【特集】日本のDUB

2009年6月23日 (火)

KILLA SISTA

女の子3人が強烈にぶっといDUBを聴かせてくれる。うそのようなホントの話。

FROM FAR EAST / KILLA SISTA
KILLA SISTAというDUBをやっている女の子がいるらしい。それを知ったのは2005年のこと。UPLINKからリリースされた『Melodious Riddim』という日本のレゲエシーンのドキュメンタリーDVDである。こだま和文、DUB SENSEMANIA、CULTIVATORといったそうそうたるアーティストの中、KILLA SISTAというCDのリリースもない2人の女の子がDUBを演奏している映像が映し出される。今回のアルバム同様、CULTIVATORのRAS DASHERがMIXをしながら。DVDの中で少しだけといったものではなく、10分以上割いて特集されていたように思う。それだけ価値のある映像だった。他のどんなDUBとも違う強烈なインパクトがあった。あれから3年以上の月日が流れ、遂にKILLA SISTA初めてのアルバムがリリースされる。ベースも加わり、女の子3人が強烈にぶっといDUBを聴かせてくれる。うそのようなホントの話。



KILLA SISTA 関連作品

Melodious Riddim
上記、KILLA SISTAのレビューでふれた通り、KILLA SISTAの特集シーンだけでもこのDVDを買う価値があるだろう。しかも、こだま和文、DUB SENSEMANIAらのヤバいLIVEシーン、煙たいレコーディング風景など見所満載!2005年リリースのDVDだが、一切色褪せる事なく、未だに衝撃を与え続けている!!!
VOICE OF LOVE / CULTIVATOR
KILLA SISTAのアルバムをプロデュースしたRAS DASHER率いるBAND「CULTIVATOR」。このバンド、このアルバムはもはや伝説。DRY & HEAVYほどメジャーな存在にならなかったものの、このサウンドは、一部のDUBフリークを震わせた。DRY & HEAVYよりもCULTIVATORの方が好きという方も多いはず。このヴァイブレーションは真に訴えられるものがある!KILLA SISTAが好きな人には確実にはまるサウンド!


日本のDUB

1980年代初頭、MUTE BEAT『STILL ECHO』。全ての始まりはここにある。日本のDUBのオリジネーターとして、このMUTE BEATは後のアーティスト達に多大な影響を与えた。当然、この時点では、大きなムーブメントではなかったが、DUBは地道に、しかし確実に、耳の早い音楽ファンを刺激し、シーンとして根付き始めた。その後、FISHMANSAUDIO ACTIVEの登場により、DUBの手法はポップスやロックのリスナー等より多くの人たちにも届くようになる。

そんなDUBシーンが急速に発展を遂げたのは、90年代の終わり、AUDIO ATIVEのメンバーから派生したDRY & HEAVYの登場によるものが大きい。彼らの、DUBに対する徹底的なこだわりとポジティブなメッセージ、決してマイナーな音では終わらない姿勢は、日本の音楽業界にとって強烈なインパクトだった。DRY & HEAVYで初めてDUBというものを体験した人も多いのではないだろうか?
さらに同時多発的に、MUTE BEATこだま和文は『REQUIEM DUB』を発表、LITTLE TEMPOの登場など、DUBもアンビエント的なアプローチを提示するなど、新たな流れ、拡がりを見せた。また、UAは『turbo』というアルバムの中で大胆にDUBの手法を取り入れた。このアルバムにはMUTE BEATの朝本浩文やLITTLE TEMPODRY & HEAVY内田直之も参加している。改めてUAのセンス、フットワークの軽さに驚かされる。

2000年代に入ると、NYの老舗レゲエ・レーベル、WACKIE'Sでの活動を経て帰国したピアニカ奏者RAS TAKASHIによるDUB SENSEMANIAや、今回KILLA SISTAをプロディースしたRAS DASHER率いるCULTIVATORなど数々の名盤がリリースされる。また、AUDIO ACTIVE『SPACE DOLLS』の中で、THA BLUE HERBのBOSS THE MCをフィーチャーし、Shing02は『400』において、DRY & HEAVYの秋本武士のBASSフィーチャーするなど、HIP HOPとのリンクも広がっていく。秋本武士はGOTH-TRADとのユニットREBEL FAMILIAにてDUBの最も濃い部分を凝縮したかのようなサウンドを展開していく。そんな彼が、バンドとしてのDUBサウンドに回帰したTHE HEAVYMANNERSの作品を2008年にリリースしたことは記憶に新しいのではないだろうか。

今回のKILLA SISTAのリリースしかり、08年のTHE HEAVYMANNERSしかり。2000年代も終わりに近づき、日本のDUBシーンは再び盛り上がり始めている。長野の山奥、標高1200mのDUB、TENGAKU。アイヌの伝統とDUB、トンコリのサウンドがこだまするOKI DUB AINU BAND2月度の「今月のイチオシ」でも紹介した大阪のDUBシーン「Tribe Called West」。同じく大阪から飛び出した新世代叙情派エレクトロ・ダブ・ユニット、あらかじめ決められた恋人たちへ。さらにSOUL DIMENSIONYOSSY THE LITTLE NOISE WEAVERなど、層が厚い。これらのBANDが今後どのように展開していくのか非常に興味深い。世界に誇れる日本のDUBシーンはさらに煙たく深化していくだろう。


日本のDUB 名盤おさらい!



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