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Hayao Kawai

Books 定本昔話と日本人の心 岩波現代文庫 物語と日本人の心コレクション 6

定本昔話と日本人の心 岩波現代文庫 物語と日本人の心コレクション 6

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    brian  |  滋賀県  |  不明  |  19/July/2021

    @昔話は人間の心の深層構造を物語るものだとして、河合隼雄氏は日本人の心の在り方、生き方を探るべく、日本の昔話を全体で24の昔話の内20の日本の昔話を取り上げ、ユング派分析家としての分析を臨床経験を踏まえ行った。A昔話では登場人物は老人、父、母、継母、男、女、息子、娘、姉、妹、鬼、生き物、殿様、王様などが出てくるが、一つの話の中での登場人物はそれぞれ最大でも5〜6人程度で、この中で母11回、娘10回、父9回、息子7回、生き物6回の順で登場が多くなっている。それぞれ父-息子、娘、母-息子、娘の関係を中心に姉、妹、弟等のきょうだいの関係等と生き物のことも含めて、日本人の自我の構築過程を辿って行っている様である。B日本人の自我は女性像での表現がふさわしいと言っているが、「女性像」に注目することで、昔話の分析の中で日本人の心の在り方、生き方について分析し、結論つけたということだと思う。必然的に女性の登場回数が多くなっている。 C西洋との比較の中での日本人の自我へのアプローチは昔話だけではなく、キリスト教文化と日本神話との比較も含めて宗教的な背景やギリシャ神話と日本の神話の違いに由来する、それぞれの文化的、精神的な構造について歴史的な視点も含めて行われており、古事記や日本書紀やギリシャ神話についての改めての知識欲も掻き立てられた。元々河合氏がユングの分析派の資格取得の論文テーマとしていたのが日本神話であり、その流れからの昔話分析と思われます。その後「日本神話と日本人の心」の書籍が出版されています。D更にこれまでも河合氏は先に「母性社会日本の病理」「中空構造日本の深層」も出版しており、それらもベースに発展させた内容として、西洋の父権意識による自我の確立過程に対する日本における母権意識をベースとした自我の脆弱さを指摘しながらも、女性の意識は可変性なり老人・少年・男・女の意識を重層的に備えており、多様化する世界に向けては日本の方が対応力があるとも言っている。E日本人の自我の確立が曖昧で、中空的だとの指摘の背景に母性が支えてきた包容力、受容性があるとすれば、そのことが忍耐することと共に多様に対応していく力として新たに今後に向けて転用していける全体性というものを持ち備えているということを示唆されている様にも感じられる。F自我の成立過程を考えた時の補償の概念からは、逆に補償作用がなければ成立もできないということの裏返しでもある。

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