【HMVインタビュー】 Candle

2011年3月4日 (金)

interview
--- HMV ONLINE 初登場という事になりますので、まずは簡単に自己紹介からお願いします。

HMV ONLINEをご覧の皆様、初めまして。東京都23区左上辺りからラップ音楽を発信しているCandleと申します。2007年3月生まれのファーストアルバム「街角ジゴロ」を経て、 この度2011年3月にセカンドアルバム「月見草子」を出産予定です。

--- CandleというMC名にはどのような意味が込められているのでしょうか?

「月見草子」収録の『銀の燭台』という曲でもチラリと歌っていますが、蝋燭から蝋燭に灯を灯していく様に、自分の音楽も広がっていけば良いなぁ。という思いが込められています。他にも色々意味がありますが、今はそんな気分です。

--- CandleさんのHIP HOPとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

自分の一目惚れでした。第一印象から決めてました。出会った瞬間、「あぁ、これは長い付き合いになるな。」と思いました。人と違ってナンボ!とか、殴り合いじゃなくてダンスでケリをつける!とか、そういう考え方が、そりゃあもう格好良過ぎてぶっ倒れそうになりました。

--- ラップを始めたきっかけは?

とにかくHIPHOP文化に参加したい!という気持ちが強かったです。もともと文章を書いたり読んだりする事は得意でしたし、何よりマイクとビートがあればそれでOK!的なオラオラな感じがたまらなく刺激的でした。

--- 「怒りはバネ 喜びは種」Candleさんにとって創作の源となっているものは何ですか?

自分の感情、喜怒哀楽、それに付随する経験に、滑稽さや洒落、所謂ユーモアが加わった瞬間、鉛筆に命が宿ります。

--- 今回リリースされるアルバム『月見草子』、このタイトルに込められた意味について教えてください。

月を見ながら歌詞を書き、月に見られながら録音した結果生まれた短編傑作集という意味です。月の大きな夜に散歩しながら聴いてみてください。きっと目の前に兎が現れて、月の裏側で催されている宴に招待してくれるでしょう。

--- 楽曲タイトルは全て独特の語感を持った日本語、あるいは「ブレイン情報バグ」のように日本語と英語を組み合わせたものですが、ここにこだわりはありますか?

そこにこだわりはありませんが、タイトルまで気を抜かないということにはこだわっています。
(自分の五感+直感)×語感=素敵なタイトル
この公式で弾き出されたタイトルを信じています。

--- 資料によると「月を仰いで綴った短編集」との事ですが、このテーマに関してもう少し具体的に教えていただけますか?

日々の出来事は夜に振り返ります。太陽の下では明る過ぎて見えなかった微妙な光も、淡い月明かりの下では光り輝いて見える事もしばしば。そういう光を逃さず捕まえ捕まえて瓶詰めしていった結果生まれた短編集なのです。

--- 全曲EVISBEATSのプロデュースによる作品ですが、彼とタッグを組んだ理由を教えてください。

EVISBEATSさんのビートで曲を作る事で、Candleのまだ見ぬ引き出しが開く予感がしました。アルバムを作るにあたって、ビートをたくさん聴かせてもらったのですが、 予想の斜め上を行くビートばかりで、予感が確信に変わりました。

--- 前作「街角ジゴロ」発売以降、今作制作にかかった時間、EVISBEATSとどのような作業を繰り返してきたのでしょう?

大阪と東京なので、頻繁には会えないのですが、EVISBEATSさんのスタジオに何度か合宿に行ったりしました。一緒にご飯食べたり、風呂に行ったり、今思えば、かなり大事な時間だったと思います。作業的には、自宅で録音したプリプロデータをEVISBEATSさんに送って、カスタムされたビートが送り返されて来て、また送って・・・と、テニスのラリー方式で曲のイメージを固めていきました。

--- ゲストにAmida、Shing02、Meiso、CHIYORI、前田和彦(ピアノ)を迎えていますが、それぞれとの制作はどのようなものでしたか?

Amidaさんには「阿弥陀くじ」「ら組」の2曲でラップをしてもらっています。阿弥陀くじは、曲の調べからして、Amidaさんのボーカルが入ったらこりゃ最高だと思ったので、お題目を提出して、それに沿った歌詞を書いて頂きました。その後、合宿中に曲を煮詰めたりして出来上がりました。

「ら組」は、Shing02さんと話し合って、ストーリーものを書こうということになりました。曲の細かい設定をAmidaさんに共有して、3人で1つの世界を作り出すべくゴールまで走りました。

Meisoくんとは、「迷宮組曲」という曲を演っています。リラックスしたムードで一緒にスタジオで歌詞を書いたりして、かなり楽しい録音セッションでした。

CHIYORIさんとは、「月と接吻」「枕詞」で共演しています。彼女の声は本当に美しく、曲を磨いていく度に、どこまで良くなっちゃうんだい!?と、とてもワクワクした事を覚えています。

前田和彦さんへは、EVISBEATSさんを通してピアノの演奏をお願いしました。「残り香」はもともと別バージョンのトラックで曲が出来上がっていたのですが、ピアノが乗ったら凄くいいんじゃないかというアイデアのもと、演奏して頂きました。結果、白トリュフのスライスがたっぷり乗った香り高い料理に仕上がりました。まさに残り香。

--- “夜”が放つ独特な雰囲気を感じさせる作品だと思うのですが、リリックが生まれるのは夜が多かったりしますか?

今回のアルバムでは、夜の雰囲気を大切にしたかったので、意図して夜に歌詞を書き書きしました。スイッチを入れれば、昼夜問わず、何処でも歌詞は生まれます。

--- 独特な視点がリリックに反映されていると思いますが、普段Candleさんがモノを見る時に意識しているような事はありますか?

特に何か意識しているということはありません。ただ、いろいろ細かい所まで見てるねと言われることはあります。

--- Candleさんが曲を作るときはリリックが先に上がっていてそれに合うトラックを選ぶことが多いですか?それともトラックがあった上でリリックが浮かぶことが多いですか?また、二つのケースでの制作方法の違いなどあれば教えてください。

ビートが先の事が多いです。ビートを聴いて想起されたイメージをもとに歌詞を書く事で生まれる一体感を大事にしたいです。

--- 他のMCに比べて1曲に詰め込まれた言葉の数は膨大なのにも関わらず、今作は「街角ジゴロ」に比べても言葉が流される事なくしっかり聴こえてくる事に驚かされます。その辺りで意識している事はあるのでしょうか?

言葉の選び方は相当こだわっています。どういう風に聞こえて、どういうイメージで意識に消化されていくのかということを、繰り返し口に出して味わって採用/不採用を決定します。不採用になっても諦めないでください。また別の曲で採用されるかもしれませんから!という、いわば面接官気分です。

--- アルバムに収録された楽曲の中で、特に思い入れの強い楽曲を3曲選び、楽曲解説をして頂けますか?

「ブレイン情報バグ」
アルバムで一番最初に出来上がった曲です。右を向いても左を向いてもサービスという名の押し売り広告の嵐。バナーにポップアップ、何となく目に入る知らない人の意見。知りたくないのに知りたくなる、見たくないのに見たくなる、欲しくないのに欲しくなる、ある意味規則的なサイクルから思い切って抜け出すとあら不思議、脳内ハードディスクにはまだこんなに容量が残ってたのね!じゃあこの残り容量で、もっと楽しい事考えましょうか!という曲です。今まで内側に向きがちだった歌詞が、外側に広がった気がして、書き上げた時にちょっと興奮しました。

「銀の燭台」
蝋燭から蝋燭に火を灯していく様に、素晴らしい音楽が世に広がっていけばいいじゃない!ただ、広がり方にも色々あって、悩むところもあるけれど、結局はいい音楽を作るということが一番大事だね。という曲です。火のついた蝋燭を乗せた燭台を片手にウロウロしているCandleを想像してください。八つ墓村ではないですよ。

「残り香」
この世は辛い、苦しい、もういやだ!と言うのは簡単ですが、じゃあ楽しい事なんて何にも無いのかというと、そうでもない。四季の何気ない出来事に絡めて、実は割りと素敵な日常を描いた曲です。
『永久に祈り 眠りにつく 願わくば 巻き戻してまた再生』
生まれ変わっても自分で居たいなんて思えたら幸せこのうえないですね。この曲が終わって、もう一度アルバム頭から聴きたい!なんて思ってもらえたら幸せこのうえないですね。

--- 前作『街角ジゴロ』の時と比べて、自身が感じている変化はありますか?

凄くざっくりした言い方ですが、「許す」ことの大切さを知りました。

--- 最後に今後の予定を聞かせて下さい。

ラップマシーンとして、いろんなビートメーカーと曲を作っていく予定です。これからもCandleをよろしくお願いします。

--- 有り難うございました。

HMV ONLINE 大プッシュ!!! 3月のドススメはCandle!!!

[3月のドススメ] Candle
新譜『月見草子』 Candle
Candle4年振り待望のニューアルバムは"月を仰いで綴った短編集"。そして...何と、全曲をEVISBEATSがプロデュース!!!「月と接吻」「迷宮組曲」「ら組」「ブレイン情報バグ」「本音サルベージ」等、濃密な十三曲と数寄間(すきま)の計十四曲を収録したセカンドアルバム。都会的で洗練されているけどキレイすぎず、どこか懐かしくて暖かみのある曲をコレクションしたCandleのセカンドアルバム。プロデューサーにEVISBEATS、ゲストにAmida、Shing02、Meiso、CHIYORI、前田和彦(ピアノ)を迎えて制作した。自身の除霊/懺悔をテーマに掲げ、小節に言葉を詰め込んで機関銃のようなラップをした自己完結型「街角ジゴロ」とは打って変わり、EVISBEATSとの作曲により音楽的にも人間的にも成長を遂げたCandle。ラップのスキルを追求するばかりではなく、テーマや内容に重心を置いた曲を多く制作した。Candleの人間観察や描写が光るリリックと、EVISBEATSのトラックが織りなすハーモニー。昼にも咲くけど特に月夜の晩のなぐさめに最適です。「月見草子」は2008年5月頃から2010年の11月までに作られた曲が収録されている。

【先着特典】 CD (月見草子 demos & unreleased)

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     Candle 『月見草子』
    2011年03月09日発売

    Candle4年振り待望のニューアルバムは"月を仰いで綴った短編集"。そして...何と、全曲をEVISBEATSがプロデュース!!!「月と接吻」「迷宮組曲」「ら組」「ブレイン情報バグ」「本音サルベージ」等、濃密な十三曲と数寄間(すきま)の計十四曲を収録したセカンドアルバム。都会的で洗練されているけどキレイすぎず、どこか懐かしくて暖かみのある曲をコレクションしたCandleのセカンドアルバム。プロデューサーにEVISBEATS、ゲストにAmida、Shing02、Meiso、CHIYORI、前田和彦(ピアノ)を迎えて制作した。自身の除霊/懺悔をテーマに掲げ、小節に言葉を詰め込んで機関銃のようなラップをした自己完結型「街角ジゴロ」とは打って変わり、EVISBEATSとの作曲により音楽的にも人間的にも成長を遂げたCandle。ラップのスキルを追求するばかりではなく、テーマや内容に重心を置いた曲を多く制作した。Candleの人間観察や描写が光るリリックと、EVISBEATSのトラックが織りなすハーモニー。昼にも咲くけど特に月夜の晩のなぐさめに最適です。「月見草子」は2008年5月頃から2010年の11月までに作られた曲が収録されている。

    [収録曲]
    1 魅惑のくだもの
    2 迷宮組曲 feat. Meiso
    3 枕詞
    4 銀の燭台
    5 ブレイン情報バグ
    6 月と接吻 feat. CHIYORI
    7 もっと満たして!
    8 あみだくじ feat. Amida
    9 都市の迷彩
    10 ら組 feat. Shing02 & Amida
    11 数寄間
    12 本音サルベージ
    13 蝋燭讃歌
    14 残り香

    【先着特典】 CD (月見草子 demos & unreleased)
    [特典収録曲]
    01. 魅惑のくだもの (demo)
    02. 都市の迷彩 (demo)
    03. 銀の燭台 (demo)
    04. 迷宮組曲 (1人version demo)
    05. 本音サルベージ (demo)
    06. 月と接吻 (1人version demo)
    07. 残り香 (demo)
    Produced by EVISBEATS
    08. 低音ゾンビ (Unreleased Track)
    Produced by SKE

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     Candle 『街角ジゴロ』

    Candleのファースト・アルバム。 このアルバムでは内容もスタイルも斬新さを覚えます。「街角ジゴロ」は、MAGI の機械仕掛けビートにより キャンドルが召喚されて「おんぶ抱っこアスリート」が始まります。アルバム序盤は「中腰、ガニ股、無表情」(TM?) な体勢で、卑猥な言語を無責任に連射する、ラップ掃射器 a.k.a. 唇カタパルト化したキャンドルを想像して下さい。しかし中盤から後半にかけて徐々に懺悔に変わっていきます。まさに「心変わりマジカル」です。 ビート面では国内外の気鋭プロデューサーがおキャンドルに貢献しています。ロサンゼルスの MAGI は、「金属と歯車」のような機械化キャンドルに150%マッチしたトラックを提供しています。某アイドルにインスパイアされたと推測される題名「無論、飽きっぽい。」は誰でも踊れる熱帯雨林ビートです。ベイエリアでアルバム制作中の vector omega a.k.a. shing02 がプロデュースする「唇カタパルト」は一聴すると乗りこなし不可なじゃじゃ馬ビート。おキャンのテクニックを聴いて下さい。 最も破壊力満点なのは、女流ラップ・アーティスト RUMI と DJ KEN-ONE が参加した「バケ猫!!」でしょう。バケの皮はがれる前に予防して下さい。プロダクションは、KK です。アルバム後半にかけてかなり落ち着きを取り戻すことが出来ます。「夢の島に到着」「心変わりマジカル」辺りですっかり毒も抜けてきそうです。 アルバム・カバーは キャンドル ともっとも親交の深いペインター・デュオ = ひとつきの、女流ペイント・アーティスト、SASU が手掛けてくれました。音と一緒に装丁もたのしんでください。あと、歌詞カードも添付します。
profile

Candle
MC/歌人。80年代生まれ。東京都出身。ベイエリアやロサンゼルスのラップ音楽に大きな影響を受けるも、独特の言葉選びで自己流のラップをあみ出す。2004年にMCバトル"導"(UMB第一回東京予選)に出場し優勝。2005年シングル"街角ピエロ"でデビュー。2007年にファーストアルバム「街角ジゴロ」を発表し、女流MCのRUMIと共に日本ツアーを敢行。その後は新たなラップのスタイルを模索しながら、Eccy、Punpee、Young-Gといった新しいプロデューサーたちと曲を制作する。2008年にEVISBEATSと知り合い意気投合。2ndアルバムの制作に着手。約2年半の構想/制作期間を経て、2011年3月に2nd Album「月見草子」を発表。


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     EVISBEATS 『Amida』

    元韻踏合組合。2004年韻踏脱退後にトラックメーカーEVISBEATS、ラッパー名義AMIDAとしてソロ活動を開始する。KREVAやET-KING、RSPといったメジャーから韻踏合組合、般若、SHINGO西成、UKのブレイクビーツ職人BOCA45の REMIX、サイプレス上野、スネークマンショウのCLUBKINGのコメディー音源等のアンダーグラウンドまで様々な楽曲の制作に携わる。いままで彼が創り上げてきたものを全てぶち込んだ作品。ある意味カオス内容は聴きごたえ十分!
profile

EVISBEATS
Trackmaker。奈良県出身、大阪府在住。元韻踏合組合、2004年から作曲家EVISBEATS、ラッパーAMIDAとして活動。これまでに韻踏合組合、SHINGO★西成、般若、KREVA、RUMI、ET-KING、RHYMESTER、鎮座DOPENESS、サイプレス上野などのアーティストに楽曲を提供している。2008年には待望のソロアルバム「AMIDA」を発表。2010年には韻踏合組合のアルバム「都市伝説」の全楽曲をプロデュースして話題を呼んだ。自身のブログ/ウエブストアではインスト集やミックスCDなどを発表しファンから根強い支持を受けている。現在は2ndソロアルバムを鋭意制作中。