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『堀川中立売』 柴田剛監督×石井モタコ 対談! 【2】

2011年7月6日 (水)

interview
柴田剛監督×石井モタコ


『おそいひと』DVDリリース時にHMV ONLINEに登場して頂いた柴田剛監督最新作『堀川中立売』の関東上映は大盛況で公開終了し、今度は関西に上陸!試写会にご招待!その後は・・・本作の主演であり、オシリペンペンズのボーカルでもある石井モタコ氏との対談です。関西に拠点を置く彼らならではの独特の語り口調で繰り広げられたトークは緩急とても心地よく、すっかりよい塩梅(湯加減)で堪能させて頂きました。お2人の出会いから出演経緯、はたまた関西事情からつながって音楽を超えた人?のお話や本作の深部まで。実際に観てもらわなければ、または観てもらってもどういう映画なのかあまりにも説明しづらい、稀に見るいい意味での“悪い映画”。映画って本来、「何をやってもいいんだ」という思いが強く残り、体感した後に咀嚼するおもしろさや爽快感を存分に与えてくれる本作。あなたはこの作品、どう観ますか?モタコさんが立ち上げた【こんがりおんがく】レーベルから絶賛発売中のオシリペンペンズのミニアルバムも!今回のお写真はまた何故か・・・エレベーターにて!INTERVIEW and TEXT and PHOTO: 長澤玲美

ブリーフとか履かして、「大丈夫かいな」っていう部分もあるわけですよね。でも、それも込みでかっこよく撮るってすごいなあという。


--- 映画のお話で・・・モタコさんが着用の白いガウンと白いブリーフ姿、眩しかったです(笑)。

柴田 あ!ありがとうございます。

--- あの格好をモタコさんにさせたかったんですか?

柴田 えーっとね、これはまた別で元々あったんですよ。白いガウン着て街中走ってる奴らっていうイメージが(笑)。それってかっこいいじゃないですか。例えばね、リーガロイヤルホテルに泊まって風呂上りで「ちょっと晩酌のビールでも買いに行こうかな。あ、鍵置いてきちゃった!でも、もうファミマの前に来ちゃった。どうしよう」みたいな(笑)、何かそういうそわそわしてる感じ。旅先ですごい楽しい思い出があって、「よし」っていう最中の出来事なんでしょうね。そんな男がガウン着て街にいたら、たぶん引いて見ても街中の人もおもしろいと思うんですよ。そういう奴が走ってるのを見たら幸せだと思うんですよね。そういう世の中に対する願いから始まったんです。

モタコ それ、深いですね。いい話ですわ。

柴田 いい話でしょ!それでね、じゃあ、トランクスかブリーフかってなった場合にそれはやっぱり、パンツは普段人に見せるものじゃないじゃないですか。中にはノーパンの人だっているんだし。でも、「ノーパンじゃ何かなあ・・・」って思って、「何がその人の素を一番丸出しにするかな」って思ったら、お母さんにずーっとパンツ買ってもらってた童貞の奴がグンゼのパンツ、グンパンっていう(笑)のを思い付いて。すごいかっこいい奴だとしてもグンゼのパンツ履いてたみたいな。分かんないじゃないですか、その人の裏でもなければ内面でもない、剥き出しの一面性って。だったら、それはそれですごい素敵だなと思って。「絶対そいつは信じられる、おもしろいはずだ」って。何かこうね、うっかりしてる人ってすごいかっこいいと思うんですよ。てらいがないし、裏がない。もう直進じゃないですか。だから、「お前がそこにいる限り、俺もそこに行くよ」みたいな説得力があるし、「そのかっこよさは映画で出来る」って思ったんですけど、そういう奴がやっぱり一人じゃないんですよね。相方のような、相方ではないような、なのに共鳴し合ってる奴らがいるっていう、それが幸せだし、素敵なことだなって思って。まあね、みんながそうなっちゃえば東京が一大イビザ島みたいになるから(笑)・・・まあ、行ったことないですけどね、イビザ島に。でもイメージというかそういう思いがあって。でも、「これは絶対、映画の中ではキラーになる」って思いましたね。普段は衣装のこととかあんまり言わないし、無頓着なんですけど、今回は言いましたね。これは本当にやってよかったですよ、京都にもぴったり合ったし。

※イビザ島 地中海のバレアレス諸島に属するスペイン領の島。戦後、この島がヨーロッパのヒッピー文化の中心となった。やがて、1980年代終わりにこの島で息づいていたバレアリックと呼ばれる独特の自由なダンス音楽スタイルとそのクラブシーンの享楽的な雰囲気を当時英国で盛り上がっていたセカンド・サマー・オブ・ラブ世代のDJ達とプロモーターが発見したことにより、イビサ島は英国の若者たちのパーティー・アイランドとして爆発的な発展を遂げる。1990年代を通して、ヨーロッパのクラブ文化、ダンス音楽の中心部として君臨し、最新の音楽流行を求めて世界中からクラバーたちが押し寄せる若者文化の中心地となる。

モタコ (笑)。そう言われたら確かに「ガウン、何やねん」っていう感じはありますよね(笑)。「何でガウンなんやろう」っていう。そんなことを考えてたんですね。

柴田 でも、僕は観てる側だから。モタコはこれをマントとして着こなすというかね。それはもう、モタコのライブのアクトと相まって絶妙だった。「それだ!」って。はためいてるんですよ、もうばっちり。「さすが」って思いましたよ。

--- ガウン姿で飛び跳ねたり、動いてるあのシーンの連続にモタコさんのトレードマーク、長髪で黒髪のコントラストが絶妙でしたし(笑)。

モタコ 最初に撮ったんが、あのパンツ一丁のガウン姿で桜の中を飛び跳ねるシーンだったんですよ。

柴田 「夜桜をバックに2人が登場する」っていうところが撮影初日だったんですよ。桜が咲いてる春でも、まだ寒かったんですよね。で、それと対照的なのがホームレス役の山本剛史で、彼は本当に風呂上りで寝る直前みたいな着こなし方するんですよ。それはさすがに「ちょっと文句言おうかな」って思ったんですけど、「それで押し通す」っていう体で僕に何にもしゃべらせないオーラを放ってたんで、「じゃあ、勝手にしろ」って思いながら、カメラを回して。今考えるといいですね、ガウン2人は。

--- ガウンに加え、男の人のブリーフ姿をあんなにたくさん見たのはアホアホマン以来です(笑)。

モタコ ブリーフ・・・アホアホマンは確かにイメージしますよね。

※アホアホマン お笑い番組「ダウンタウンのごっつええ感じ」内で放送されていたコント。

柴田  でも、アホアホマンはブリーフ黄ばんでるじゃん!

モタコ 俺もちょっと黄ばんでた(笑)。

柴田 それはリアルな話?

モタコ うん、正直な話(笑)。だって、ブリーフ履きます?白いブリーフはちょっとマズイですよ(笑)、やっぱり。一日中ああやって動き回ってるし。

柴田 でも、今なら履きたいなあ。かっこいいなあ。ブリーフ履いて、堂々と女の前にいたいな。そうやれる大人になってる自分が好き。「ちょっと、ブリーフ一緒に買いに行かねえか?」って(笑)、イトーヨーカドーとかで。

モタコ でも俺、大変やったんですよ。ブリーフ、衣装さんに返すんが。「どうすんねん、これ」って。

柴田 それ、あとから聞いた。

モタコ 「この・・・ちょっと付いちゃってますよ」って(笑)。別にそんなにたいそう付いてるわけじゃなくて、ちょっとすーっとこう・・・(笑)。あるでしょ?そういう変な話じゃないのに。

柴田 屁した時とかね(笑)。それはしょうがないよ、自然現象だもん。

モタコ だから、ガウンは丸めてわーって返して、パンツは自分の鞄の中に入れといて、「あれ?なくなっちゃったのかな」みたいな。「モタコさん、よかったら返して下さいね」って言われて、「はい」って言いながらも・・・。

柴田 それはごめん・・・配慮が足りなかった。

モタコ 履いてないパンツだけ返したりして(笑)。

--- ガウンとブリーフのお話はぜひ伺いたいと思っていたのでうれしかったです。

モタコ 俺もよかったですよ、こんなエピソードを聞けるとはね。


堀川中立売


--- 本作はニートでヒモ、ホームレスという、いわゆる社会の弱者が裏で起こっている大きな悪に対して立ち向かっていく、救っていくヒーローという設定ですが、彼らに対しての思いなどはありますか?現代社会の疑問などでもいいんですが。

柴田 ヒモとホームレスに対しては客観的になれないですね。僕は以前、三ノ輪に住んでて、裏が南千住なんですけど、早朝に行くとそこに住んでる労働者達が仕事行く前に一杯ひっかけて食べる立ち食い寿司屋があって。結構安い値段でおいしく食べられるんですけど、そこは大阪で言うところの西成、地名じゃない呼称でドヤ街、釜ヶ崎とも言いますよね。あとは新宿駅とかでも最近は労働者って少なくなってると思うんですけど、ものすっごい臭い匂いさせてぐわーって寝てて、起きてんのか寝てんのか分からないような人達。でも、反対側では広く世界を見渡してるんですよね、きっと。もう本当に「そこにある」みたいな、完全に空間を制覇してる感じがあって、そういうところの横を通ったりする度に毎回、子供の頃からすでに拾ってるんですよね。ばあちゃんに浅草連れてってもらった時は傷痍軍人がいっぱいいて、片腕マシンガンじゃないですけど、マジックハンドみたいな、人形浄瑠璃みたいな人を見てて。でも、彼らはそこにいるんですもんね。で、今になればなるほど特に現代社会の機構というか、「なぜ、こうなったのか」とかそういうことの前後関係は普通には書いてないじゃないですか?それでも自分の生き方とか生活するってことが一番重要で、どんどんどんどん心の中に蓄積されていたその「違う」と思ってるその人達と自分は果たしてどれだけ違うのかっていう。ニートもオタクもそうでしょうね。そういう呼称としては理解してます。ただ、その呼称に僕は回収されないようにしてます。だから、その時それがその人にとって一番いい生き方だったらそれはそれでいいんです。だから、そういうのがずっとあるし、「映画を撮ることでその人達の目線を獲得したいなあ」という。不可能なのは分かってるんですけど、不可能を分かってやりたいですね。それで「見てみたい」っていうこっちの願いと映画を作ってる努力が結実して、その人達の目線がものすごい広い世界を見てたら、「おおおおー」ってうれしくなっちゃいますね。

※ドヤ街 日雇い労働者が多く住む街のこと。東京の山谷や大阪のあいりん地区や横浜の寿町が特に有名。

--- モタコさんはいかがですか?

モタコ ヒモとホームレスっすよね。ずっと考えてたんですけど、あんまり何にも思い浮かばない。でも、ホームレスと普通にしゃべったりしますよ。御堂筋歩いてたりしたら、「かいー」って言ったりしてるんで、「そうかあ」とか言って(笑)。

柴田 でも、僕の勝手なイメージだけど、モタコってホームレスとかとちゃんとしゃべってそうだもんね。

モタコ だって、声かけてくるし。街とかおったら、「何してんねや?」とか。

柴田 あんまりかけられたことないんだよな(笑)。でも、モタコは声かけられそう。

モタコ いや、そんなことないでしょ!剛さんやったら、警察に声かけられるでしょ!どっちかって言ったら。

柴田 うん(笑)。警察に声かけられるけど、警察は嫌いだもん。

モタコ ヒモはね、自分の周りにそういう奴がいっぱいおるからそいつの感じで。でも、ヒモってちょっとすごいですよね?俺、ヒモ論とかホームレス論とか全くないっすけど(笑)、でも普通、真剣にヒモとかホームレスのこととか考えないと思うんですよね。ホンマにそれに対して真剣にってあるんすかね?ニートは問題になるけど、ヒモって別に問題にはならないし、ニートとヒモってちゃいますよね?今回はどっちかっていうとヒモっすよね。

柴田 ヒモだね。まあ、ニートでヒモなんだけど。

モタコ でも、別にそれは感覚で普通に分かりますよ。サラリーマンの役よりかは絶対出来ると思ったし。

--- あの役になるために、他に考えながら演じた部分はありましたか?

モタコ 剛さんを意識したって思ってるんですけど、どうなんすかねえ・・・(笑)。まあ、ホンマに剛さんの映画で剛さんが書いた脚本で剛さんの頭の中のキャラクターみたいなイメージがあったし、しかも主人公で、何となく剛さんをイメージして俺は立ってたと思います。本人は否定するでしょうけど。

柴田 うん、それは驚いちゃう(笑)。でも、撮影中にこれは全然しらばっくれてないんですけど、本当に「あれ、俺かも・・・」っていう(笑)、それは認めたくないですけど。でも、これを認めてしまうとよくないですよね。だから、そこは断固として言っておきたい。「映画と現実は似て非なるものなんだ」と。ただ、「危険を孕むな」とは思ってましたよ。地続きになるととたんにミイラ獲りがミイラになってしまうんで。その微妙な按配をドキドキしながら乗りこなしていくっていう。僕のマゾ心をくすぐるんですね(笑)。でも、全て映画のためなんです。「映画がおもしろく光るだろう」っていう。さっきもお話しましたけど、モタコに映画の神のユタ、媒介としてエネルギーをどーんと画面にぶつけてもらう。それをカメラの向こうに立たせてやってもらうんだから、僕もそれでいかないといけないっていう・・・何て言うか、自分の中での映画を作る時のモラルなんですね。モタコから見るこの映画の(榎)信介という像と信介の見る世界と僕から見るモタコ演じる信介の像とその信介が見てる信介が囲まれてる世界っていうのは、きっと同じ山を差してるんですよね。黒富士、赤富士みたいな感じで、山梨県側から見るか、静岡側から見るか、みたいな。だって、全然違う山を見てたらもう映画終わってますからね。無理です、これは(笑)。頭痛くなっちゃいますよね。でも、1個の同じ山を見れたんでほっとしてます。お客さんがあとは、どこの角度からこの山を見るのかなっていうのはありますね。

モタコ みんなちゃいますよね。でも、それっておもしろいっすよね。

--- モタコさんはご自身も出演している本作をご覧になっていかがでしたか?

モタコ まだ2回しか観てないんですけど、本当に「俺のことかっこよく撮ってくれてるなあ」っていう印象がありますね。もう今、自分のこと気になってしょうがないから。自分観てたら、えっらい男前に撮ってるから「すごい監督やなあ」と。それでいいっすか?(笑)。

柴田 ものすげえブサイクに撮るのも結構スキルがいると思うんですよね。

モタコ そうっすね(笑)。たぶんホンマ、それやったら映画の応援出来ないっすよ(笑)。

柴田 そうだよね(笑)。すっごいブサイク過ぎて、ずっこけちゃうっていう。

モタコ でも、ブリーフとか履かして俺はもう、「大丈夫かいな」っていう部分もあるわけですよね。でも、それも込みでかっこよく撮るってすごいなあという。現場では俺は「何てこったい」っていう感じやったけど、出来上がったの観て、やっぱりちょっとぐっときちゃいましたね。

柴田 今回、コメディーを目指してキャラクター作ってて、それを目指して作ってるのにクランクアップ後、「わだかまりが残った」って言ったら何かもう、何のために笑かせようとしてるか分からない、本末転倒でしょ?(笑)。そういうのが一番嫌なんで。でも、そういう現場あるらしいですよね。ギャグ映画なのに殺伐とした空気で進むっていうね。で、「殺伐とした空気の方がいい映画になる」とかって勝手に信じちゃってる映画製作者とかもう、鼻クソほじっちゃいます、そういうの。それが一番ギャグですからね(笑)。

モタコ そっちの方がおもろいね。

柴田 しかも、参加しないで遠くから見て、鼻クソほじってんのが一番おもしろい。

モタコ カットの瞬間、急に(がくっと肩を落とし、目が虚ろなジェスチャーをしながら)・・・こんなん嫌や!

柴田 すたすた帰っちゃうとかね・・・嫌だね。

モタコ まあ、そういう現場も逆におもしろそうですけど。

--- ご自身のところから離れて、映画としてはいかがでしたか?

モタコ あ、そうなんですよ!それをみんな聞きたがってたんやなっていうのが俺、さっきから言えてなかったところなんですけど、おもしろかったですよ。まだやっぱり客観的に観れてないんですけど、すごいおもしろかったですね。この映画を人に薦めたがってる自分がおるから、これはもう本当にみんなに観て欲しい、人に薦めたい映画ですね。

--- ちなみにどういったところがおもしろいと?

モタコ やっぱ、「こんな映画あんまない」と思ってて、でも、俺の好きな感じがあるんすけど、そういうのってホンマに今やってる人っていなくて、「剛さんみたいんがおんねんな」っていうのは単純に思いましたね。でも最初から、「そうなるであろうな」っていう気もしたし・・・全部おもしろかったですね。

--- こういう感覚で映画を撮る監督って、確かに今、あんまりいないような感じがわたしにもありますね。

柴田 うん。僕が映画に欲してるものが本当にまさに、今2人が言ってるようなそういう感覚で、そういう感覚ってどういう感覚かって言ったら、ちょっと代名詞使っちゃうと分からないから・・・の感覚。僕が好きな映画ってそういうのが多いんですよ。だから、「映画はこういうことをやるのが当たり前だ」っていう風に続けて来てるけれども、いわゆる商業映画って言われる映画が十把一絡げという型があるんですね。型があってお決まりがあって楽しむ。それはそれで僕もお客さんとしておもしろいけど、「もっと出来るだろ」って思っちゃうんですよ。僕も自分でやらないと気が済まないし、「もっとするでしょ?」ってなってるんです。こういう今があって、毎回それは自分の今まで作って来たものを振り返ってるんですけど、「普通な映画撮ったことあるか?」って言われたら、ないんです(笑)。「あ!」って思って(笑)。だから、今度は「普通な映画を撮らないと説得力がないな」と。だから次は、普通な映画を撮るでしょう。それを撮ることによって、今回の新作もそうですけど、今までやってるものがより正当な価値として光っていくでしょう。そこは知ってます。で、今は今のこのタイミングっていうこと全てをうぉーって形にしたので、ものすごい手ごたえを感じてるんです。前に長澤さんには言葉がちょっと上手く選べなかったから、「カオス」って言っちゃったんですけど、「カオスってお前・・・」ってなるじゃないですか?(笑)。でも、勇気を持って「カオス」って言う。あとは「この映画はカオスです」って言っちゃうとお客さんが感じてくれなくなっちゃうから、カオスのところだけ、ピヨピヨピヨって音が鳴ったらいいのになあ(笑)。

--- インタビュー記事から(笑)。

柴田 うん(笑)。音が鳴ったらそれに近いと思いますね。「カオス」って書いてあるんだけど、WEBで読んでる時にピヨピヨピヨって鳴るっていう。そんな未来に発展してたらすごいですね。でも、それって相当すごいじゃないですか?インタラクティブ過ぎる。目線までバレてる世の中(笑)。だから、今あるものとかルールとかシステムとか全てのもので語ろうとするから難しいんですね。たぶん、もうちょっと10年くらい経ったら分かるでしょう。それは何でもそうですよね。「未だに分かんねえ」っていう映画、そうあるかっていうと、そうないですからね。

モタコ 俺、普通に結構、直におもしろかったですよ。10年後ももちろんおもしろいでしょうけど。

柴田 この映画にはいろいろ仕掛けをしようと思ったんですよ。今はもうパソコンって当たり前ですよね?なのに、パソコンの初期の触れたての頃でもうみんなすでに知ってるけど、本人だけこそ合っててみたいな・・・普段強気な奴が急にそこだけ謙虚になってたりっていう。それが映画の中でギャグとして捉えてるとすごいさぶいわけですよね。その「さぶさ」っていうのを表現したかったんです。その質感は「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の加藤茶志村けんのあの2人の笑いなんですよね。関西域ってやっぱり、お笑いっておもしろいんですけど、でも、そこじゃないんですよね、しむけんと加トちゃんの笑いは。「だってあれ、笑えるか?」っていう(笑)。でも何か残ってしまう・・・それは「残っちゃってる自分がおもしろいのか?」とか。でも、残るってことはインパクトとオーラがあるんでしょうね。その「何か」って思ってます。加藤茶志村けんのあの感覚は小っちゃい頃、影響受けました。で、そこは今後も目指していきたいところですね。なので、今回はそれを映画に盛り込もうと思って。これは誰も言ってくれないんで自分で言うようにしてるんですけど(笑)、そのパソコンネタの「リターンを押すと・・・」とかは(脚本)書きながら、ぞわーってしつつ、「さぶー」言いながらもマゾ的に楽しみながら(笑)、「さぶいぼ出たってことは正解だ!」って。今回の『堀川中立売』という映画のプロジェクトは器がすごく大きかったんで、そういう自分の中の肝だめし、運だめしを本当に盛り込めた感じがありますね。

※加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ 司会はザ・ドリフターズ加藤茶志村けん。2人の絶妙なコント、掛け合いを押し出したロケーション中心によるギャグ要素のコメディドラマ、ホームビデオ紹介コーナーやプレゼントコーナーという構成。「8時だヨ!全員集合」の存在があまりにも大きすぎたため過小評価される傾向もあるが、練りに練って作られたコントなどその評価は今なお高い。

--- それは懐が広いプロデューサー、志摩さんの存在が大きいですよね?

柴田 そうですね。そこにも僕は影響を受けてますね。例えばね、「システム手帳が・・・」って言って、出てくるのはただのノートなんですけど・・・。

※シマフィルム 京都・舞鶴での建設機械業社・志摩機械の代表である志摩敏樹氏が映画好きが高じて、映画への出資から始まり、製作、配給、そして、映画館の運営までを全て京都をベースに行っている。

モタコ (笑)。

柴田 それがぱんぱんになってるんです。『おそいひと』が出来た時に最初は全然タイトルが思い付かなかったんで、「柴田くん、そろそろタイトルを決めなあかんなあ。ちょっと待ってな・・・」ってそのノートを開いて、「じゃあ、『茹で蛙』で」って言われて(笑)。

--- 『茹で蛙』・・・(笑)。

柴田 すごいでしょ?(笑)。どっから『茹で蛙』ってなってるのか全く分からない。で、まだあるんです。今度は10年前の朝日新聞か何かの切り抜きをカラーコピーした紙でインクとかも滲んじゃってるんですけど、「新しい超新星の星雲発見!」みたいな内容でそれを見ながら、「『宇宙の蟹』はどうや」って言い出して。

モタコ 『宇宙の蟹』、めっちゃいいじゃないですか(笑)。

柴田 「主人公が宇宙を漂う節足動物のようななあ。こう言ったら住田(雅清)さんに失礼だけどのう」って。すごい角度でもう分かんない(笑)。

住田雅清 『おそいひと』で堂々主演を務め、本作でも連続出演を果たす。

モタコ すごいっすねえ。飛び抜けましたね、右中間抜けましたよ(笑)。

柴田 だから、今回の『堀川中立売』もそれをされかねないって思ったんですよ。で、今回もひどくて、『御所原人』ってタイトルが付きそうになっちゃって(笑)。京都御所は堀川中立売の交差点が近いんです。で、僕の友人の話だと、「京都御所にどうやらいろんな種類のきのこが豊富に生えてる」と(笑)。で、「それを毎回写真撮って、ブログにアップしてる人がいる」と。「え!?京都御所って盗撮したらマズイんじゃないの?」「いや、でもアップしてるんだよ」っていうようなその話を志摩さんにしたら、「おおー、じゃあ、それを食べて自生している太古からの原人がこの街中の御所に・・・ってこの話はどうや?」って。そんなの話になってなくて設定じゃないですか。それがどう転んでいくかっていうそういうところから事始めがあり、僕は僕でやりたいイメージがあり、本当に頭がおかしくなりつつもそれも認めつつ、でも、「うちのプロデューサーは変なんですけど、すいません・・・」とかって言えないじゃないですか。だから、言わなくても「モタコだったら空気で分かってくれるだろう、それをおもしろいと思ってくれるだろう」的な部分もありつつ。でも実際、プロデューサーの影響はあるんですよね。志摩さんはどうしてもね、監督、演出をしたいんですよね。一緒になって物語を作っていきたい人なんです。そういうプロデューサーは「映画愛がある」っていうところではものすごい信頼してますね。で、今、日本中のプロデューサーでもみんな、「ちゃんとやるぞ」っていうのはあると思うんですけど、志摩さんまでプロデューサーなのか監督なのか何だかよく分からないって人は珍しいですね。もちろん、最初はびっくりするんですよ。「こんなん出来るわけないやないか」って。「でもそれ、半分は志摩さんが言ってたじゃないですか」「あれ!?」みたいな(笑)、そういうやり取りをしていて作って行きましたね。で、特に監督とプロデューサーが戦ってとっちらかっちゃって、誰も幸せにならない悲惨な映画ってあると思うんですけど、そういうのは全然ないんですよね。だから、まあ、楽しい・・・ブレインストーミングですね。肯定して肯定して肯定して、この根っこからどこに行っちゃったか分からないんだけどそれがおもしろければいいし、今回は特にそこをより昔から知ってるプロデューサーだったんで、意識してセッションした志摩さんとの形が出来たんじゃないかなって思ってます。志摩さんが他の監督と組む時はどうか分かんないですけど。もちろん、僕が監督として、他のプロデューサーとも組みたいって思ってますけどね。

それともう1つ、この前、山本政志さんの新作(『スリー★ポイント』→脚本・監督・制作:山本政志、京都篇制作:柴田剛 協力:堀川中立売・林海象、京都HIPHOP界の次世代スター大挙出演、沖縄篇制作:山本和生、東京篇制作:井土紀州 協力:映画一揆、主演:村上淳蒼井そら、その他シークレットゲスト)の実質、ラインプロデューサーをしたんです。この映画は3部構成で「京都篇」、「東京篇」、「沖縄篇」ってあるんですけど、僕がその「京都篇」を担当して。「プロデューサーとは何ぞや?」っていうのと、演出とはまた違う立ち位置で。大好きな山本さんの映画であの立場からやれたのはすごいおもしろかったし、そうやって映画に関わって作ることも出来るんだと。イメージしたことが実際になり始めるとやっぱり楽しいですよね。

--- いつ頃、公開になるんですか?

柴田 山本さんから連絡入って、ひとまず画はつながってるそうなので、あとはもっとマッシュアップしていくんでしょうし・・・来年には観れるのかな?

--- 『聴かれた女』以来の新作ですよね?あれから結構経ってますし・・・すごく楽しみです。

柴田 3年くらい経ってますよね。でも、本当にあんな年の・・・って言ったら失礼か(笑)、でも、ものすごいエネルギーある人っていうのは影響受けるし、元気をもらうというか。あとはやっぱり、日本の映画界の中で撮り続けていて欲しい監督なんですよね。先をがーっと動いていって欲しいというか。そうすると後ろで好き勝手やれるじゃないですか(笑)。最近、そういう、「いいな」って思う監督が上にいないなって思ってたんですけど、実はすごい近いところにいましたね。僕もそういう人間になりたいですね。

--- 新作もどんどん撮り続けつつ・・・。

柴田 もちろん。だって、音楽もそうでしょ?モタコ、前言ってたじゃん。「俺、音楽やってんのか、Tシャツ売ってんのか分かんない」って(笑)。

モタコ ありますよ、そんなん普通に(笑)。だって俺、普通に事務的なことしてること多いですもん。ブッキングして、お金の交渉して、その場まで行くのはどういう風に行くか考えたりとかして。結構しっかりしいですよ、俺。

柴田 そうだ、【こんがりおんがく】レーベルね!

--- neco眠るの森雄大さんとDODDODO(どっどど)さんとモタコさんが「自分たちのことを自分たちでやる」という当たり前のことをやるために設立したレーベル(第一歩)なんですよね?

モタコ そうですね。でも、「自分たちのことを自分たちでやる」って、当然っすよね。(頂いたチラシを差して)このチラシとかも自分でデザインしたんですよ、紙一枚ですけど。

柴田 プロデューサーだね。でも、音楽の人達は当たり前のことなんだよね?

モタコ 結構、普通に。でも、こういうのデザインするのも楽しいんでやっちゃえるというか。

柴田 でも、ここまではそりゃあ、出来るじゃない?モタコも。そこから先の転がし方っていうと、レコード屋とか野外フェスだとかになってくるとさ、自分じゃ出来ないじゃない。

モタコ じゃあ、見とって下さい!

柴田 マジかよ!?

モタコ 長澤さんもプッシュしてくれるんでしょ?(笑)。

--- わたしで役不足じゃないですか?(笑)。ぜひ、出来る範囲でさせて頂きます。

モタコ フジロック?

柴田 いや、オシリペンペンズがフジロック出るんだったらフジロック行きたいよ。○千人の中で観てて、マイクにごーんとかやってるんでしょ?「すげえー!ううぉー!」ってなるよ。

モタコ そういう時こそ、弁当におしっこかけて食いますよ。それこそ、ゴンゾさんから受け継いだものを(笑)。

柴田 ゴンゾイズム!まさにゴンゾですね。

--- 生でそのパフォーマンス、観たいです(笑)。

モタコ 結構ありますよ(笑)。昨日も俺、おしっこ飲んだし(笑)。で、客に渡したら客も飲んで。

柴田 すごいなあ。愛の交感だなあ(笑)。


堀川中立売


--- <特集・シマフィルムの軌跡>と題されて、ポレポレ東中野で11月13日(土)から19日(金)まで特集上映が始まりますよね?モタコさん主演の宮本杜朗監督の『尻舟』、柴田さんの『NN-891102』『おそいひと』相米慎二監督の『風花』若松孝二監督の『17歳の風景 少年は何を見たのか』森崎東監督の『ニワトリはハダシだ』小林聖太郎監督の『かぞくのひけつ』と・・・わたしも通うつもりでいます(笑)。

柴田 うれしいですね。でも、これは結構すごいですよね。ポレポレ東中野さんはシマフィルムのラインナップを贔屓にしてくれてるんですよ。この特集上映が決まった時、ちょうど京都で志摩さんといたんですけど、「ポレポレから連絡あってのう。ワシが志摩機械株式会社っていうのがあるから、アー写を土建屋風に映して欲しいって連絡があってのう」って・・・。

モタコ 志摩さん、アー写撮りたかったんすね(笑)。

柴田 うん(笑)。「オレンジヘルメット被って、ニッカポッカでつるはし持って、堀川中立売に立ちますか?撮りますよ」って言ったんだけど、直前になって「いいわ、やっぱ」って言われて(笑)。(実際にそのチラシを見ながら)この特集上映のチラシもね、ショベルカーになってて(笑)。

※つるはし 先端を尖らせて左右に長く張り出した頭部をハンドル部分に直角に連結した道具であり、主に固い地面やアスファルトを砕くために使われる。

モタコ ああ、ホンマや(笑)。これ、めっちゃかっこいいじゃないですか。

柴田 インダストリアル系っていうかね。

モタコ 実は志摩さんのイメージっていうわけですね。ちょっと見たらホンマ、インダストリアルなかっこいい感じですね。当日、パワーショベルカーで登場するんですか?

柴田 そしたらかっこいいのにね(笑)。それこそ、ハナタラシみたいでさ。

モタコ キュルキュルキュルって(笑)。

柴田 ドドドドドドドドって(笑)。

--- 『尻舟』は、関東ではアップリンクさんで1週間くらいしか上映されてなかったんですよね?

モタコ そうです、そうです。しかも、1日1回上映かなんかで。剛さん、覚えてるんですか?

柴田 覚えてるよ。「トークゲストに呼んでよ」って監督の宮本(杜朗)くんに言ったんですけど、初日に行ったらがらがらで落ち込んじゃって。でも、僕の身内は5人くらい呼んだんですけど(笑)。「ああ、余計なこと言っちゃったな・・・」って思いながら、「もうこれは飲むしかない!」ってなって。だから、宮本くんも舞台上で僕のそのテンションに付き合ってくれるかと思ったらさーっと引いてて(笑)。

モタコ 「ごっつい酔っ払ってた」って言うてましたよ(笑)。

柴田 そう。宮本くんは知り合いだったから、知ってると思って飲んでたんだけど、全然で(笑)。だから、もう知り合いながらも酔っ払いながら褒め合おうと思って。でもね、僕、本当に宮本くんの映画は大好きなんですよ。なので、ちょっとでも協力したいって思ったんですけど、どうやらアップリンクの初日は空回りしましたね(笑)。

モタコ 空回りやったんですね。それは知らなかったっすね(笑)。

柴田 『尻舟』はおもしろいし、よく出来てますよ。宮本くんの皮膚感覚がいいんですよね。彼は大正区とか大国町とか北加賀屋とか、それこそ難波ベアーズとかあそこらへん界隈の奴とか、彼の生活してる、仕事してる圏内で撮ってて、そこにはモタコもいるし、DODDODOもいるし、和田シンジ(巨人ゆえにデカイDMBQ)もいるし、音楽が映画になってる感じがして。僕もそういう映画は好きだし、目指してるところで。それを手のひらサイズでやれてるっていうのが観てて気持ちいいですね。しかも、タイトルが『尻舟』だし(笑)。

--- その特集上映の次の日からいよいよ、ポレポレ東中野と吉祥寺バウスシアターで『堀川中立売』が公開という流れになりますが、お2人の今後の動きもお聞かせ下さい。

モタコ 俺は、【こんがりおんがく】レーベルを始めて、そこから12月15日にミニアルバム「NEW ME(にゅう みぃ)」を自分らで出します。今後の予定は・・・まあ、それを出すってことです(笑)。あとは、「映画の誘い、待ってます」って感じですね。

※「TRASH-UP!! vol.7」&「TV Bros.関東版: 2010年10月30日号」にて、奇跡のレーベル始動!【こんがりおんがく】についてのいろいろが!

--- 漫画も描かれてますよね?

モタコ 漫画も描いてます。漫画も好きやし、映画も好きやし、聞かれたら「何でも好きです」って言いますね(笑)。でも、映画はまたあればうれしいです。

※またまた!「TRASH-UP!! vol.6」にて、関西ミュージシャン漫画会議!「美味しんぼ」について語りつくす!和田シンジ氏×増子真二氏×DODDODO氏×モタコ氏の座談会掲載!他、モタコ氏によるCOMICなども!

--- 本作を観た方がモタコさんにオファーするって、結構ある気がしますけどね(笑)。

モタコ マジですか?(笑)。

柴田 僕もそう思う。

モタコ まあ、待ってますんで。悪の大ボスとかね。『堀川中立売』だったら、加藤 the catwalk ドーマン セーマンとかやりたかったですもん。

柴田 マジで?あ、そう!

モタコ かっこいいじゃないですか。


堀川中立売


--- オフィシャルHPには「関西アンダーグラウンド界が保持する最終兵器」って書かれてましたよね?

柴田 そうなんですよ。VP-MONCHIって言うんですけど、コンタクトジャグリングっていう水晶玉回しで、彼の得意技というか、それを生業にしてた人なんで、劇中でもそのままやってもらって。

※VP-MONCHI VISIONARY PERFORMER;VP-MONCHIとして活躍中!

モタコ キャラ設定とか何にも言ってないでしょ?

柴田 そう、何にも言ってない。

モタコ それやのにもうすっごい完璧やったんですよ。

柴田 僕はヅラと特殊メイクだけ指示して、あとは全部彼がね。

モタコ 「おかしおますなあ」とかって(笑)。「何でこんなすごいんやろ」って。

柴田 しゃべり方とかも、気付いたらああなってたんです。VP-MONCHIくんにオファーをかけたら、すでに加藤 the catwalk ドーマン セーマンになってましたね。あれはすごかったなあ。僕にとっては昔からの当たり前の存在だったんですけど、すぐ横にいた最終兵器でしたね。

モタコ 結構ね、現場の空気も作ってくれてた感じやから。

柴田 ハードコア優等生ですね。

--- ハードコア優等生?(笑)。

柴田 ハードコア生徒会長。

モタコ それは分かんないっす(笑)。

柴田 「曲がったこと、ダメ。さもなくば殺す!」みたいな感じの(笑)、ハードコア生徒会長。

モタコ ああ、そう言われるとそんな感じですね(笑)。

柴田 文化祭、VP-MONCHIのカラー一色にって言う(笑)。すげえ怖い・・・ジャイアンだ!(笑)。すぐ横にいるジャイアンですね。

モタコ そうっすね(笑)。そんなん・・・だって、全く演技指導されてないんですよ?全くしてないのに普通、あんなん出来ないでしょ?(笑)。

柴田 カットかけた時、カメラマンと顔見合わせて、「あれ!?」って。「加藤 the catwalk ドーマン セーマンでおわす」っていうセリフだけなのにえっらいスローリーにしゃべるから、「やべえ、ここで尺取られちゃったらあとのシーンが・・・」って一瞬考えかけちゃうんです。

モタコ (モノマネしながら)「加藤 the catwalk ドーマン セーマンでおーわーすー」って(笑)。

柴田 やっぱりね、そういう映画の神が降りて来ますね。

--- ぜひ、特殊メイクを取ったお顔も見てみたいです。

柴田 神社で音楽かけながらコンタクトジャグリングしてたりするDVDが売ってるんですけど、結構すごいですよ。

モタコ 確か、You-tubeとかでも上がってますね。

--- 観てみます(笑)。柴田さんの今後は先ほどお話にあった山本政志監督の最新作に参加されているということと?

柴田 あと1個あったんですけど、その企画は流れちゃって。映画って本当にそうなんですよね。企画までは動くんだけどなくなるってことも結構ある。でも、新しい映画として「今、何を撮りたいの?」って言われたら、6年前から準備してるのがあるんでそれですかね。あとは、ひとまず来年、再来年はちょっと日本から離れたところに住んで、そこから日本を見てみたいですね。もともと京都に移動したのも東京にいたんで京都っていう離れたところから見てみたいっていうことだった。自分の生活環境を変えていくことで何かいい刺激、いい影響をもらって映画を作っていきたいし、僕にはそれが向いてますね。でも、そういうことをしようと思うと結構大変ですけど、よく考えたらずっとそういうことだけしてるし、むしろそれは自分の得意分野なのでこれは続けていきつつ、2年に1本とかじゃなくて、1年に3本くらい映画を作りたいなっていうのを常に置きながら。やっぱり映画の現場は好きだし、それがリズミカルにあるってことは特に生きて行く上で今後の自分のテーマですね。そういうチャンスを窺いつつ、決めてたことは前向きに貫徹行為をするという。またそこのライン上でモタコが主演で現れるやもしれない。

モタコ 頼みますわ、ホンマに。『堀川中立売2』ね(笑)。

柴田 『堀川中立売2』話?(笑)。本当はね、個人的に僕がお客さんだったら、この映画の信介とツトムとか、信介とサエの関係をもっと観てたかったんですよ。あいつらのあの後とかその前でもいいんですけど、欲張ってもっともっと盛り込んで行きたかったんですけど、結局は削っちゃった。今回はそういう映画ではなくて、何かもわーってしたところだったので。『堀川中立売』がどかーんとヒットしたりしたら、これを「連作シリーズで」とかってなるかもしれないですけど・・・どうだろうな(笑)。「京都連続/kyoto series」の第1弾なんで、シリーズって言ったらシリーズなんですけどね。その第2弾の『天使突抜(つきぬけ)六丁目』は山田雅史(まさふみ)って監督なんですけど、彼ともすごい仲良くて。この前の(第7回)京都映画祭で観たんですけど、よかったですよ。

※「京都連続/kyoto series」 シマフィルムが京都を舞台に制作する映画作品群のこと。

※『天使突抜六丁目』 2010年夏完成、公開未定。

--- 瀬戸夏実ちゃんも出てるみたいですね?

柴田 出てますね、瀬戸夏実さん。で、スタッフ達もうちらの作品と被ってるんです。あと、5.1CHの立体音響なんで、近くで冷蔵庫の音とかが聞こえてきたりして。

瀬戸夏実 最新作『乱暴と待機』も絶賛公開中!敬愛する冨永昌敬監督の『シャーリーの好色人生と転落人生』で大胆にキュートに出演!『パンドラの匣』にも!今後、活躍の場を広げること必至?!

モタコ めっちゃ観たいですね。

柴田 「京都連続/kyoto series」としてプロデューサーが掲げてるものがちゃんと順繰りに、随時撮っていくそうなんで、またこういう映画をこのメンツで撮れたらなっていうのは願ってるんですけどね。まずはお客さんがものすごい味方になってくれないと。だって僕、やったんだし・・・「シクヨロ」っていう(笑)。

--- 先日の試写会場で上映後、柴田さんが少しトークされた時に「僕はこの映画で腹を見せたので、お客さんも見せて下さい」っておっしゃってましたもんね?(笑)。「賛否両論何でもいいからちゃんと声を聞かせて下さい」と。

柴田 そんな監督・・・自分で泣きそうになるな(笑)。

モタコ かっこよく言ってたんですか?

--- ええ、とても謙虚に真摯に(笑)。

モタコ 俺が行った試写でも、剛さん言ってましたね。「何でも言って下さい」って。その時はそんなん言ったんですね。

柴田 まあね、35歳なんでちゃんと並なこと言わないとね。本心と見照らして言わなさ過ぎず、言い過ぎずで(笑)。正直になるのが大事なんです。

--- 『おそいひと』のように『堀川中立売』も長くいろいろな場所で上映されるといいですよね。

柴田 本当にそうですね。味方に付いてくれる人達が映画を回してくれるっていうのが最後、唯一の楽しみでもあるんで、この映画がいい感じで増殖していって、それで本当にやっと自分の手を離れるというか。『おそいひと』は攻撃的な要素が多かったんで、不必要な誤解も招いてしまったっていうのはあるんですけど、今回は前回を踏まえた上で「もっと幅広いところに向けよう」っていうのを映画をやる時のリズム感として持ってましたし、それを支えるスタッフ達ともそれはキーワードとしてましたね。だからと言って、「血みどろにならない」とか「人は刺さない」とかそういう決め事はなしで大きな器のプロジェクトが出来たんだからたくさん広めて行きたいですね。

--- それこそ、サンフランシスコやテキサスなど、海外でも上映されるという流れも・・・。

柴田 10メートルの女の人が来るっていうね(笑)。スクリーンを見下ろしながら。

モタコ こういう人だったのかって(笑)。

--- いろんな環境で価値観を持った人達がこの映画と出会って、それぞれがどう観るのか・・・それこそ赤富士、黒富士じゃないですけど、多面的な意見がたくさん出てくるとおもしろいですよね。

柴田 僕もそう思いますし、そう願いますね。

--- 本日はありがとうございました。

柴田&モタコ ありがとうございました。







『堀川中立売』 予告編!

(おわり)



『堀川中立売』 全国各地の劇場にて巡回中!!!


★フォルツァ総曲輪(富山) 7/9(土)〜7/14(木)
・7/9(土)、監督・キャスト来場、舞台挨拶あり!

通常映画を上映する[シネマホール]ではなく、音響設備がよりパワフルな[ライブホール]での大音量上映!あわせて『おそいひと』も公開決定!関連イベントも充実!
・柴田剛(監督)、堀田直蔵(『おそいひと』『堀川中立売』出演)来場決定!
・同日夜、「映画製作講座」で柴田監督がゲスト講師を担当!

★【関連企画】 最新作『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』 高岡御旅屋通り上映!
7/8(金) 高岡御旅屋通り商店街
あの!藤子不二雄「まんが道」の原点・高岡は御旅屋通り商店街で『堀川中立売』公開前日に上映イベント!柴田監督や制作スタッフ来場トーク&飲み会!夏の夜の夢!
会場:ダ・フレンズ(高岡市御旅屋通)
料金:1500円(1D付)
日時:2011年7月8日(金)19時30分START
上映後、柴田監督の談話アリ

★新潟・市民映画館 シネ・ウインド(新潟) 7/9(土)〜7/22(金)
7/9(土)〜7/15(金) 17:00(〜19:15)/19:30(〜21:45)
7/16(土)〜7/22(金) 19:15(〜21:30)
★7/10(日)のみ特別番組のため別スケジュール
・シネ・ウィンドに柴田剛(監督)、堀田直蔵(出演・安倍さん役)来場決定!&柴田監督来場にあわせて最新作『ギ・あいうえおス -ずばぬけたかえうた-』特別限定上映!

★シネマテークたかさき(群馬) 7/23(土)〜7/29(金)
連日 11:00/15:20/20:00
・初日(7/23)、15:20の回上映後、柴田監督×村上賢司監督トーク!

★シネマ・ジャック&ベティ(横浜) 7/30(土)〜8/5(金)
・トークイベント検討中!


他、詳細はオフィシャルサイトにて!http://www.horikawanakatachiuri.jp/

© 2010 SHIMA FILMS

profile

柴田剛 (しばたごう)

1975年、神奈川県生まれ。99年、大阪芸大卒業制作作品として、処女長編『NN-891102』を監督。00年、ロッテルダム映画祭(オランダ)、Sonar2000(スペイン)他各国の映画祭やフェスティバルに出品後、国内でも劇場公開を果たす。02年、パンクライブドキュメント『ALL CRUSTIES SPENDING LOUD NIGHT NOISE 2002』を制作。04年、長編第2作となる『おそいひと』を完成。第5回東京フィルメックスを皮切りに、各国映画祭(15カ国以上)に出品(05年ハワイ国際映画祭にて Dream Digital Award を受賞)。08年、長編第3作『青空ポンチ』を監督。ライブ&PV集『バミューダ★バガボンドDVD』を制作。自作の上映活動や様々な企画やイベントへの参加を経て、2010年、長編第4作『堀川中立売』がまもなく公開!さらに!山本政志監督の新作『スリー★ポイント』の「京都篇」でラインプロデューサーも!


石井モタコ(いしいもたこ)

オシリペンペンズのヴォーカル。『堀川中立売』と同時期に制作された『尻舟』(09/宮本杜朗監督)の2作が映画初主演作となる。オシリペンペンズの他、手ノ内嫁蔵、飯97!などのユニットでも精力的に活動を続ける。雑誌にCOMICも!掲載されていたり。【こんがりおんがく】レーベルより、オシリペンペンズのミニアルバム!『NEW ME』が12月15日リリース決定!