Fidelio : Thalbach, Haitink / Zurich Opera, Diener, L.Gallo, Sacca, etc (2008 Stereo)
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Cherubino_492 | 東京都 | 不明 | 16/March/2021
ハイティンクの指揮は落ち着いた運びの中、情感豊かに歌われる風格のあるもの。強いて言うと序盤のブッファ風の場面は少しもどかしい。79年グラインドボーンの方はもっと溌剌とした生気があった。 チューリヒのオーケストラは透明感が高い。合唱団も弱音でも響きの豊かさを失わない上質なもの。レオノーレ序曲第3番はアタッカで演奏される。 ディーナーはバイロイトでエルザの経歴もある人で、決して力任せにならず、真っ直ぐな表現の中に人間的な温もりもある。 サッカはフロレスタンとしては軽めの声、表現としては浅くなってしまうが、明るく伸びのある歌は希望を失わない。 ガッロは声の魅力は以前より衰えたけれど、ピツァロを頭脳派の悪人として存在感がある。 ムフはこの後チューリヒではピツァロを歌っている(別演出でアーノンクール指揮)。こちらのロッコの方が出来が良い。 タールバッハの演出は、女優出身からか細やかなもの。例えばマルツェリーネはシャボン玉を飛ばしながら歌ったり、フィデリオのコップにお茶を注ぐ時見とれてこぼしそうになったり、そのくせ自分からキスしたり、ときめく乙女心を表している。ピツァロもロッコを説得する場面で芸達者なガッロにあの手この手を繰り出させ抜け目のない悪役を作る。レオノーレがナイフを持ったピツァロの前に立ちふさがって「彼の妻から殺せ」と胸を肌けるのはインパクトがある。歌手に豊かな表情を求めていて、いわゆる目力があるが、これは客席から舞台を見たのでは前の方の席でないと分からないだろう。この点については映像に分がある。0 people agree with this review
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