HMVインタビュー:ケヴィン・マイケル
2011年3月7日 (月)
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印象的な
アフロ・ヘアと、ソウルやファンクとポップスを絶妙にミックスしたスタイルで人気を博し、
ここ日本でも、2008年にスプリンブルーヴに出演を果たしている
R&Bシンガー、ケヴィン・マイケルが待望のセカンド・アルバムを完成。
その最新作は堂々の“国際派”宣言。
これまでのイメージを覆し、
よりストレートに時代のポップを照射する”次代の鍵を握る男”
となったケヴィンにインタビュー。
インタビュー・文:二木崇(D-ST.ENT)
通訳:林 美和
- --- 前作『Kevin Michael』を振り返ってコメントして下さい。あのアルバムを出したことで変わったこと、今考えると不足していたこととは?
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一番はっきりとした変化は、アルバムのリリース後に当時僕が契約をしていたレーベル、AtlanticとDowntown Recordsとの契約が解除されたってことだね。それはほろ苦い出来事で、その結果2年ほど仕事から離れてオフの時間を送ることになったんだけど、すごく変な感じだった。なぜならそれまでの3年間はずっと仕事をし通しだったからね。変な感じだったよ。
不足していたことは......うーん、当時のレーベル側のシングルの選び方について、僕はあまり満足してなかったんだ。もっと具体的に言うと、シングルのリリース順について不満を持っていた。シングルの選択に関して、最適なタイミングを逃していたと思うんだ。もし違うタイミングで違うシングルをカットしていたなら、当時のマーケットにおいてあのアルバムはもっと成功する可能性があったんじゃないかと思うんだ。まぁ、起こってしまったことは今さら変えられないし、自分自身もレーベル側と同じようにそのことについての責任は負っているとも思うけどね。 - --- 自分は世間でどんなアーティストとして認識されていると感じましたか?
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ネオ・ソウルのソウルフル・シンガー。これは、僕がフィラデルフィア出身という事実からすると、ある意味間違いではない。フィラデルフィアはネオ・ソウルが生まれた土地ともいえるからね。さらにいうと僕の髪型はアフロだったし...歌もうまいしね(笑)。だから当時、僕はいわゆる典型的な「ポップ・アーティスト」ではなかったんだ。そしてそういうレッテルに対して僕は常に戦いを挑み続けているんだ。「僕は単なるソウル・アーティストじゃないんだ!」ってね。僕の 1stアルバムは実際ポップ・アルバムだったし、当時レーベルが選んだシングルの楽曲も明らかにポップスだった。だからそういった部分で、僕の売り出し方っていのはすごく混乱したものだったね。
- --- 現在の制作(レコーディング)環境は?
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今回のニュー・アルバムの制作に関してはおもしろくて、僕は自分が元々スタートした場所=フィラデルフィアにまた戻ってきた。 なぜなら僕は自分を取り戻す必要があったんだ。自分が元々どこから来たかということをちゃんと認識していなければ、この先自分がどこに向かっていくかってことなんてわからないからね。だから僕はフィラデルフィアに戻ってきて、このアルバムのすべてを自分のMac Book Proとマイク1本で作ったんだ。それは自分へのチャレンジだった。「自分のルーツである場所で、3か月の間に自分が書き得る最高のポップ・ソングをレコーディングすることできるか?その環境に身を置くことで、何かクリエィティヴなアイデアに刺激を受けて、それをデジタルな形式にとらえることができるのか?その経験によって何かインスピレーションを得ることができるのか?」っていう挑戦だったね。
そして、実際すごく興味深い経験だった。僕は今までこういう形でレコーディングしたことはなかったからね。2007年〜2008年に、プロモーションで世界中を飛び回っていたときから実際には制作は始まっていたんだ。ずっといろんなところをツアーしてたからスタジオから遠ざかった生活が続いていて、ホテルの部屋でレコーディングをし始めたんだ。それがそもそものスタートだね。そしてアルバム全体を自分で作れないか?っていう所につながって行ったんだ。だから今回のアルバムは全部自分で作って、自分の子供みたいなものなんだ。 - --- 新作はアッパーなダンスチューンが目立つポップ・アルバムといった印象ですが、自分ではどんな作品を目指しましたか?
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みんなが踊れて、聴いたときに何かを感じられるような完璧なポップ・アルバムを作りたかった。僕は今、若者文化というものについてすごく考えていて、 僕の音楽を買ってくれる人たちと、どういう風に話しをするかということについて絶えず考えてるんだ。 今までそんなことを考えたことはなかったんだけどね。 インターネットのおかげで、音楽というのは......今やそれを買ってくれる人たちとの間の公開された会話になり得る。 Twitterを使うこともできるし、FacebookやYoutube、いろんなものを利用することもできる。そういったものを使えば、例えば自分のアルバムを買ってくれた16歳の女の子の部屋に上がりこむ、みたいな状態がほぼ可能になる。そういう自分の音楽を聴いてくれている人たちと、直接話をすることができるんだ。だからこのアルバムでは若者に対して語りかけたいと思ったし、また若者の気持ちをこのアルバムで代弁したいと思ったんだ。10代から20代の若者のね。その年代が今の僕のメイン・リスナーだからね。
このアルバムにはアップテンポな曲がいっぱい入っていて、ポジティヴなメッセージもいっぱい詰まっている。そしてその形はいろいろあれど、僕の愛を広めるというのがこのアルバムの主旨なんだ。 - --- アーバン、R&B、ポップなど、どういったマーケットがしっくりくると思いますか?
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ポップ!ポップしかないよ!それしかない。僕はポップ・スターだからね。
- --- ファルセットにもさらに磨きがかかった印象ですが、「歌表現」で進化した部分は何ですか?
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うぬぼれてるとは思われたくないんだけど、最後にみんなが僕の歌声を聴いたときと比較すると、君が言ってくれたように僕は歌の部分ですごく成長したと思う。スタジオで作業をしたり、曲を書いたり、レコーディングしたりする時間を十分に取ることができて、自分の声をすごくよく理解することができたんだ。男性の声...シンガーの声というのは2度変わると僕は思うんだ。最初は16歳ぐらい...思春期で声変わりして、僕ぐらいの年齢...24〜27歳ぐらいで再び変わると思うんだよね。僕のファルセットはさらに力強いものになった。自分が知らなかった新しいことを学ぶために調整が必要な部分もあったし、そういうことを経て、前のアルバムの時より力強いものになったんだ。
僕は決して歩みを止めることはしない。音楽に関して僕はつねに生徒であり続け、学び続けるんだ。もう自分にとって必要なことは全部学んでしまったから、みたいに決して思いたくはないんだ。それは全く僕らしくない。常にいろんなことを吸収し続けたいんだ。そしてこの2年間でそういうことをたくさんやってきた。音楽や他のアーティストについてもいろいろ勉強してきたしね。そういったことが全部、今回のアルバムに反映されてると思うよ。 - --- ソングライターとして変化したこととは?
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飛躍的な成長を遂げたね。この2〜3年でたぶん...70曲ぐらい曲を書いたんだ。1stアルバムの時は、僕がどれだけ曲を書くことが好きかっていうことをみんなわかってなかったと思うんだ。たぶん歌を歌うことと同じくらい僕は曲を書くのが好きだね。
僕はこの2011年時点でヒットする曲とはどういうサウンドの曲なのかということについて学んだんだ。ビルボード・チャートについてはかなり研究したからね(笑)。どういうアーティストがビルボード・チャートにいるかってことをよく観察すると、どういう曲が売れるのかということについていろんなことを学べる。そしてそれだけじゃなくて、どうするのが自分にとって効果的かってこともね。 - --- アルバム・タイトルやコンセプト、アートワークについてそれぞれコメントして下さい。制作期間は?もっとも達成感のあった曲は?
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アルバム・タイトル:
アルバムを作り始めた時、アルバム・タイトルがどういうものになるか自分自身全然わかってなかった。音楽的にどういう作品にしたいっていうのは分かってたけど、アルバム全体のテーマというものはなかったんだ。そんなときに、「International」を作り始めた。Aメロ、Bメロ、そしてサビの部分をね。正直なところ最初はその曲をあんまり好きじゃなかったんだ(笑)。でそこから、歌詞を変えたり、加えたりして少し手を加えて、録音してみたんだ。そして出来上がったものを聴いてみたら、「Wow!これ、すっごいいい曲だよね!」ってなったんだよね。最初、あんまり好きじゃないかもって言ったのは、多分自分が完全に間違ってたのかもってね。そしてブリッジやらサビの部分を完全な形にして曲を完成させたんだ。そして僕は思ったんだ。「これをこのアルバムのタイトルにしよう!」ってね。「このタイトルは僕がこのアルバムで言わんとしていることをすべて表現しているんだ」って。つまり、このアルバムをグローバルなものにして、可能な限り世界中の人が共感できるようなものにするっていうことなんだ。
僕は過去から学びもするし、将来に対して計画もするけれども、自分にとって一番大切なのは「今」なんだ。僕は「今」を生きている。そして今、これ(International)こそ自分が考えていることなんだ。世界の人々みんなが受け入れることのできるテーマや、コンセプト、アイデアをこのアルバムで表現したかったんだ。そしてスポークス・パーソンとして若者の声を世の中に伝えたいんだ。自分の音楽にとって若者...若者の文化は本当に重要なもので、どれほど重要かを言葉で言い表すことができないくらいなんだ。
アートワーク:
僕の友人でフィラデルフィア在住のカメラマンに僕の写真を撮ってもらうことからスタートしたんだ。僕は2〜3年(表舞台から)姿を消していて、その間、僕の姿はあまり多くの人の目に触れてこなかった。そして僕の姿を人々がどういう風にとらえるのか、あるいはとらえていたのかっていうことについて、僕自身全然わからなかったんだけど、僕はただ自分がどういう人間か、あるいはどういう人間であったのかっていうことを表現したかったんだ。僕は変わったし...すごく変わったし、特にルックスは間違いなく変化した。だから写真を撮ってもらうことから始めて...そして、素晴らしいグラフィック・アーティストに...彼もフィラデルフィアの人間なんだけど...その写真をブックレットの形に収まるようにデザインしてもらったんだ。ポップ・アートのフィーリングを前面に強く押し出したものに僕はしたかった。アンディ・ウォーホール的なね。そして僕がいつか亡くなったときに、これらの写真を見れば、僕の功績...って言っていいかわからないけれど(笑)...を思い出してもらえるようなものにしたかったんだ。
Internationalなアイデアや写真がブックレットやアルバム・ジャケットに使われているよ。日本やロンドン、パリ、LA、マイアミといった世界中の画像がいたるところに使われていて、それは自分が行きたい場所だったり実際行った場所だったりするんだ。だから、ある意味このアートワークは、自分が今現在いる場所であり、自分がこれから行きたい場所を示唆している自分に対しての潜在的メッセージでもあるんだ。自分の音楽を広めて行きたい場所っていう意味でね。
制作期間:
うーん、それは難しい質問だな。というのは、数え方によっては...公式には去年の10月にレコーディングを開始したんだけど、このアルバムのアイデアは6月くらいには自分の中であったんだ。でもまだ何も具体的な話はまとまってなくて。だからまだ実際に曲を書いたりはしてなかったんだけど、6月頃にはアルバムのコンセプトについてのアイデアを頭の中で考え始めていたんだ。で、実際には10月からレコーディングを始めて、曲作りとレコーディングで3カ月かかった。で、そのあと1ヶ月間でマスタリングとアートワーク用の写真撮影とかをやったんだ。
もっとも達成感のあった曲:
「Who I Am」だね。間違いなくこの曲だね。この曲はすごく気に入ってる曲なんだ。あとは「International」「The Answer」「Spread the Love」も好きだね。多分、日によってこの質問の答えは変わって来ると思う。これらの曲はすべて好きな曲だからね。マスタリング終わった後は、あんまり自分で聴いてないしね。でも「Who I Am」はそのタイトル通り、僕が何者かっていうことを表した曲なんだ。自分はこういう人間であり、これからも自分は自分であり続ける、もしそれが気にいらないならそれで結構、僕は自分が望む生き方で自分の人生を生きていく、っていうことを歌っている曲だからね。 - --- ガーリック・ブレッドなどの参加プロデューサーについてコメントして下さい。
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ガーリック・ブレッドはまだ無名のプロデューサーで、アメリカの若いプロデューサーなんだ。このアルバムはすごく興味深い作品で、というのは、これはすごくデジタルなアルバムなんだ。僕のノート・パソコンでこのアルバムはレコーディングしたんだけど、彼とは何年も前にインターネット上で出会ったんだ。Myspaceか何か...詳しいことは忘れたけど、とにかくそこで聴いた彼の音楽にひきつけられたんだ。僕らは友だちになって、実際彼が僕の居る所までやってきてくれて、いっしょに曲をかいたりレコーディングしたりし始めたんだ。2007年の終わりぐらいに始めて、本格的にやり出したのは2008年の初頭からだった。彼の音楽へのアプローチはとても新鮮で、彼の作るサウンドはすごく今の音なんだけど、とても独特で独自のスタイルをもったプロデューサーなんだ。若き日のティンバランドを彷彿とさせる。だからこのアルバムを作り始めた時、彼と一緒にやりたいって思ったんだ。 他には1stアルバムに入ってる「Stone Cold Killa」を手掛けたNoize Tripとも今回いっしょにやったね。
- --- 日本のEMI MARIAとの共演曲もありますが、その経緯は?また彼女の印象は?
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僕がJVCに誰か日本のアーティストとコラボレーションしたいっていう話をして...若くてフレッシュで自分が今抱いてるアイデアを同じように表現できるアーティストって誰がいるだろうか?ってJVCに聞いたんだ。そして、Emiを紹介してもらい、コラボレーションしたって訳さ。曲の出来については、自分の頭の中で自分が聴いていた通りに仕上がったから、すごく満足してるよ。
実際彼女とはまだ会ったことはないんだけど、彼女の作品やパフォーマンスしてるところから受ける印象としてはすごく魅力的な女性だと思うし、日本に行って彼女と会うのを楽しみにしてるし、できればどこかでいっしょにこの曲をやりたいと思ってるよ。 - --- 新作を作ったことで新たに見えてきたものとは?
いろんなことが見えてきたよ。このアルバムは僕にとってかなり作るのが大変なアルバムだったんだ。制作に関して、細部まで自分自身で関わって作った作品だったからね。楽曲制作、レコーディング、プロデュース、ミックス、マスタリング、そしてアートワーク...写真撮影の手配からヴィジュアル・イメージの決定まで...全ての部分において全部自分でやった。月並みな言い方に聞こえるかもしれないけど、全力でやれば不可能なことはなにもないんだ。自分ひとりで3〜4カ月の期間内にアルバムを作るんだ、そしてこういうサウンドのアルバムを作るんだっていうゴールを自分の中に設定してからは、その想いをずっと胸に抱いて実現に向かって突き進んだ。僕のベッド・ルームにはボードがかけてあって、そこにはこのアルバムのためのいろんなアイデアや言葉の切れはしやアルバムのコンセプトといったものがいっぱい書いてあった。 そうやって出来上がった今回のアルバムの出来については、自分自身すごく満足していて、日本のみんながどういう感想を持つのかすごく楽しみにしてる。そしてもし世界の他の地域にもこのアルバムが届けられるなら、それぞれの国の人たちがどういう感想を持つのかすごく楽しみなんだ。このアルバムは、若者が情熱と夢を持って物事に取り組んだときに何ができるのかっていうことを示すいい例になっていると思うよ。
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- International
Kevin Michael - 2011年3月16日発売
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- Kevin Michael (日本盤)
Kevin Michael - 2008年3月発売
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- Kevin Michael (輸入盤)
Kevin Michael - 2007年10月発売
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- Blue Bird
EMI MARIA - 2011年3月9日発売
- 関連サイト(外部サイト)

