【HMVインタビュー】 Base Ball Bear

ホッとしたというか、肩の力がやっと抜けたという感じでしょうか。
1年間アルバムのことを考えっぱなしだったので。

いちばんはじめは、自分の「バイオリズム」や「タイム感」が宿っているアルバムを作ったら面白いんじゃないかという所から始まりました。

このアルバムの概念というか、そういうものだと捉えて欲しいです。
と、終えてしまうのも何なので、ざっと説明しますと、

人は常に「呼吸」を当たり前にしているから気付かないけれど、「くり返しという名の更新」をし続けているんだと思うんです。
1つ前と同じようで、同じじゃない。
昨日と同じ自分のようで、同じじゃない。
くり返しの向こう側に気付く、抜け出す。
そんな意味を込めています。

「深朝」から始まって、「新呼吸」で終わる、ということにすごく意味がありますね。

これは「同タイトルの別曲」だと思っていただければいいと思います。
僕の場合、同じモチーフでも複数の意味合いやイメージが出てきてしまうことがあるので、無理せず別曲として作ることにしています。

シングルの「yoakemae」は、未完の完成でありました。
余白を残して完成としたといいますか。
その余白は主に、音像の仕上げ作業の話なのですが、最初から、アルバム完成までの間にそれを詰めていこうとしていまして。
「short hair」「Tabibito In The Dark」のレコーディングを経て、見えたものを踏まえて、仕上げたのが今回のアルバムバージョンです。
これを「本当のyoakemae」としました。

チャットモンチーは僕らの同期であり、ライバルであり、友人です。
福岡晃子は、僕にとっての歌姫といいますか。笑
あの人の哀愁がある歌声が好きです。
あと、僕のディレクションへの反射というか理解力もすごくて。
いつもノリいいなぁと思っています。笑

あと今回、実は、ボーカルとしてもあっこに参加してもらう予定だったのですが、諸々のタイミングが合わずで、作詞だけの参加になりました。
が、近いうち、この曲のあっこボーカルバージョンも制作して、「本当の夜空1/2」を作ろうかなと思っています。

歌詞の文学性、って何ですかね？笑
そこに関しては僕は全然意識していないです。
というか、操作できないといいますか。
そうなっているのなら、そうなってしまう、という感じです。
ただ、今回の歌詞カードを縦書きにしたのは、意図したものです。
ずっと横書きで書いていたものを、縦にしてみたら、歌詞や言葉の本質が不思議と見えやすくなりまして。
より、伝わるのではと思い、そういう仕様にしました。
行間や、レイアウトもすごくこだわりました。

自分の歌っている姿を観るのが元々恥ずかしいと思う人なので、基本、恥ずかしいです。
毎回、素晴らしい監督の方々に撮っていただいているのに申し訳ないです。笑

昔から一緒に映像を作っている遠藤主任による作品なのですが、かなしいです。
すごくかなしいです。

スタッフさんが用意してくださったシャンパンを飲みながら収録しましたね。
とはいっても、飲んでいたのは堀之内だけですが。笑

来年以降も、毎年充実させたいですし、良い作品を作り続けたいです。

「新呼吸」はBase Ball Bearというバンドの、10年間の、到達点だと思っています。
そして同時に、新しい10年への第一歩でもあります。
アルバムの、「毎日は始まり続けていく」というコピーのように、
僕らはいつでも、はじまりの中にいたいと思っています。