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【コラム】Lamp 『東京ユウトピア通信』(第1回)

2011年2月1日 (火)














  2/9に6枚目のアルバム『東京ユウトピア通信』
  を発売するLampが送る連載コラム、
  その名も『東京ユウトピア通信』を
  今週から全4回・4週に渡り
  お送りします。
   
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  Lamp  『東京ユウトピア通信』
    [ 2011年02月09日 発売 / 通常価格 ¥2,500(tax in) ]

前作『ランプ幻想』では文字通り儚く幻想的な美しさと、巷にあふれるサウンドとは一線を画す質感を持った世界を作り上げ、あらたなポップスのフィールドを更新する傑作を作り上げた。2010年夏に発売された限定盤EP『八月の詩情』では、夏をテーマに季節が持つ一瞬の儚さを切り取った詩とその情景を見事に表現したサウンドが一体となり、より濃密なLampの世界を持つバンドの新たな可能性を提示した。そして待望のニュー・アルバムとなる今作『東京ユウトピア通信』は、EP『八月の詩情』と同時に平行して制作され、丁寧に1年半という時間を掛けて作り上げられた作品。そのサウンドは新生Lampとも言うべき、より強固なリズムアレンジが施され、これまでのLampサウンドを更に昇華させた独自の音楽を作り出している。冬という季節の冷たさと暖かさや誰もが一度は通り過ぎたことがある懐かしい感覚、どこかの街のある場所での男女の心象風景などこれまで同様に物事の瞬間を切り取った美しい歌詞を、新しいサウンドの乗せて編み上げた8曲の最高傑作。現在の音楽シーンにの中でも極めて独自な輝きを見せる彼らの奏でる音は、過去や現在を見渡してもLampというバンドしか描けない孤高のオリジナリティーを獲得し、新たな次元に到達している。

どこを切っても現在進行形のバンドが持つフレッシュネスに溢れている。
真っ先に"成熟"を聴きとってしまいがちな音楽性にもかかわらず、だ。
そんな人達あんまりいない--そしてそこが素敵です。

- 冨田ラボ(冨田恵一) -






高校に入る頃には、僕はいつも音楽のことを考えていた。

僕がまだ小さい頃、親父は東京の端で小さなリハーサルスタジオをやっていた。
スタジオはマンションの中にあり、一部屋だけ。客に珈琲なんかを出していたという。そういう時代だったのかな、とも思う。
商売としては、「経営」なんて言葉を使うには程遠いものだったと思う。
その証拠に、妹が生まれてまもなく、スタジオでは一家の生計が立たなくなり、看板を降ろしたのだった。
マンション内で苦情があったというのもあるが、吉祥寺に大手のリハーサルスタジオが出来たというのもまた、客足が遠のく原因になったそうだ。

親父は家に居る時はいつもギターを弾いていた。
家では、ジミヘンやビートルズ、ボブ・マーリーやアース・ウィンド&ファイアー、ピーター・ポール&マリー、それに山口冨士夫なんかがよくかかっていた。
親がよくかけていたものは大抵好きだったが、未だにジャニス・ジョプリンとアレサ・フランクリンには興味が沸かない。

僕が生まれるずっと昔に、親父は、一時期京都で後に村八分となるバンドに誘われて山口冨士夫等と一緒にやっていたりもしたが、どういう経緯か東京に戻ってきたという。
母はフジオくん(と家では呼んでいる)の生活や健康などを気にかけているようで、今でも時々連絡を取っている。

親父は本当に音楽が好きだったと母は言う。音楽に対して真面目だったと言う。
「それに比べ大陽は・・・」と言わんばかりに。

親父が31才の時に僕が生まれた。
今の自分の年だ。
不思議な感じ。

ごく普通に運動が好きで、そして、音楽には然程関心がない少年であった。
ましてや自分で楽器を弾いてみるなんてことは考えもしなかった。
小学校2年生のときに、妹が通い始めたピアノ教室で少しの間だけバイエルを習ったことはあったが。

家で歌を歌うのは好きだった。
親が言うには、雨の歌が好きで、歌うときはすごく感情を籠めて歌っていたそうだ。

CDを初めて自分の小遣いで買ったのは中学3年のことで、周りの友人に比べても大分遅かった。テレビをあまり見ないで育ったこともあり、歌謡曲とかJ-Popというものにもほとんど触れたことがなかった。
クラスの女子が歌う知らない流行歌を聴いて、「良いなぁ」などと思ったりはしていたが、家に帰るとそんなことは忘れていたように思う。
家に帰って自分でかけるものは、やはり親の持っている所謂昔の洋楽ばかりだった。
そんな按配だった所為か、高校受験シーズンに見たテレビ番組で流れてきたヒットチャート上位曲が、当時の僕にすごく新鮮に響いたのだった。
自分も曲を作ってみたいと思った。
何の根拠もなかったようにも思うが、流れてくる音楽を聴いて、自分だったらもっとこうするのにとか、そういう気持ちがあって作曲に対する興味が出たようにも思う。

特に「楽器をやりたい」と思ったわけではなく、曲を作るには何か楽器が出来ないと、こう、とても不自由なんじゃないかなどと自分なりに考えて、楽器を始めることにした。
そうして、それまで「見る」「聴く」だけだった親父のギターに初めて触れた。
まもなく親にエレキギターを買ってもらった。
高校入学の直前くらいのことだったと思う。

高校は県内の進学校だった。割と自由で男女の仲も良く雰囲気は緩いものであった。
僕はフォークソング同好会という、軽音部みたいなものに入った。
フォークソング同好会の中で僕の学年だけがなぜかみんな洋楽が好きで、邦楽を聴いていることがかっこ悪いという風潮があった。
友人はみんな楽器が上手かった。
そんな中で僕も洋楽を自分で買って聴くようになった。
デビッド・ボウイやニルヴァーナ、スマッシング・パンプキンズ、オアシス、ビートルズ、サイモン&ガーファンクルなどが好きだった。他にもいくつか聴いていたが、そのほとんどがそこら辺の雑誌に載っているような有名なバンドで、それらを友人に教えてもらったりしながら聴いていた。
当時、柏という街にヴァージンとディスクユニオンと新星堂があって、そういったお店で試聴して気に入ったやつを買ったりもしていた。

高校2年になると、一級下の永井(Lampのメンバー)が、僕の所属するフォークソング同好会に入会してきた。
同じ学年の友人はみんなロック寄りで、ビートルズやサイモン&ガーファンクルのようなハーモニーに魅力がある音楽が好きな奴が居なかった。永井とはそういう共通項で話しをするようになったんだと思う。
高校の音楽室で永井がビートルズの「Hey Jude」を弾き語るのを初めて聴いたとき、「こいつはすごい」と思った。
練習方法も、コーラスのラインを一つ一つ指示していたりして、僕が同学年の友人とやっていた練習方法とは全く違っていて、衝撃を受けた。
そんなわけで、将来、音楽をやっていきたいと思っていた僕は、永井と知り合ってからというもの、なにかと自分の音楽活動に彼を誘ってきた。
高校3年になる頃、コピーバンドに飽き足らず、スタジオにメンバー募集の貼り紙をし、それをきっかけにオリジナルのバンドを組んだ。
半ば強引に永井をメンバーに入れ、そこでは彼にサイドギターを頼んだ。ヴォーカルは既に募集で決まっていたのだった。
メンバーは全部で5人、僕はそこで作曲とリードギターを担当した。
今、その頃の音源を聴くと、当たり前の話しだが、本当に酷い。
でも、そこで作曲やバンドアレンジをした経験は今にも繋がっていると思う。
そのバンドで、簡単なデモを作ったりライブ活動をしたりしていたが、一年も経った頃、やる気のなかった永井が「辞める」と言って来た。
「永井が辞めるなら続けても仕方ない」と思い、僕も一緒に辞め、そのバンドは解散となった。


次回へ続く



Lamp プロフィール

Lamp

染谷大陽、永井祐介、榊原香保里によって結成。永井と榊原の奏でる美しい切ないハーモニーと耳に残る心地よいメロディーが徐々に浸透し話題を呼ぶことに。定評あるメロディーセンスは、ボサノバなどが持つ柔らかいコード感や、ソウルやシティポップスの持つ洗練されたサウンドをベースにし、二人の甘い声と、独特な緊張感が絡み合い、思わず胸を締めつけられるような雰囲気を作り出している。 日本特有の湿度や匂いを感じさせるどこかせつない歌詞と、さまざまな良質な音楽的エッセンスを飲み込みつくられた楽曲は高い評価を得ている。これまでに5枚のアルバム(韓国盤を含む)をリリース。

  オフィシャルHP
  myspace

Live情報

Lamp ワンマンライブ "東京ユウトピア通信"
【日程】2011年5月6日(金)
【時間】18:30開場/19:30開演
【会場】渋谷duo music exchange
【チケット】前売3500円(ドリンク代別)/当日4000円(ドリンク代別)
【問合せ】渋谷duo music exchange
(TEL 03-5459-8716 / http://www.duomusicexchange.com

CM情報

佐々木希さん出演のサントリー“カクテルカロリ。”CMソング「ロマンティックあげるよ」(アニメ「ドラゴンボール」エンディング曲)をLamp の榊原香保里さんが歌っています。

Lamp染谷大陽 推薦盤
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『Live!』
(1975年)


幼少の頃から家でかかっていたボブ・マーリーのライブ盤。生演奏の熱さがそのまま収録されている。選曲も最高。クラビとエレキギターのえぐさがたまりません。
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『All N All』
(1977年)


アース・ウィンド&ファイアーの個人的最高傑作はこれ。ブラジル音楽に接近した77年のアルバム。完璧な演奏とサウンド・プロダクションは聴き応え十分。
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スマパンの2枚組超大作。高校時代に最も聴いたアルバム。静と動のスマパンをたっぷり堪能できます。オルタナティブ・ロックに収まらないどこまでも美しい最高傑作。


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筆者:染谷大陽(Guitar)