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Review List of 偏屈男 

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     2009/12/28

    南波志帆の声は「蛍光」を発しています。一人で歌っているのにコーラスに聴こえるのです。そして性別や年齢を超えて、無意識そのものが声を発しているかのような特異な存在感を持っています。これが聴く者の無意識の領域を直接共鳴させます。

    そんな彼女の特別な能力が幾人もの作家の想像力を刺激し、色とりどりの宝石のような楽曲が集まりました。凡作は一曲もありません。歌詞は様々ですが、共通しているのは「大人の中に住んでいる少年や少女」を呼び覚ます内容で、聴けば誰もが十台のあの頃に連れ戻されるでしょう。

    アレンジはアコースティックとエレクトロニクスの配合が適切で、声と相俟ってひたすら心地良いヴァイブレーションを与えてくれます。ミニアルバムということで曲数は多くないですが、一曲一曲のエネルギーが大変に強いため十分な聴き応えがあります。これより多いと多すぎるくらいです。

    まだ16歳ながら、彼女の歌のスタイルは既に完成形にあるように思えます。
    ライブ盤やカバー集にもチャレンジしてみて欲しいです。

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     2009/12/24

    2009年デビュー組の正統派ソロアイドル代表。可愛いだけではありません。
    これは昨今の「使い捨て・売り逃げJ-POP」とは一線を画した作品集です。70年代〜80年代アイドル歌手の名作アルバムが時を経て価値を認められ、復刻される例が相次いでいますが、このアルバムはやがてその系譜に連なることになるでしょう。

    7つのシングル曲(うち6曲がKAN作曲)はいずれも緊迫感のあるシリアスな作品で、女優としても活躍する真野さんの持つ多様な可能性を色とりどりに描き出しています。そして真野さんの、ボーイソプラノのような声質、明瞭な日本語発音のもたらす清潔感・爽快感は抜群で、一曲ごとのシリアスなドラマを描き出す格好の武器になっています。まさしく王道です。なおライブでは彼女はピアノ弾き語りによって歌います。ここも重要な点です。

    そして過去の王道アイドル達、麻丘めぐみ、石川ひとみ、松田聖子・・・に通じる点がもう一つ。彼女の歌声には高い知性がはっきりと刻印されている点です。歌手とは、曲ごとに異なった世界を作り出す俳優である訳ですから、これはきわめて重要な事です。

    シングル曲中「乙女の祈り」は2009年を代表する傑作です。卒業で成就しなかった恋を描いた作品としては、斎藤由貴「卒業」、松田聖子「制服」などの名作がありますが、真野恵里菜「乙女の祈り」はそこに肩を並べる金字塔を打ち立てました。また「マノピアノ」「ラッキーオーラ」「ラララ-ソソソ」のインディーズ三部作のもたらす、緊迫感に満ちた、それでいて優しい世界、澄み切った空気は比類のないもので何度聴いても飽きることがありません。陰影に富んだ絶妙なコードワーク、緻密な構成、自然で美しい旋律は近年耳にすることの稀な高度なものです。

    聖子さんにも詞を提供してきた、日本を代表する優れた作詞家三浦徳子氏の、そして誰もが認める天才メロディメイカーKAN氏の作品集としても味わい深い、繰り返しの鑑賞に耐える一枚です。

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