人生の年輪を感じさせるブルージーな味わいジョニー・オニール17年ぶりのスタジオ録音作品

数々の苦難をのりこえた末のブルージーな味わい･･･ホイットニー、EW＆F、スタイリスティックスのナンバーも見事にジャズアレンジベテランピアニスト/シンガージョニー・オニール17年ぶりのスタジオ録音作品

デトロイト生まれ、80年代には期待の新人といわれ、82～83年にはアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのメンバーとして活躍するものの、86年には無情な強盗に遭ってニューヨークを去り、98年にはHIVの陽性の診断を下され、苦難が続きました。しかしながら、2010年にニューヨークに戻ってからは再び好転。久しぶりの作品リリースとなりました。

現在は、毎週土曜、本レーベルのライヴ拠点であるSMOKEのレギュラーをつとめ、毎週日曜には、ダウンタウンの同じく名クラブ“SMALLS”にレギュラー出演。それがそのままアーティストへの評価の高さを語っていることは言うまでもありません。

本作は、ベースにベン・ルーベンス、ドラムにイタイ・モルチを従えた近年のレギュラートリオによる録音。双方のアーティストとも若手ですが、それは、かつて自分がブレイキー、ミルト・ジャクソンといったアーティストのグループに起用された関係の延長線。60歳になったオニールが今度はフックアップする側に立っています。

数年にわたるレギュラートリオらしく、レパートリーも実に豊富で、200曲以上もあるとのことですが、曲数のみならず豊富なのは、その楽曲の種類でもあります。ブルース～ストレートアヘッドな曲、ポストバップ、またポップチューンまで。もちろんオニール自身のオリジナルの数々も。作品もそのグループの魅力がそっくりそのまま収録されています。

軽やかにスウィングするリズム、心にジワリと染みるようなメロディの温かさが絶品。エレガントでソフィスティケイトされたサウンドながら、決して”すました”ようなクールさではなく、人間味あふれる演奏は、シンプルでありつつ味わい深いものがあります。

ピアノの他、味わい深いヴォーカルも聴きもの。「あくまでも自分は第一にピアニストだ」とオニールは常々語っていますが、心からブルースを愛し、ジョー・ウィリアムスにその歌唱を絶賛された経歴ももつオニール。ピアノと弾き語りのヴォーカルには、喜怒哀楽の振幅も大きかった、その人生をも反映した深みがあります。

ロイ・ハーグローヴ、グラント・スチュワートもゲストで参加。ハードバップのオープニングあり、ヴォーカルに寄り添うハーグローヴの至高のトランペットソロが聴けるトラック（M2）あり、スロー～ミディアムテンポの楽曲に渋く作品に絡むサックスあり、こちらも魅力的です。

ホイットニー・ヒューストンの「Saving All My Love for You」、アース・ウィンド＆ファイヤーの「After the Love is Gone」、そしてスタイリスティックス「People Make the World Go Round」も、ジャジーでなく、真にジャズな演奏。ハードな人生であった分だけ温かい･･･きてきた時間が蓄積された音楽が16曲すべてに詰まっています。

収録曲

01． Sweet Monk
02． Guilty
03． Churchill Grounds
04． Saving All My Love for You
05． After the Love is Gone
06． She Doesn't Know (I Love Her)
07． Slow Hot Wind
08． Please Be Kind
09． The Folks Who Live on the Hill
10． CGLS
11． People Make the World Go Round
12． Sunday in New York
13． Trav'lin' Light
14． Just a Dream (On My Mind)
15． Being in Love with You
16． Tropical Breeze

Johnny O'Neal (p except M13, vo M2,6,7,13,15)
Ben Rubens (b)
Itay Morchi (ds)
Roy Hargrove (tp on M1,2,6,12,13)
Grant Stewart (ts on M1,6,7,12)

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