LINKIN PARKのあの日、あの時 9

2012年7月6日 (金)


『METEORA』大成功後、コラボなマッシュアップやチャリティ活動が活発化!
文●有島博志(GrindHouse)

 『METEORA』発売に伴うワールド・ツアー終了後、LINKIN PARKはそれまでになかったような動きを見せていく。バンドとしてすぐに次のフル・アルバムの制作に着手するのではなく、むしろ意図的にそれからはしばし離れ、それでいて新たな活動をする、というものだ。チェスター・ベニントン(vo)がLIMP BIZKITのDJリーサル(dj)と制作活動をしたのも、またリーダー・バンド、DEAD BY SUNRISEを始動させたのもこの頃で、マイク・シノダ(vo,g,key)も短期間かのDEPECHE MODEと行動をともにした。そのなかでも世界中のロック・ファン、ヒップホップ・フリークをアッと言わせ、多くの人たちがその作品に酔い痴れたのが、大御所ラッパー、JAY-ZとLINKIN PARKによるコラボ・マッシュアップ作『COLLISION COURSE』(2004年)の発売だ。

 もともとは、MTVの(当時の)新企画『ULTIMATE MASH-UP』の発案で生まれたものだった。両者の代表曲を持ち寄り、マイクとブラッド・デルソン(g)によるプロデュースとアレンジで新しい命を吹き込み、まったく新しいものとした好マッシュアップ・チューンが6曲収められた。発売直前にロサンゼルスでJAY-Z、そしてLINKIN PARKからはチェスターと、デイヴ・“フェニックス”・ファレル(b)が合流した、まさに奇跡の対面取材が実現した。まずは、チェスターが切り出した。

「MTVからのアプローチですべてが始まったんだ。だけど最初はあくまでもライヴでの共演で、CDやDVDを出すっていうのは後からついてきたことなんだよね」

 JAY-Zがこう言った。

「音楽は常に進化しているんだ。そして、人々は常にその領域を広げようとし、その広げ方のようなものを見つけるとさらに追及するんだ。今回はその広げ方をMTVが見つけ、オレたちにアイディアを投げてくれたってわけさ」

 で、フェニックスが続いた。

「作業はけっこうシンプルなものだったよ。マイクはJAY-Zの大ファンだから、彼の頭のなかには制作に入る前からJAY-Zのどの楽曲のどのパートが、オレたち(LINKIN PARK)のどの楽曲のどのパートにジャストで合うかっていう明確なアイディアを持っていた。完全にリリックとかビートとかのフィーリングやヴァイブを理解していたから。彼はとても熱心に作業に取り組んだし、JAY-Zのすべてを熟知し、把握していた。JAY-Zもとてもプロフェッショナルな人だから、スタジオ入りした時点でなにをすればイイのかがわかっていた。マイク以外のオレたちだってそれは同じで、すべての作業に対してシリアスに取り組んだよ。そうしたことの結果が、『COLLISION COURSE』なのさ」

 そして、JAY-Zがこう締めた。

「自分のやりたいことを心底好きでやっている者同士が集えば、それほど時間をかけなくても、きちんとしたクオリティを誇る作品やパフォーマンスってできるものでさ。それらから感じるエネルギーやヴァイブって、互いの音楽に対するリスペクトから生まれるもの。オレたちはとにかく気が合ったし、いつも仲よく喋っていた。イイ環境だったね。プロジェクトの根底にそういう環境があれば、必ずや音楽はいいものになる。それに、気が合っている者同士っていうのは、周りから見てもそれがわかるものなんだ。今のオレたちがまさにそうさ」

 言い方は悪いかもしれないけど、『COLLISION COURSE』は一回こっきりの企画作品だったにもかかわらず、そんなことは聴く者にコレッぽっちも感じさせないくらい“Fun満載”で、マッシュアップならではの独自性や魅力なども強烈にデフォルメさせた内容だった。その評価の高さや、商業的成功が追い風になり、マッシュアップはたちまち当時の音楽シーンで“時のキーワード”となり、同系統の作品が一気に市場に出回ったほどだった。付属のDVDでは、スタジオで作業中の風景や、ライヴの模様など、いろいろなフッテージが観られる。そして、先のJAY-Zのコメントを明確に裏づける、両者の仲むつまじさを頻繁に目の当たりにすることもできる。実に良質な企画作品だ。未聴の人には、ぜひ一聴をお勧めする。

 2004年8月のハリケーン・チャーリー、そして2005年8月のハリケーン・カトリーナで、南東部を中心に多数の死者が出るなど、アメリカは甚大な被害を被った。LINKIN PARKが進んでチャリティ活動にかかわり、推進しているのはよく知られている。昨年9月の再来日時に、チェスターはチャリティ活動に関してこんなふうに語っていた。

「2004年暮れに起きたスマトラ島沖地震がきっかけだった。オレたちはちょうど東南アジア・ツアーを終えたばかりの頃で、あたかもまだそこにいるような気持ちになってね。だけど、なにができるかなんてさっぱりわからず。で、みんなで話し合った結果お金を寄付しようっていうことになり、地震発生から24時間以内に小切手を送ったんだ。それ以来、世界中で起きている自然災害への寄付への努力を続けているんだ」

 次回はさらなるチャリティ活動の話と、マイクのヒップホップ・ユニット、FORT MINORの話をお届けする。


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■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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