Annees de Pelerinage.3, Sancta Dorothea : Irina Mejoueva(P)
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QBE | 神奈川県 | 不明 | 04/August/2017
同じ日に発売されたシューベルト・アルバムとはピアノの音が明らかに違う。シューベルトではヤマハを弾いたライヴ録音だったが、このリストはスタインウェイのセッション録音できらびやかな音作りだ。とはいえ、一昔前のテクニックをひけらかすノー天気なリスト演奏とは一線を画している。いわゆるピアノの速弾きが今ではほとんど意味をなさなくなった。初音ミクをはじめボーカロイドが人間には不可能な速さで楽曲を歌いこなす。ピアノ演奏もしかり。この先ピアニストに求められる資質はコンピュータには真似できない身体性となろう。生きている身体と密接に結びついたリズム感覚、和声感覚であり、それに根差したデフォルメ表現である。メジューエワはリズム、和声とも鋭敏な感覚の持ち主だし、ときに大胆な表情付けを厭わない。このCDを聴く者はさまざまな作曲家を思い起こすだろう。ロマン派保守本流にとどまらない。第1曲から調性の安定しない箇所が頻出するが、のちのロシア・アヴァンギャルドや新ウィーン楽派の無調音楽まであと一歩だ。部厚い音の積み重なりは彼女が愛してやまないメトネルやラフマニノフに連なるものだし、第4曲「エステ荘の噴水」がフランス印象派音楽に影響を与えたことはつとに知られる。しかも彼女は、ドビュッシーやラヴェル、ベルクからルリエまでこれらの音楽をことごとくレパートリーに取り入れているのだから説得力がある。3 people agree with this review
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