Tempest : Ades / Royal Opera House, Keenlyside, Bostridge, etc (2007 Stereo)(2CD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 21/August/2009
シェイクスピア最後の戯曲で最高傑作との評も高い『テンペスト』のオペラ化。台本はうまく原作を圧縮しているが、ポスト・コロニアリズム以来、アメリカ先住民のような植民地主義の犠牲者と話題になることが多いキャリバンがやはり重要視されていて、第2幕で夢の話を語るところでは讃歌のような崇高な音楽が付けられているし、プロスペロー退場後に最後のセリフを歌うのも彼になっている。ボストリッジが得意のニューロティック(神経過敏)な歌を披露するが、キャリバンはパパゲーノのような自然児のイメージがあったので、ちょっと違和感あり。作曲者はピーター・グリーナウェイ監督の映画『プロスペローの本』に付けられたマイケル・ナイマンの音楽を意識していたはずだが、ナイマン同様、パロック・オペラに倣ってキャリバンがテノール、エアリアルがコロラトゥーラ・ソプラノなど高めの声偏重の配役になっている。芸術は絶対に「進化」しなきゃというモダニズム思想は過去のものとはいえ、素朴な聴感ではブリテン『真夏の夜の夢』に「毛が生えた」程度にしか感じない、あまりにもまともなオペラぶりに戸惑いもあるが、原作自体が圧倒的に良くできているので楽しめる作品であることは確かだ。4 people agree with this review
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