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Review List of ディスク派 

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     2013/12/14

    ルパン三世を漫画アクションやTV第1シリーズで見ていた人にとっては、TV第2シリーズやその途中で制作された『カリオストロの城』には違和感を持つ人もいるようだが、そもそも原作の雰囲気をどこまで尊重するべきかというような議論は謂わば永遠の論争のようなもので、結論にたどりつくことは難しい。結局は好みの問題に落ち着いてしまうのが関の山である。『カリオストロの城』について原作者は「あれは本来のルパンではなく、宮崎駿のルパンである」と前置きしたうえで、この作品を否定するつもりのないことを明言している。宮崎駿を押井守との比較で論評しているレビューもあり、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を例に出されているのであえて申し上げると、原作者の高橋留美子はこの映画に対して一貫して否定的な見解を表明していたことは忘れてはならない。自分の創造したキャラクターを利用してうる星やつらの世界観とは異質な世界観を作り上げたことに高橋留美子は不快感を感じたのかもしれない。だからと言ってこの作品を否定する気はないし、アニメ史上最も特異な作品として『カリオストロの城』ともども大好きなアニメの一つである。よく知られた話ではあるが、宮崎と押井の関係について触れると、両者が初めて対面したのはうる星やつらの劇場版第1作『オンリー・ユー』公開直後であった。この対談で宮崎は押井の作品をこき下ろし、クリエーターとしての押井の姿勢を激しく面罵したといわれる。つまり、原作の枠から出ようとせず、自らの創造性を抑えてまで映画を製作した(作らされた)ことをなじったのだ。押井自身、製作中から忸怩たる思いがあったため、一言も反論できなかった。その思いが次作『ビューティフル・ドリーマー』に結実するのだが、押井は宮崎を見返すために作品を創ったとまで言っている。尚、宮崎はこの作品に対し一言のコメントも発していない。余談だが、『ビューティフル・ドリーマー』のあるシーンに『カリオストロの城』のシーンを引用している描写があるので、気になる方は見比べてみるとよいでしょう。

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     2011/06/25

    テンシュテットがWPを振るということで、年末のFM放送を楽しみにしていた演奏会だったが、聴き終えて首をかしげた記憶がある。これほど伝わってくるものが希薄な『英雄』はあまり経験したことがない。その印象は30年近く経た今も変わらない。WPはどんな指揮者と共演してもWPとしての水準を下回る演奏をしないことが伝統となっているオケだが、この『英雄』はまさに水準ぎりぎりの演奏である。ライブで真価を発揮するテンシュテットの録音の中では稀にみる凡演であり、彼の『英雄』を堪能したいのであれば、NDR盤かLP盤を聴く方がよい。マーラーは一転してテンシュテットの気概が感じられ、WPもそれに引きづられるかのように応えているところが面白い。こちらは『英雄』とは逆にスリリングな名演である。この演奏を聴くたびに、オケと指揮者の関係の難しさを痛感する。特にWPは指揮者にとって一筋縄ではいかない(つまり簡単に言うことを聞かない)オケであることはよく知られている。ましてピンチヒッターで急遽WPの指揮台に立ったテンシュテットがいかに苦労したかは想像に難くない。テンシュテットはWPに対して相当腹を立てたという後日談が伝わっているが、この両者は互いに信頼関係を築くことなく、二度と共演することはなかった。その意味では、貴重な「記録」であるのかもしれない。蛇足ながら、ザルツブルク音楽祭のレヴァイン=WPによるマーラーの7番の名演は是非ともCD化していただきたい。

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