LINKIN PARKのあの日、あの時 10

2012年7月20日 (金)


マイク・シノダ主導・先導によるFORT MINOR、ついにベールを脱ぐ
文●有島博志(GrindHouse)

 今回は連載第7回でも少し触れた、マイク・シノダ(vo,g,key)による別グループ、FORT MINOR(以下FM)の話をお届けしよう。

 JAY-Zとのマッシュアップ作『COLLISION COURSE』(2004年)が大ヒットしてからしばらく経った2005年11月、デビュー作『THE RISING TIDE』は発売された。ほとんどマイクのソロ・アルバムのごとくの様相を呈した作品ながら、一部JAY-Zがプロダクション面にかかわった。マイクが言う。

「オレが『COLLISION COURSE』を作った経験で得たものは自信だったんだ。MTVがJAY-Zに(当時の新企画)“ULTIMATE MASH-UP”のアイディアを伝えたとき、“共演してみたいアーティストは?”と言われ、真っ先にLINKIN PARK(以下LP)を挙げてくれた。すごく光栄だった。で、彼と顔を突き合わせつつ仕事をし、彼の感覚と自分の感覚がすごく近いということを知り、それも大きな自信となった。彼はとてもリリカルかつシャープで、直感的で作業も速い。マジで彼のスキルはすごいよ。パワフルなときもあるし、テクニカルなときもある。そういう彼のヒップホップに対する取り組み方からオレはいろいろと学んだし、彼のような豊かな表現力を身につけたいとも思った。それでFMとしての活動も推し進めてみようと思えたんだ。FMのリリックを聴けば、LPでオレがラップしてきたものとは異なるパターンやテーマに気づくと思うよ」

 FMはマイクと、古い友人たちであるライアン・パトリック・マッギン、タクバー・バシャーがやるアンダーグラウンド・ヒップホップ・ユニット、STYLES OF BEYOND(以下SOB)がツルみながらグループへと発展していった。もともとは一緒になってミックステープを作っていたのがきっかけだったそうだ。ご存知のとおり、マイクの音楽的背景にはヒップホップがドシンッとあぐらをかいている。もちろん、それをLPの音楽、作品などで可能な限り表現しているんだろうだけど、当然出せてないところもあるように思える。マイクにちょっと意地悪な質問をぶつけた。「LPはヒップホップの要素も強いけど、基本的にロックバンドだよね。LPにヒップホップが入り込めるスペースは限られてるわけじゃない。そういう部分で、過去にフラストレーションって感じたことってある?」と(笑)。すると、こういう答えが返ってきた。

「フラストレーションを感じたことはないな。ただ、指摘されたことを長く事実として受け止めていたのは確かだよ。オレのヒップホップの要素が、ほかの要素によって完全に発揮できないということは前々からわかっていたから。だからオレの持つ、そのヒップホップに対するパワーを解放し、すべてを放出したら、どんな感じになるんだろうという想いが形になったのが、FMさ。最初はただの趣味の延長線上にあるプロジェクトだった。1人でトラックを作り、昔からの友だちであるSOBに聴いてもらい、気に入ってくれたので一緒にやることになったんだ。そんなこんなで楽曲が30曲ほどできたとき、JAY-Zに作品のための曲選びを手伝ってもらったんだ。ちょうど『COLLISON COURSE』をやっているときさ。彼は率直にいいトラックだとか、よくないとか、ここを直すべきだとか、アドバイスをしてくれた。彼が絡んでくれた頃から趣味という感覚はなくなり、シリアスなプロジェクトとしての意味合いが強くなったんだ」

ボクとLINKIN PARK

文●Masato(vo) from coldrain
中学生時代にLIMP BIZKIT、KORNにハマりまくってラップをバンドでやっていたとき、LINKIN PARKが現れて相当影響を受けました。チェスター・ベニントン(vo)の声の使い分けには、今も憧れています。デビュー作『HYBRID THEORY』(2000年)は全曲歌えます!

 『THE RISING TIDE』はLP調ミクスチャー・ロックどころか、ロック・テイストすら感じさせない、“ど”ヒップホップ・アルバムだ。まず、そこを十分に踏まえた上で聴いてほしい。やはりマイクの音楽的背景モロ出しのヒップホップと、LPに乗っかって繰り出されるマイクのヒップホップ感とでは、ニュアンスもタッチもヴァイブも異なる。自分は決してヒップホップに明るいわけではなく、長年“かじり聴き”をしてきたクチだ。そういう、いわゆる“ライト・リスナー”でも十二分に楽しめ、1枚の作品としてもクオリティは高い。個人的には「Remember The Name」「Right Now」「Petrified」「Feel Like Home」「Where’d You Go」「Believe Me」、そして連載第7回にも書いた、マイクの生い立ちが開陳された「Kenji」、さらに限定盤のみに追加収録されたボーナス・トラックの1曲「There They Go」が好きだ。マイクがFMでこだわったことをこう説明した。

「最初にFMの構想を頭で描いたきっかけは、“LPとしてのデビューからの6年間で学んだ曲作り、プロダクション、ツアーによる経験や人間関係を下地に、またヒップホップを作ったら、どういうものになるんだろう?”っていう自分への問いかけからだった。LP前のオレの経験値は限定されていたから、これまでの経験と、自らのルーツをかけ合わせてみたらどんなものができるんだろうっていう気持ちから始まったんだ。オレはいろんなタイプのいろんな時代のヒップホップが好きでね。『THE RISING TIDE』を一言で言い表すと“オーガニック”っていうことになる。ラジオで流れるような最近のヒップホップの多くはキーボードをベースに作られている。コンピュータで見ると、すべてが完璧なリズムでプログラミングされたものが多い。だけどオレは生っぽい音を出したかった。だからタンバリンの音がほしければ、コンピュータ上で組み込むんじゃなく、楽器屋にいってタンバリンを買い、実際に叩いた音を録ったりしたんだ」

 つまり、リアルで生々しいマイク流ヒップホップが、FMというわけだ。冒頭にFMのことをマイクの別グループと書いた。だけどマイクの気合いの入れようや、その活動姿勢は、完全に別グループのそれの域を超えている。『THE RISING TIDE』発売直前の2005年11月にショウケース的に来日し、翌2006年8月にはLPとともに再来日しサマソニ06に参戦したことも、それを如実に物語る。後に全貌が明らかになる、チェスター・ベニントン(vo)主導・先導によるDEAD BY SUNRISEもそうだけど、マイクもチェスターも別グループ、別バンドの活動を決して“余暇を効果的に使ってやった課外活動”のようにはやらない。そういう2人の自らの音楽に対する真摯さも大好きだ。

 なお、ここのマイクの発言は、ショウケース的に来日したときに実現した対面取材でのものだ。


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■■■ 有島博志プロフィール ■■■

 80年代中盤よりフリーランスのロックジャーナリストとして活動。積極的な海外での取材や体験をもとにメタル、グランジ/オルタナティヴ・ロック、メロディック・パンク・ロックなどをいち早く日本に紹介した、いわゆるモダン/ラウドロック・シーンの立役者のひとり。
 2000年にGrindHouseを立ち上げ、ロック誌GrindHouse magazineを筆頭にラジオ、USEN、TVとさまざまなメディアを用い、今もっとも熱い音楽を発信し続けている。
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