう語った。
「すごく頑張ったよ。今作はこれまでとは違う作品にしたいという気持ちを持ってスタジオに入った。で、こうして完成した今、満足感でいっぱいさ。ファンにやっと聴いてもらえることにもエキサイトしている。そして、みんなにその内容を喜んでもらえると思うから、そのときが待ち切れないよ」とチェスター。「ものすごい時間と労力を今作に注ぎ込んできたんだ。それが完成し、外の世界に送り出せることってすごく嬉しいと同時に、緊張もするね(笑)」とロブ。
そして、ジョー。 「今作はとてもバラエティ豊かな作品だから、すべての楽曲をそれぞれの理由で気に入っているよ。歌詞のテーマだって、これまでの作品のそれとは違うしね」
「ここまでくるのにすごく、すごく長いプロセスだった。これだけ長い時間をかけて作った作品をやっと完成させることができ、そして世のなかに発信できるのはとても感慨深いね。(GUNS N' ROSESの)アクセル・ローズの気持ちが、今のオレには理解できるよ(笑)」 とマイク。
次回は、『MINUTES TO MIDNIGHT』に関するより深部に立ち入った話をお届けしよう。
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■■■ 有島博志プロフィール ■■■
80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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同時連載中の「あの日、あの時」シリーズ & GrindHouse × HMV
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