蔭山対談 VS 陰陽座/瞬火

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2011年12月19日 (月)

interview

陰陽座

メタル専門インディペンデント・レーベル Lights Out RECORDS を運営しつつ、ギタリストとして自身のバンド MANIPULATED SLAVES を率いる関西メタルシーンのボス的存在 蔭山豊氏が自身の人脈を通じて様々なバンドと対談を行う企画!
題して“蔭山対談『無礼王 the LAW』”!!
今回のゲストは凄いです!恐るべし蔭山パワー!!!


どうも、MANIPULATED SLAVES / Lights Out Recordsの蔭山豊っす。

今回は陰陽座の瞬火氏(B/Vo)との対談をお届けしまっす。陰陽座はオイラが説明するまでもなく、日本で最もイカしたバンドの1つなんやけど、何故かオイラは昔から気が合うんですわ。妖怪重金属を掲げ、常に前進している彼らと、浮き草メタル人のオイラと…(笑)。ちょっと違うけど、その昔、すかんちとSABBRABELLSが仲良かったようなもんやと思って下さい。どっちがどっち、っていうのは別にして(笑)。

そんな陰陽座が2011年も暮れようかという12月21日に待望中の待望の新作『鬼子母神』をリリースするという事で、ツアー『谺』大阪公演後の楽屋で色々と喋ってきました〜。

--- 蔭山豊(以下K):お疲れ〜

瞬火(以下M) お疲れ様でした。ありがとうございます。

--- K: 本日のライヴも良かったわ〜。めちゃ楽しめた。開演前のBGMが全部ゲイリー・ムーアってところから最高。ライヴの演奏曲も最高♪。俺が陰陽座の中で特に好きやなぁ、って思う曲は全部演ってくれたわ。いや、全部ちゃうな、ほぼ全部や(笑)。他にも好きな曲はよーさんあるからね。ここ何作かでは義経の「悪忌判官」が特にお気に入りなんやけどな、実は。初期の頃の曲も今日は多かったように思ったけど、やっぱ俺は特に「桜花の理」と「火車の轍」が好きやわ。もうこの際やから「桜花の蔭山」か「火車の豊」に改名しようか(笑)。アカンわ、それやとLights Out Recordsの経営が火の車みたいや(笑)。

M: BGMが全部ゲイリーなのは、今年はもう、これしか考えられなかったですね。改名の件は自己責任でお願いします(笑)

--- K: わお(笑)。
そういえば今日、新しい赤いベース使ってたやん? あれ指板も赤かったやんか? ボディも指板も赤いってなれば、俺の勝手なイメージではスティーヴ・ルカサーやねん。わかる? 俺が中学生くらいの事やからもう30年くらい前の事かな?(笑)。

M: ルカサーですか〜。今のルカサーモデルは指板は普通ですよね。僕は単に同じTUNEエンドーサーで大先輩のナルチョさんの真似をしただけです(笑)。ダウンチューニング用にと35インチのエクストラロングスケールで作ったのですが、レギュラー用に調整したほうが鳴りが良かったので、急遽ツアーで使用してみました。

--- K: へぇ、そんなことやったんか。エエ音してたわ。
サポートの石川さんのドラムセットもツーバスを並べててメタルって感じで良かったよ。ワンバスのツインペダルじゃなく、ツーバスを並べてるのって俺は好きやねん。コージー・パウエルちゃうで。44MAGNUMやで(笑)。ツーバス! 変形ギター! 長髪! ってのが俺の思うメタルイメージの1つでもあるねん。そういえば陰陽座って変形楽器使わないね。長身の2人は変形が似合うとも思うけどねぇ。

M: いや、すみません…うちのメンバー誰ひとり変形ギター好きがいないので(笑)。でも唯一、GibsonのフライングVは形も音も好きですね。実は僕、V持ってますし、新作のレコーディングでちょろっと使いましたしね。

--- K: おお、やっぱVはええやんな。
そうそう、次のツアーも2012年の春に決まってるやん? また楽しみやなぁ。ちなみにその頃、俺らMANIPULATED SLAVESもツアー中やからどっかで会えるかも知れんね。2月から5月まで土日使ってまわるねん(笑)。単身赴任のお父さんの逆パターンのツアーよ。平日ゴロゴロして金曜の夜に機材車で出発して土日ライヴして月曜の夜に戻るという…(笑)。土日しかアンダーグラウンドのバンドのライヴではお客さんが集まりにくいからね。まぁ、仕方ないことかな(笑)。

M: 毎週ですか?

--- K: まぁ、空く週もあるけど、ほぼ毎週かな。北は仙台から、九州は博多までやな、今回は。もちろん行けない県も沢山あるけどね。

M: わが故郷の四国はどうです?

--- K: 四国もやけど、大きな都市から少し外れるところへは「来て下さい」って言ってもらえるまでは行かないようにしてる。いろいろと思うところがあって…、一応。
もちろん繋がりのあるバンドやハコがある土地は、どんな状況でも「演らせて」って言うで。俺の信念“一人でも多くの共感を得たい”というところと関係して来るし。

M: なるほど…その“共感”をもぎ取りに行くのではなく待つタイプなんですね。

--- K: そうかな(笑)。とりあえずCD聴いてもらって気に入ってくれた人が呼んでくれる、というカタチが一番望ましいな。

M: 僕たちは“共感”してもらえるかどうかは別としてどこへでも行きましたね。僕はどちらかというと、「好き」って言ってもらうのを待つよりも自分から言うタイプなので(笑)。まあ、例えるなら僕たちは秀吉で、蔭山さんは家康っていう感じですね(笑)。

--- K: ははは(笑)。
ところでニューアルバム『鬼子母神』の事やけど、めっちゃ良いね。マジで。どこを聴いても陰陽座そのものやのに、全部が先へ進んでる。誤解ないように言うけど、何も変わってないとかそんな事やないよ。変化してへんけど、進化してる、みたいな感じかな。

M: 変化ではなく進化、というのは常に信条としていますので、そう受け取っていただけたなら嬉しいですね。

--- K: 訊きたい事、いっぱいあるんやけど、とりあえず原作脚本について訊くわ。俺、まず音を先に聴いてから原作を読んでん。今日ステージのMCで音だけでも十分楽しめるって言うとったけど、それはホンマそうやね。俺も最初は音だけやったし、どんな内容の物語なんか想像したりして聴いてた訳よ。それはそれで凄く楽しく聴けた。んで、それから原作読んだら、それまで想像だけやった世界がパッと断定されたし、更にアルバムがおもろく感じたわ。先に読んでおけば良かった、と思ったよ。それくらい凄かったって事で。

M: そうですね、先に脚本を読んで、それから聴いてもらえれば物語が完璧に楽しめますし、その逆でも何も問題ありません。その物語の中の出来事に対して「ええ話や」と思うか「なんちゅう話や」と思うかはもちろん自由なんですが、とにかくストーリーはコレ、というのを今回は特定し、明らかにしたかったんです。いわゆるストーリーもので、作り手本人の中には壮大な物語があると言ってはいるものの、あえてソレは出しませんって云うのは、無いのと一緒だと思われても仕方ないと思うんです。いや、音楽を作る上では基本的にそれで良いんです。だって作るべきは「物語」じゃなくて「音楽」だから。歌詞と楽曲があれば、それで良い訳で。逆に「こういう物語です」ってワーワー言うほうが、ホントは蛇足なんです。でも今回は、ワーワー言うんじゃなく本にしてしまうくらいの勢いで、こんな事を作り手は考えてるんですよ、ってのを一回明らかにして、しかも皆もそれを読めるっていうようにしたかったんです。要は「共有化」ですね。物語の共有です。作り手とファンが完全に同じ風景を見ながら聴けるという事が今回やりたかったことなんです。

--- K: そうやな。まさにそうやな。凄いこと考えるなぁ。でも俺、完全に逆の事してるわ。MANIPULATED SLAVESはドラマティック・スラッシュと言うてるくらいやから、各曲にドラマとストーリーがあるんやけど、全く内容は公表してないねん。俺の中ではストーリーがあるけど、それは音楽を作る上での題材みたいなものやから、ストーリーより楽曲を楽しんでくれ、と。それでもストーリーが知りたい人は歌詞とタイトルから汲み取ってくれ、ってね。

M: その汲み取る作業の中で、意味を取り違えられたり、「出さないなら無いのと一緒や」と言われることも辞さないと。

--- K: うん、俺はそれで良いのよ、楽曲を楽しんで欲しいだけやから(笑)。昔、当時VOW WOWで歌ってはった人見元基さんがロッキンfのインタヴューで言うてたひと言が、今も痛烈に残ってるんよ。それは映画を題材にして曲を発表する人に対しての事やったんやけど、2時間の映画を5分の曲にするのは、失礼すぎるぞ、ってな内容で、俺はそれによってストーリーと楽曲の関係性とかを深く考えるようになってしもて、その結果、ドラマの内容はナイショっていう今のパターンに落ち着いてん。最近のマニピュは歌詞すら載せてないわ。

M: :歌詞を載せないって、昔の輸入盤みたいですね(笑)。 ただ、その人見元基さんの意見は「他人が作った映画や物語を勝手に短縮することは失礼」という意味ですよね。僕が今回やったのは「自分で作った物語を自分で音楽にする」ということなのでそれとは全く違うと思っていますけどね。

--- K: うん、それはもちろん分かってるよ。人見元基さんのインタヴューで、ストーリーと曲の関係性を深く考えるようになったんは俺の勝手やから。人見元基さんもそんなつもりで言うたん違うと思うし(笑)。
瞬火は自分のストーリーを自分の楽曲で表現してるんやから、何の問題もありまへん。無問題(モウマンタイ)です(笑)。

M: それは置いといて、マニピュがあえて歌詞を伏せて聴き手に掘り下げてもらおうと云うのは手法の1つとしてもちろんアリ、というか、それが普通だと思います。

--- K: それが正しいかは別としてやろ(笑)。でも歌詞の公表に拘らなくなったのは、色々と背景的なものもあるねん。実は、歌詞作って、その中で遊びとかも沢山してるねん。改行したアタマの文字だけ縦に読んだら、また新しい言葉が出てくるとか、色んな事をしてるけど、気付く人、そんなに居てなかったりするのよねぇ。

M: それはそれで気付いた人だけがニヤッと出来て良いと思いますけどねぇ。そういえば、マニピュが連続で出したミニアルバムも曲名のアタマ文字を繋いだら「DEATH」と「LOVE」になりましたもんね。そのミニアルバムですけど、DEATH編(『Death In The Wilderness』)はいつものマニピュでしたけどLOVE編(『Love In The Mystic Forest』)はソフトというかキャッチーでしたよね? 元々ああいう二面性を持ったミニアルバムを二枚出す予定だったんですか?

--- K: あれは元々一枚のアルバムで、6枚目として出す予定やったものやねん。最初から二面性をもったものやったよ。タイトルは『LOVE & DEATH』で、仮タイトルは「森と荒野」やったんやけどね。イマイチLOVEもDEATHもイメージしにくいから、自分では草木とか植物を“心”に置き換えて、森と荒野をイメージして制作してん。
2009年の4月に出した5thアルバムが凄く高評価で、けっこう売れたねん。だから、その勢いに乗って5thのリリースツアーが終わったらスグに次を、みたいな雰囲気になってたんで、ほぼカタチになってる「DEATH」のパートだけをミニで出そうって。俺も瞬火みたいに何枚か先まで作品の構想が出来てるヤツやけど、イレギュラーはバンバン対応するヤツでもあるねん(笑)。まぁ、レコーディングに入ろうかという頃にリズム隊が相次いで辞めてもうたんで、新メンバー探しの諸々があったし、リリーススケジュールは大幅に遅れたんやけどね。ま、それもバンバン対応したったわ(笑)。
と言いながら、これは元々は一枚のアルバムのはずやったし、バラバラにしておくのは可愛そうやから、幸か不幸かもう2枚とも売り切れとるし、再プレスはせんと、2012年の2月に6thアルバムとして元々のタイトル『LOVE & DEATH』でリリースする事になったよ。

M: ミニアルバムの音源をそのまま1枚にまとめる形で、ですか?

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profile

1999年、瞬火・黒猫・招鬼・狩姦の4人により結成。男女ツイン・ヴォーカルとツイン・リード・ギターによる変幻自在な音楽性により、日本文化に徹底的に拘った唯一無二の世界観を結成時から現在まで淀みなく展開。

インディーズでアルバム2枚を発表した後、2001年、キングレコードよりメジャーデビュー。

以来、精力的な音源制作とライヴ活動を続け、新作『鬼子母神』ですでに通算10作目となる。
全都道府県を2周しているという事実が物語るように、生粋のライヴバンドとしても定評がある。

Members:
■ 黒猫(くろねこ) - vocal
■ 瞬火(またたび) - Bass/vocals
■ 招鬼(まねき) - Guitar
■ 狩姦(かるかん) - Guitar