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ストーンズ 真夏のネブワーズ祭 1976

ROLLING STONES STORE

2010年4月13日 (火)


ネブワーズ・フェア 1976

 

 
1. (I Can't Get No)
    Satisfaction
2. Ain't Too Proud To Beg
3. If You Can't Rock Me
    /Get Off Of My Cloud
4. Hand Of Fate
5. Around And Around
6. Little Red Rooster
7. Stray Cat Blues
8. Hey Negrita
9. Hot Stuff
10. Fool To Cry
11. Star Star
12. Let's Spend The Night
    Together
13. You Gotta Move
14. You Can't Always Get
    What You Want
15. Dead Flowers
16. Route 66
17. Wild Horses
18. Honky Tonk Women
    (〜Country Honk)
19. Tumbling Dice
20. Happy
21. Nothing From Nothing
    (Billy Preston)
22. Outta Space
    (Billy Preston)
23. Midnight Rambler
24. It's Only Rock'n Roll
25. Brown Sugar
26. Rip This Joint
27. Jumpin' Jack Flash
28. Street Fighting Man
 ”Hot August Night”にピンと来ても来なくても、必ず観ていただきたい70年代中期のローリング・ストーンズ・ライヴ映像の大本命盤。1976年8月21日、ロニー・ウッド正式加入後のヨーロッパ・ツアーを締めくくる「ネブワーズ・フェア」ヘッドライナー・ステージを収録した『Live In Knebworth 1976』が遂に公式リリース!

 と、イキり立ったまではよかったのですが、やっとこさレーベルから到着したトラックリストに目を通して蒼ざめるばかり・・・ストーンズの映像は、「Honky Tonk Women」と「Wild Horses」の2曲のみ。コンプリート・セットリストとは言わなくても、せめて半分の14曲ぐらいは収録されているだろうと勝手な予想を立てていたのですが、結果はあまりにも・・・予想とは言え、煽動的な文章を躍らせてしまいまして申し訳ございませんでした。ここにお詫びいたします。 ただ唯一救われるのが、1975年の北米ツアーにはレギュラーセットに初めて組み込まれたものの、76年のツアーでは外されていた「Wild Horses」の収録。 「この1曲だけでも買いだぜ!」と鼻息を荒くする男気溢れた方のカート・ボタンの”ポチッ”、心よりお待ちしております。 レーベル資料によりますと、他にレナード・スキナード「Freebird」、10cc「Rubber Bullets」、当時のプロモーター、フレディ・バニスターのインタビューが収められているそうです。


1976年ネブワーズ祭のローリング・ストーンズ 全容


 ミック・テイラー脱退に伴う”グレイト・ギタリスト・ハンティング”にて、ストーンズ新ギタリストの座をほぼ決定的なものとしたロニー。契約的にはまだフェイセズに在籍していたものの、そのロニーをゲスト・ギタリストとして迎えた1975年の北米ツアー、続くニュー・アルバム『Black And Blue』のこれ以上ないねばっこさから、新生ストーンズが手繰り寄せた”黒い”手応えというものが、DECCA時代のそれとは明らかに性質の異なるものだったことが窺えます。上記ツアー及びアルバム制作を全面的にバックアップしたサポート・メンバー、ビリー・プレストン(p,org)、オリー・ブラウン(per)によるバネの効いた演奏もこの時期のストーンズ・サウンドを語る上で重要なトピックなのですが、やはりロニー・ウッドという類稀なギタリストの存在をその輪に加えたということが、ともすれば錆びれ落ちていきそうなビッグ・マシーンの潤滑油、強心剤となったことも紛れもない事実だと言えるでしょう。

 前年からの勢いそのままに新生ストーンズは、1976年4月のドイツ・フランクフルト公演を皮切りにヨーロッパ・ツアーをスタートさせました。5月21〜27日のロンドン・アールズコート公演や、翌77年リリースの2枚組ライヴ盤『Love You Live』に収録されることとなる6月4〜7日のパリ・アバトワ公演をハイライトにしながら各地を荒らし回った本ツアーは、6月23日のオーストリア公演でいったん千秋楽を迎えましたが、急遽8月21日、英ハートフォードシア州ネブワーズ・パークで毎年開催されている「ネブワーズ・フェア」へのヘッドライナー出演が実現。レナード・スキナード10ccトッド・ラングレン率いるユートピアホット・ツナといった豪華な顔ぶれが出揃ったイギリス屈指の大型野外音楽フェスでは、20万人以上のオーディエンスが、新生ストーンズの登場を今か今かと待ちうけていました。

ネブワーズ
 ヨーロッパ・ツアーのセットリストは、75年の北米ツアーのレギュラー・セットに、「Hand Of Fate」、「Hey Negrita」、「Fool To Cry」、「Hot Stuff」といったニュー・アルバム『Black And Blue』からの楽曲を交えたものが中心となり、さらに、ストーンズをバックにビリー・プレストンが持ち歌を2曲披露(「Nothing From Nothing」、「Outta Space」)するというコーナーも中盤に設置。 がしかし、数年ぶりの野外フェスへの参戦となれば、レギュラー・セットでは物足りないと感じるのがファン心理。その辺りを十分に考慮したストーンズ側の用意したセット・リストがこれまたスペシャルなもの(図1参照)。通常は「Honky Tonk Women」がオープニングだったのですが、この日はなんと「(I Can't Get No)Satisfaction」。コレはびっくり! また、「Around And Around」、「Little Red Rooster」、「Route 66」といった翌77年カナダのエル・モカンボ・クラブ・ギグでも披露することになる初期のブルース・レパートリーを次々にプレイし、とどめは「Honky Tonk Women」の後に「Country Honk」の一節を歌い出すという出血大サービスぶり。深夜1時を回っても続いていたという2時間半に及ぶステージで演奏された楽曲はトータルで28曲! 

 湯浅学氏曰く「ガサガサのスコンスコン」な『Black And Blue』、ひいては1976年のストーンズ・サウンド。ロニーが新ギタリスト・オーディションの際に持ち込んだ自作曲「Hey Negrita」に代表されるトリモチのように強烈な粘着質を持つサウンドは、特別なテクニックを誂えていないにも関わらず、誰にも真似できない、さらにはその後のストーンズ本人たちにも再現不可能な、奇跡的としか言いようのない”スカスカ”で”カチャカチャ”な空間を作り出しています。そして、DECCA時代と異なる”黒さ”という点では、例えばエリック・ドナルドスンのレゲエ・カヴァー「Cherry Oh Baby」で大いに感じることができる音の柔らかさやしなやかさに、それを見ることができるかもしれません。ブルースやR&Bへの憧憬をその博識の中から見よう見まねで表現していた1968年あたりまでの黒人音楽へのアプローチとは異なり、あくまでメンバー個々、ローリング・ストーンズそれ自体に内在する”黒さ”というものをシンプルに、ドライに表現する手段をここへきて身に付けることができたのだろう、と拡大解釈してしまう程どこかオープンな”黒さ”を感じさせてくれます。  

 キースとロニーの新ギター・コンビネーションだとか、ミックの玉虫色のパフォーマンスだとか、ましてや、ビリー・プレストン、オリー・ブラウンによるファンキー・スタッフだとか・・・そうした断片的な部分ではなく、結果的にこの時代にしかなし得なかった、バンド全体が内包する”黒さ”の自然分娩。この時期のストーンズの魅力はまさにそこにあったと言えるのではないでしょうか。




 
Live In Knebworth 1976
 
Live In Knebworth 1976
VPDVD70  2010年5月11日発売
 70年代にロンドンのネブワース・パークで行なわた大型野外音楽イベント「Knebworth Fair」。ローリング・ストーンズをヘッドライナーに迎えて行われた、1976年8月21日の模様が待望の公式DVD化。 新ギタリストの座を射止めたロニー・ウッドに加え、ビリー・プレストン、オリー・ブラウンといったファンキーなサポート・メンバーを引き連れた同年のUKツアーの最終日となるネブワーズ公演。『Black And Blue』リリース当時の粘っこいサウンドに耽溺するストーンズ・ファン必見のライヴ映像。オリジナル・ラインナップでの最後のステージとなった10ccのほか、レーナード・スキナード、トッド・ラングレン率いるユートピア、ホット・ツナらが参加。ライヴ本編に、当時プロモーターを務めたフレディ・バニスターが当時の秘話を明かにするインタビューも交え、伝説的イベントを振り返る。

 

 
Black And Blue
 
Black And Blue 
UICY94575  2010年6月30日発売  初回限定盤紙ジャケ
  『It's Only Rock'n'Roll』完成後に脱退したミック・テイラーの穴を埋めるべく行われた、新ギタリスト・オーディション(通称「グレイト・ギタリスト・ハント」)には、ウェイン・パーキンス、ハーヴィ・マンデル(「Hand Of Fate」で流麗なギター・ソロを披露)、さらには、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、スティーヴ・マリオットといった面々が名を連ねた。以前からバンドと深い交流のあったロニー・ウッドがその座に落ち着くべくして落ち着いたわけだが、この柔軟なセンスを持つ男の加入によって、バンドは、より黒くルーズなグルーヴを手繰り寄せることに成功した。ファンキーなリズムに粘着質なギターが絡む「Hot Stuff」、「Hey Negrita」、本格的にレゲエに挑んだエリック・ドナルドスンのカヴァー「Cherry Oh Baby」など、DECCA後期とはまた異なる”ドス黒さ”に腰が揺れる。ミックが作ったベーシック部と、キース・パートを後に組み合わせた名曲「Memory Motel」も素晴らしい。

 

 
Love You Live
 
Love You Live
UICY60172  2009年12月09日発売
 サポート&新ギタリストにロニー・ウッドを迎え行なわれた75年北米ツアーと76年ヨーロッパ・ツアー(6月のパリ公演)、さらには、77年3月4、5日、カナダはトロントのエル・モカンボ・クラブでの小規模ギグの音源で構成された2枚組ライヴ・アルバム。70年代のバンドの成長と勢いを集約したかのような荒々しくも凄まじいグルーヴを、「If You Can't Rock Me / Get Off Of My Cloud」、「Star Star」、「Jumpin' Jack Flash」等で体感できる。また、ロニー加入後に生み出された「Hot Stuff」をはじめ、ビリー・プレストン(p)、オリー・ブラウン(per)らをツアーに同伴させたこの時期ならではの粘っこさもたっぷりと味わえる。300人程のオーディエンスを前に演奏された、スモール・クラブ・ギグ「エル・モカンボ・サイド」では、商業主義とは無縁なピュアな黒人音楽への愛情を無邪気に爆発させている。ちなみに、この時のギグでは収録された4曲の他に、「Luxury」、「Crazy Mama」、「Worried About You」といった珍しい曲も演奏されている。

 

 
Kids And Me
 
Billy Preston 『Kids And Me』 
UICY93459  2010年4月2日発売  限定盤紙ジャケ
 70年代初頭〜中期における”第6のストーンズ”という重要な役割をニッキー・ホプキンスと適材適所で分け合ったビリー・プレストン。『Sticky Fingers』の「I Got A Blues」、『Exile On Main Street』の「Shine A Light」、そして、『Goat's Head Soup』、『Black And Blue』における諸曲で、ゴスペル仕込みの黒く重厚なピアノ・タッチ、レペゼン・メンフィスの泥臭いオルガン・ロングトーンを自在に弾き倒す。本作は、ストーンズとのツアーでも披露した大ヒット曲「Nothing From Nothing」を含む74年発表のアルバム。ちなみに、73年のストーンズの欧州ツアーに前座として登場した時のライヴ盤『Live European Tour』には、ミック・テイラーがゲストとして参加している。

 

 
Gimme Back My Bullets
 
Lynyrd Skynyrd 『Gimme Back My Bullets』 
UICY94174  2010年4月2日発売  限定盤紙ジャケ DVD付き
 サザン・ロックの代名詞的グループ、レーナード・スキナードの1976年発表の4作目。前作までのアル・クーパーに代わりトム・ダウドをプロデューサーに迎え、いよいよディープなサザン・ロックの覇者としてその王道を歩むこととなった1枚。ヴァラエティに富みつつもまとまりを感じさせる楽曲・構成のディレクションはさすが。本盤ディスク2は、75年11月BBCの人気音楽TV番組「オールド・グレイ・ウィッスル・テスト」に出演した際のDVDを収録。「Sweet Home Alabama」、「Free Bird」といった代表曲を全盛期のスタジオ・ライヴ映像でどうぞ。

 

 
How Dare You: びっくり電話
 
10cc 『How Dare You: びっくり電話』 
UICY93815  2010年4月2日発売  限定盤紙ジャケ
 のちにゴドレイ&クレームを結成することになるケヴィン・ゴドレイとロル・クレーム在籍期最後のステージとなった「ネブワーズ 1976」。その第1期10ccとして最後のスタジオ・アルバムとなる通算4作目。「I'm Not In Love」や「愛ゆえに」などの影に隠れて「I'm Mandy, Fly Me」が語られることは少ないが、序盤のSEも含めてその展開の激しさ、メロディーの美しさはまさに10ccらしさ全開の名曲。”ねじれポップス”満載。

 

 
Another Live
 
Utopia 『Another Live』
VICP64209  2008年6月25日発売  紙ジャケ
 ロジャー・パウエルを新ドラマーに迎えた新生トッド・ラングレンズ・ユートピアの75年発表通算2作目となるライヴ・アルバム。冒頭3曲の新レパートリーのほか、The Moveの「Do Ya」や「ウエストサイド物語」の「Something's Coming」など興味深いカヴァーを披露している。翌76年にはソロ・アルバム『Initiation』を完成させるなど、充実期にあったこの頃のトッドはかなりのハイペースで作品を発表し続けていた。また同年ユートピアとして初来日公演も行っている。

 

 
Hoppkorv
 
Hot Tuna 『Hoppkorv』
BVCM35465  2008年9月24日発売  限定盤紙ジャケ
 従来のトリオ編成に加え、ギタリストのション・シャーマン、女性シンガーのカレン・トビン、キーボーディストのニック・バックの3人がレコーディングに参加して録音されたホット・ツナの1976年発表通算6作目。ヨーマ・コーコネンとジャック・キャサディが守り続けるルーツ・ミュージックに新たな風をプラスした本作は、全体にバラエティに富んだサウンドとなった。バディ・ホリー「It's So Easy」は偶然にもリンダ・ロンシュタットとほぼ同時期のレコーディングであり、リンダのLAサウンドに対しこちらはホット・ツナらしいシスコ・サウンドで解釈されているところがとても興味深い。



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