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「ベルリン・フィル・ラウンジ」第16号:内田光子大特集!ラトル指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲を全曲演奏

Thursday, February 4th 2010

ドイツ銀行 ベルリン・フィル
ベルリン・フィル&HMV提携サイト
 ベルリン・フィル関係ニュース

ドイツ銀行 ラトル&内田光子の《皇帝》が、ドイツ銀行ウェブ上で無料中継!
 この2月ベルリン・フィルでは、ラトル指揮内田光子独奏のベートーヴェン・ピアノ協奏曲全曲ツィクルスが行われますが、2月14日(日)のピアノ協奏曲第5番《皇帝》を含むコンサートが、ドイツ銀行(日本)のウェブサイトで無料生中継されることになりました。中継は、日本時間の夜7時と、ご覧になりやすい時間帯となっています。演奏曲目は《皇帝》の他、シベリウスの交響曲第4番、クルタークの《シュテファンのための墓標》。どなたでも自由に視聴できますので、是非ご覧ください。
 ご利用方法:ドイツ銀行のホームページへは、こちらからアクセスします(日本語)。トップページのラトルの写真をクリックして放映ページに移動し、「いますぐご登録ください」を押します。「性別」「名」「姓」「Eメールアドレス」「Eメールアドレス確認再入力」の順で入力し、「ご利用条件」と「ニュースレター希望」に印をつけてSendをクリックします。折り返しメールが送られてきますので、1つ目のリンクをクリックすると放送画面がスタートします(放送画面は14日午後6時45分にオープンします)。またツィクルスの詳細については、本ページ下部の「次回のデジタル・コンサートホール演奏会」をご覧ください。

【演奏曲目】
クルターク:シュテファンのための墓標
シベリウス:交響曲第4番
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番

ピアノ:内田光子
指揮:サー・サイモン・ラトル


放送日時:2月14日(日)午後7時(日本時間・生中継)

ベルリン・フィルの演奏会が映画館で生中継上映
 ベルリンでは2月11日から21日まで、ベルリン映画祭が開催されますが、当団ではオープニングの前夜に映画館でライブ・ビューイングを行います。会場はフィルハーモニーに近いポツダム広場のソニー・センター/シネ・スター。2月10日のラトル指揮内田光子独奏の演奏会が、ライヴ中継される予定です。ベルリン・フィルでは現在、このようなライブ・ビューイングの国内、あるいは海外での実施可能性を検討しています。

ヤン・ディッセルホルスト(Vc)の一周忌コンサート
 昨年2月に急逝したベルリン・フィルのチェリスト、ヤン・ディッセルホルストの一回忌演奏会が、2月7日に室内楽ホールで行われます。当演奏会では、彼がメンバーを務めた「ベルリン・フィルの12人のチェリストたち」と「フィルハーモニア四重奏団」、および教師として指導に当たったオーケストラ・アカデミーの学生が演奏する予定です。ディッセルホルストは、オーケストラ代表としても活動し、団員の大きな信頼と尊敬を集めていました。

ハイティンク、コープマンの演奏会が、デジタル・コンサートホールのアーカイヴにアップ!
 1月後半に行われたハイティンクとコープマンの定期演奏会が、デジタル・コンサートホールのアーカイヴにアップされました。ハイティンクの回は、ブラームス「ヴァイオリン協奏曲(独奏:F=P・ツィンマーマン)」の他、ベルリン・フィルの超絶技巧が発揮されるバルトーク「管弦楽のための協奏曲」が主要プログラム。最も重要なパートナーのひとりであるハイティンクの指揮だけに、華麗な色彩とマッシヴな音響が際立つ見事な演奏となっています。
 一方コープマンの回では、彼が得意とするバッハの「管弦楽組曲第3番」、モテット《主を称えよ、すべての異邦人よ》、「マニフィカト」の解釈が聴きものです。ラトルの先導により古楽奏法を試みてきたベルリン・フィルですが、コープマンが招聘されたのは今回が初めてでした。4月にはラトル自身の《マタイ受難曲》が予定されており、これはその前哨戦と呼べるでしょう。

ハイティンクの演奏会の予告映像を観る(無料)
ハイティンクの演奏会をデジタル・コンサートホールで観る
コープマンの演奏会の予告映像を観る(無料)
コープマンの演奏会をデジタル・コンサートホールで観る

 次回のデジタル・コンサートホール演奏会

ラトル&内田光子によるベートーヴェン&シベリウス・ツィクルス第1弾
(日本時間2月5日早朝4時)


 今シーズンの最大の話題は、内田光子独奏によるベートーヴェン・ピアノ協奏曲の全曲演奏会であるに違いありません。このツィクルスは、2月に4回の演奏会に分けて行われますが、今号では最初の3回をまとめてご紹介。ベルリン・フィルがひとりのピアニストにベートーヴェンの集中演奏を任せることは、これまでになかった特別なことです。内田は昨シーズン、ベルリン・フィルのピアニスト・イン・レジデンスを務め、シューマンのコンチェルトや室内楽で名演を披露しましたが、今回のベートーベンにも大きな期待が掛かります(本ページ下部のインタビューをご覧ください)。
 同時に興味深いのは、ラトルがシベリウスの交響曲を一括して取り上げることです。カラヤン得意のレパートリーとされる作品ですが、4月後半までに全7曲を演奏する予定。とりわけ注目されるのは第3番で、この曲はこれまでベルリン・フィルで一度も演奏されたことがありません。カラヤンでさえ取り上げなかった作品に、ラトルがツィクルス上演の形で挑みます。さらにプログラムには、シーズンのもうひとつの横糸であるハンガリーの作曲家(リゲティとクルターク)が編み込まれています。
 なお2月14日の演奏会は、ドイツ銀行のウェブサイトで無料中継される予定です。ご覧になる場合は、こちらからドイツ銀行のウェブサイトにアクセスをお願いします。開演は日本時間の夜7時。またベートーヴェン・ツィクルスの最終回は、2月21日にピアノ協奏曲第4番他のプログラムで生中継されます。

【演奏曲目】
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番ハ長調
リゲティ:死の秘儀(コロラトゥーラ・ソプラノ&オーケストラ版)
シベリウス:交響曲第1番

ピアノ:内田光子
ソプラノ:バーバラ・ハニガン
指揮:サー・サイモン・ラトル


放送日時:2月5日(金)午前4時(日本時間・生中継)

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ラトル&内田光子によるベートーヴェン&シベリウス・ツィクルス第2弾
(日本時間2月11日早朝4時)


【演奏曲目】
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調
シベリウス:交響曲第3番
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調

ピアノ:内田光子
指揮:サー・サイモン・ラトル


放送日時:2月11日(木)午前4時(日本時間・生中継)

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ラトル&内田光子によるベートーヴェン&シベリウス・ツィクルス第3弾
(日本時間2月14日午後7時)


【演奏曲目】
クルターク:シュテファンのための墓標
シベリウス:交響曲第4番
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調《皇帝》

ピアノ:内田光子
指揮:サー・サイモン・ラトル


放送日時:2月14日(日)午後7時(日本時間・生中継)

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 アーティスト・インタビュー

内田光子
「ベートーヴェンは、あらゆる人間のなかでも最も偉大で強い存在です」

聞き手:ゲアハルト・フォルク(ベルリン・フィル広報部長)

 今号のインタビューでは、上記ツィクルスに出演する内田光子がベートーヴェンについて語ります。映像は昨年の6月、彼女がピアニスト・イン・レジデンスとして招かれた時のもの。ここでは後半部分(20:56以降)を訳出しますが、ベートーヴェンの音楽に潜む精神性、希望を熱く語っている点が興味を誘います。ウィーンで少女時代を過ごした彼女が喋るウィーンなまりのドイツ語が聞けることも、このインタビューの大きな魅力でしょう。

フォルク 「ベートーヴェンのピアノ協奏曲は彼の初期から中期にかけての作品ですが、内田さんはピアノ・ソナタではむしろ後期の作品を演奏されていますね」

内田 「演奏会では様々な作品を取り上げてきましたが、録音では後期の5曲をやったのみです。ご存知の通りピアノ協奏曲は、クルト・ザンデルリングさんと録音させていただきました。彼とは本当に気が合うのですよ。実は今日も、彼のお宅にお伺いしてきたのです。今97歳と4分の3年! でも頭は本当に明晰で、ものすごくお切れになる。明日のコンサートに来ていただけるようお願いしたのですが、歩くのが難しいということで、残念ながらダメだそうです。でもコンチェルトの時は、“車椅子でいいですから来てください”と説得するつもりです。
 ベートーヴェンの協奏曲についてですが、私はこれらの作品を本当に心の底から愛し、演奏してきました。例えば《皇帝》が書かれた時期のソロ作品は、弾かないで避けてきた、ということはあります。しかし今考えてみると、ひとつひとつのコンチェルトが、独自の美しさを持った掛け替えのない作品であるように思われます。よくピアニストは、第4番のコンチェルトが特別な曲だと言いますよね。しかしそれは、他の4曲についても同じように当てはまります。もちろんハ長調(注:第1番の番号が付いているが、年代的には2曲目)とハ短調のコンチェルトの間には境目があり、第3番は“偉大なベートーヴェン”の世界に突入しています。しかし最初の変ロ長調コンチェルトにも、ベートーヴェンの精神的世界はすべて表われているのです。そこには日常とは離れた、超越した世界が広がっています。天空に星が輝いているような高みの世界。初期の変ロ長調コンチェルトにも、すでにそれは存在しているのです」

フォルク 「ベートーヴェンはウィーンの伝統だけでなく、ゴセックやメユール等のフランス音楽の影響も受けていると思います」

内田 「そうですね。しかしとりわけ重要なのは、彼がバッハの音楽を知っていたということでしょう。これは当時としては、決して当然のことではありませんでした。18世紀においては、たとえ偉大な作曲家であっても、人は死ぬとすぐに忘れられてしまったのです。当時の感覚では、バッハと言えばヨハン・クリスティアンであり、カール・フィリップ・エマヌエルのことだったと言えます。例えばモーツァルトも、ファン・ズイーテン伯爵がいなければ、バッハの音楽を知らずに過ごしていたでしょう。伯爵は音楽愛好家であると同時に収集家でもあったのですが、彼はモーツァルトにバッハの前奏曲とフーガの草稿を見せたのです。ベートーヴェンはネーフェ(注:ベートーヴェンの少年時代の師で、ボンの宮廷オルガニストだった)を通してバッハの音楽を知りました。それが音楽家・作曲家としての彼に、決定的な影響を及ぼしています。彼はもちろんモーツァルトを崇拝し、ピアノ協奏曲第20番については“このような音楽は我々には到底書けない”と言ってカデンツァを作曲しています。そうした影響は、フランス音楽も含めて多方面からあるに違いありません。しかし、それ以上に記憶に留めて置かなければならないのは、彼がまったく独立した唯一無二の存在だったということです。より正確に言うと、最も偉大であらゆる人間よりも強い存在だったと言えます。彼の音楽は、あたかも宇宙のすべてを体験したかのような、大きな広がりを持っています。彼の精神的な深さ、人間としての強さ、絶望的な状況のなかでも光を見出すことのできるオプティミズム、地獄のなかにあって天国を見ることができる能力! そうした力、大きなヴィジョンは、他のどの作曲家にも見出すことはできません。私はこの偉大な音楽を聴衆の前で弾かせてもらうと、常に幸せな気持ちになります。そして感謝の気持ちで一杯になるのです」

フォルク 「内田さんはツィクルスで、2週間の間にコンチェルト全曲を演奏されます。個々の曲を別々に弾くこととでは、違いがありますか」

内田 「もちろん大きな違いがあります。私が最後の5曲のソナタを、連続して弾いたとしましょう。そうすると、私のなかで何かが起こります。ひとつの作品を弾くだけでは得られない何かが、そこにあるのです。それが何であるのかを説明するのは難しいのですが、聴衆がその特別な瞬間を分かち合ってくれることは、本当に素晴らしいことだと思います」

フォルク 「コンチェルトを弾く上で、指揮者やオーケストラの役割とは何でしょうか」

内田 「対話です。室内楽ほどではありませんが、コンチェルトの演奏においても共演者と目と目を合わせて語り合い、コミュニケーションしてゆくことが重要です。オーケストラがどんな響きを発するか、どんなフレージングをするかで、私の演奏も即座に変わってきます。それはあらゆる瞬間に起こりますが、これが日によって演奏が違い、多彩になる理由なのです。もちろんソリストとして自分のしっかりとした考えを持ち、それをオーケストラや指揮者に対して主張・説得できることが最低の条件です。しかしそれを持った上でお互いを聴き合い、また聴衆が対話に息をのんで耳を傾ける時、本当のマジックが起こります。聴衆の集中力が我々音楽家にも影響を与えるのです。これこそがスタジオ録音との最も大きな違いでしょう。もちろんレコーディングでは、細かいことまで完璧に練り上げることができます。しかしソリストとオケと指揮者、そして聴衆がコンサートで一体となり、心を合わせる時ほど、エキサイティングな瞬間はありません。完璧な一体感が得られることは本当に稀ですが、それが実現する時、私は冒険をしている気分になります」

内田光子のベートーヴェン・ツィクルスをデジタル・コンサートホールで観る

 ベルリン・フィル演奏会批評(現地新聞抜粋)

ラトルのハイドン《四季》は、賛否両論?
定期演奏会(2009年年9月8・9日)

【演奏曲目】
ハイドン:オラトリオ《四季》全曲

ソプラノ:クリスティアーネ・エルツェ
テノール:ジョン・マーク・エインズリー
バス:トーマス・クヴァストホフ
指揮:サー・サイモン・ラトル


 昨年9月、ベルリン芸術週間で上演されたラトルのハイドン《四季》については、『ターゲスシュピーゲル』と『ベルリナー・モルゲンポスト』の間で評が割れています。独批評界の長老ガイテル氏は、上演をきわめてポジティヴに評価していますが、『ターゲスシュピーゲル』のニーマン氏は、テノール・ソロのジョン・マーク・エインズリーに比べるとラトルの指揮に欠点があると強調しています。問題の核心は“テクストへの理解が欠けている”ということのようで、ラトルは“フーガ等の形式に身を任せられる場合には良い結果を出している”という論調。ラトルのハイドンはベルリンでも概して好評ですが、ドイツ語の歌詞がある作品については批評家も評価が厳しいのかもしれません。

「ラトルはこれまでにも、ハイドンに対して特別の知性と技能を示してきた。今回の演奏会でも、その能力は見事に証明されたと言える。その際素晴らしいのは、ハイドンの音楽がまったく澱みなく、クリアに流れてくることである。それは心に染み入る自然な趣を湛えている。ハイドンの音楽にはどこか子供らしい無邪気さが感じられるが、それは芸術家として成熟した後も消え去ることはなかった。そこでは実直さと直截さ、雄弁さが溢れ、声高に語らずとも情趣が自ずと立ち上ってくるのである。ジョン・マーク・エインズリーのテノールは精妙で、クリスティアーネ・エルツェの輝かしいソプラノはまさにドイツ的。トーマス・クヴァストホフのバスは、やや響きが浅くなったが、教養と音楽性、作品の理解において際立っていた。ベルリン放送合唱団の輝かしい響きも見事!(2009年9月10日付け『ベルリナー・モルゲンポスト』紙/クラウス・ガイテル)」

「エインズリーの印象的な歌唱の前では、ラトルの指揮は味気ないもののように思われた。もちろん彼とベルリン・フィル、そしてベルリン放送合唱団は、“永遠なる者よ!”の合唱等、見事な瞬間を作り出すことに成功している。そこでは畏敬と恐怖の感情が混ざり合い、リアルな表現が実現していた。しかしエインズリーが歌詞のコンセプトを問題にしているのに対し、ラトルは効果を狙っているだけのように思われた。彼が最も成功していたのは、言葉の意味を追う必要がないフーガ(合唱)で、音楽の論理的展開に集中できる個所であった。最終合唱はどこか冷たく、直前にエインズリーが民衆に呼びかける“さあ、培おうではないか”の希望に満ちた調子とは別物だった。(2009年9月10日付け『ターゲスシュピーゲル』紙/カーステン・ニーマン)」

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 ドイツ発最新音楽ニュース

本コーナーでは、ドイツおよび欧米の音楽シーンから、最新の情報をお届けします。

ザルツブルク音楽祭で公金横領スキャンダル?
 ザルツブルク音楽祭とザルツブルク・イースター音楽祭で、関係者による公金横領の疑いがスキャンダルを巻き起こしている。この12月、外部の監査団体がザルツブルク・イースター音楽祭の財政状況を調査したところ、初期段階で不明瞭な金銭の動きが発覚。12年来イースター音楽祭取締役を務めるミヒャエル・デヴィッテが、着服の疑いで解雇された。墺メディアによれば、背景は舞台チームを持たないイースター音楽祭が、それを請け負うザルツブルク音楽祭の舞台監督クラウス・クレッチュマーにコンサルタント料を支払っていたことにあるという。クレッチュマーも監査団体の報告書を待つことなく1月末に解雇されたが、ザルツブルク音楽祭総裁のヘルガ・ラーブル=シュタードラーは、事件の解明に全力を尽くすと発表している。なおイースター音楽祭の運営は、当面ベルリンの文化関係弁護士ペーター・ラウエとザルツブルク経済会議所のベルント・ガウビンガーが担当することになった(写真:©Fritz Haseke)

フォン・オッターがDGよりナイーヴへ移転
 メゾ・ソプラノのアンネ=ゾフィー・フォン・オッターが、25年にわたって専属していたドイツ・グラモフォンを離れ、ナイーヴに移転することになった。移籍後最初のアルバムは、ブラッド・メルドーとのジャズ・アルバム。2011年には、マルク・ミンコフスキとのフランス・オペラ・アリア集が録音されるという。

ラン・ランがDGよりソニーへ移転
 ピアニストのラン・ランも、ドイツ・グラモフォンを離れてソニーに移籍すると報道されている。契約の詳細はまだ未定であるが、移籍後最初のアルバムは今秋発売の予定だという。

ノリントン、チューリヒ室内管へ
 ロジャー・ノリントンが、2011/12年シーズンよりチューリヒ室内管の首席指揮者になることが発表された。契約期間はまず3年で、これまでの首席指揮者ムハイ・タンは首席客演指揮者に転任するという。ノリントンは、1シーズンにつき15から25回の演奏会を指揮することになっている。

フィラデルフィア管、破産の危機!
 米5大オーケストラのひとつに数えられるフィラデルフィア管が、破産の危機にあるという。現在同団には、数百万ドルの赤字があり、救済策が練られているとのこと。ただし破産の場合でも、オーケストラの即時解散につながることはなく、大幅な構造改革が行われる見込みだという。

チョン・キョンファのカムバック
 韓国の新聞によると、指の故障のために5年間休養していたチョン・キョンファが、今年の5月にカムバックを果たすという。最初のコンサートは、アシュケナージ指揮フィルハーモニア管とのブラームスのコンチェルト(開催地はソウル)。秋には、ヴェルザー=メスト指揮のクリーヴランド管弦楽団に、ベートーヴェンのコンチェルトで客演するそうである。

ゼッフィレッリ「デッシーはヴィオレッタには太りすぎ」
 12月にローマ歌劇場で上演された《椿姫》では、フランコ・ゼッフィレッリの演出にダニエラ・デッシーのヴィオレッタが予定されていたが、ゼッフィレッリがデッシーについて「太りすぎで年を取っており」、「結核を病む若い女性には見えない」と発言。デッシーはこれを受けて全公演をキャンセルした。ゼッフィレッリは代わりに同劇場の《ファルスタッフ》(1月末)への出演を要請したが、デッシーは申し出を断っている。



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