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Review List of Mr.Bater 

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     2010/08/11

    プロデュースも自身で手がけるようになり傑作連発の幕開けを告げる本アルバムはスティービーの内的宇宙、すなわちinner visionsをおよそ考えうる究極と思しき表現世界に音楽を持って結晶させた、ポピュラーミュージックのひとつの頂点ともいえる作品だ。各パートは濃密に密接に接合し一つの有機的な生命を成しており、ハイハットのかすかな鳴りひとつにもエロスが感じられるこの作品には、映画「アマデウス」においてモーツァルトの音楽に驚愕したアントニオ・サリエリの言葉をあてはめても過言ではないだろう、曰く「精緻な音符のモザイク模様のむこうに完全なる美を見出した」と。
    この音楽の結晶度合いはバンドによってもたらされたものではなく、一人の卓越した才能が迸るイメージを完璧な音楽空間に結実させた稀有な例であり、イメージの具現化がほぼ全て自身で成されたが故にとてつもない高い純度で融合できたと言える半面、そのあまりの完璧さのため、ある種の曲には濃密さが密閉感を伴っているように感じるのは私だけだろうか。
    冒頭を飾るYOU ARE THE SUNSHINE OF MY LIFE 30年近く聞いて尚私がこの曲に惹かれるのは、先ほど述べた事とは正反対に、ここで聞かれる演奏が羽のように軽く洗練され尽した鼻歌のように浮遊し、無限に広がってゆく音の隙間を幸福感の飽和した空気が埋め尽くしていくように感じられるからだ。
    本アルバム中唯一アナログシンセではない、朴訥にグルーヴするScott Edwardsのベースをはじめとするバンドサウンドは、慈愛に満ちた波動となって我々を巨大な愛情で包むのだ。

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