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飯島奈美さん&糸井重里さん インタビュー

Monday, April 18th 2011

interview
飯島奈美さん 糸井重里さんインタビュー

フードスタイリスト飯島奈美さんの料理本シリーズ『LIFE』。
手順が写真とともに細かく説明され、レシピのままに作ると、ほんとうに とってもおいしいごはんが誰にでも作れるようになっている料理本です。一度作ったら、「こんなにおいしく作れるなんて!」という驚きと「あの人と一緒に食べたいなぁ」という気持ちになります。
『LIFE』シリーズには、人生のなかで、何度も作りたい味、食べたい味がたくさん詰まっています。
そんな『LIFE』の3巻がついに発売になりました。3月初めに東京糸井重里事務所で行われた完成記念の試食会におじゃまし、飯島奈美さんと糸井重里さんにお話を伺いました。



--- 試食会のごはん、とってもおいしかったです。ごちそうさまでした。
糸井さん、飯島さんのごはんを食べながら踊っていましたね。

糸井:ほんとに?

--- はい。子どもが、おいしいものを食べている時に体を動かすのとまったく同じように、体を揺らしながら食べているところを見ちゃいました(笑)。

糸井:あぁ〜見られてしまった(笑)。

飯島:踊らせてしまった(笑)。

--- 試食会でも、皆さん「おいしい・・・」ってかみしめて、気持ちを共有していました。『LIFE』シリーズは、今回の3巻で完結だそうですね。
ほぼ日で、「ものを作っていくと、作りたいという動機がだんだん減っていくものだけど『LIFE』の場合は増やしていった」というお話を拝見したのですが、これまで作ってきた動機というのは何だったんでしょうか。

糸井:喜ばれるからそうなったんじゃないでしょうかね。

飯島:そうですね。私もそうです。1巻を出したら本当に色々な感想をいただいて、「あぁこんな風に色々な人の日常で喜んでもらえるんだぁ」って。

糸井:今まで料理が出来なかった人が出来るようになった、とかね。

飯島:『LIFE』の料理がきっかけで料理が好きになったとか、旦那さんが『LIFE』を見ながらごはんを作ってくれたという声を聞いて、本当にうれしいなぁと。


試食会では『LIFE』のシリーズの中から15品もの料理がふるまわれました。 たくさん作ってビールと共に食べたい「おうちで飲み会!の春巻」、そのままでもヨシ、タレで味わうもヨシの「大家族おでん」(ともにLIFE3巻収載)。「帰省からもどる日の太巻きずし」(LIFE1巻収載)は、やさしい甘さで、幸せな記憶がよみがえるような味。

--- 『LIFE3』の前書きにありますが、『LIFE』というタイトルを糸井さんにつけてもらった時、飯島さんは少し大げさだなぁと思ったそうですね。

飯島:そうなんです。糸井さん、スミマセン(笑)。 「LIFE」っていう言葉は素敵だけど、料理本で「LIFE」かぁ・・・大丈夫かなぁって。

糸井:そうですね。タイトルは思い切りましたね。料理の本っぽいタイトルじゃないほうがいいって思ったのは、やっぱり飯島さんのシチュエーションごとのごはんを作るという今までの仕事があったからですね。

飯島:そうですね、必ずシチュエーションがあってその料理を作っていたので、「こういう設定なんで、こういう料理を考えて下さい」って言われることが当たり前だったんです。 逆に「何でもいいんで作って下さい」って言われると、何でもいいって何を作ればいいんだろうってなってしまうんです。 だから『LIFE』はすごく自然に自分の力を発揮できたんじゃないかなと思います。


豚肉の旨味がぎゅっと詰まった「おもたせ角煮」(LIFE3巻収載)。そして飯島さんが目の前で握ってくださった「うんどうかいのおむすび。」(LIFE1巻収載)。口にいれると、ふわっとほどけました。大げさではなく、あんなにおいしいおむすびを食べたのは初めてでした。
 

糸井:フードスタイリストならではだなぁって思ったのが、「おとうさんのナポリタン。」(LIFE1巻収載)という、お父さんが休日につくるナポリタンっていう設定のレシピに、“麺をのばす”っていう工程があるんですよね。アルデンテが一番いいとされている時代に、「のばしておきましょう」って言った料理本はおそらくないと思うんですよ。これがとっても評判が良くて、「あれが食べたかったんだ」っていう人が日本中にいたんです。

飯島:『LIFE』では、シンプルな材料で、いままでとはちょっと違ったニュースがあるような料理を作りたいなぁという想いがありましたね。
作りやすくっていうことはすごく重要で、少ない食材でバリエーションをつけた料理を提案したいなぁと。 例えば、2巻に載っている肉じゃがも、絹さやを入れないのは、絹さやを使うのならもう1品違うものを作ったほうが食卓が賑わうなぁっていうことと、ひとつの料理に4品、5品って色々な食材が入っていると、何を食べているのかわからなくなっちゃうんですよね。 お店とは違う、シンプルだけどおいしく作れる、家庭ならではの料理ということを考えました。

                       (次ページに続きます!)

『LIFE3』
新刊『LIFE3』 飯島奈美
  フードスタイリスト飯島奈美さんの「食べておいしい、食べさせてうれしい、いっしょに食べる場にいてしあわせ」な料理。カツ丼、鶏のてりやき、ビーフシチュー、麻婆豆腐、春巻、かにたま、お好み焼き・・・。人生のなかで、何度も作りたい味がここにあります。
3年をかけたシリーズの完結編がついに完成。


    『LIFE3』








     LIFE3 / 飯島奈美
    2011年4月発売

    書き下ろしのあたらしいレシピも増え、合計23メニュー、33品を収載。おいしい味が再現できるようにと、分量、手順、加熱時間などのこまかな手順をたくさんの写真とキャプションで解説。
    フードスタイリスト飯島奈美さんがつくる、おいしくて、しあわせなレシピ。3年をかけたシリーズ完結編がついに完成。


    『LIFE2』








     LIFE2 / 飯島奈美
    2009年12月発売

    「ほぼ日刊イトイ新聞」掲載の14品と、9品の新作を追加し、ページ数も、ボリュームアップ。収録メニューは、ほぼ日刊イトイ新聞でおこなった『LIFE』のアンケートの回答をもとに、「ほんとうにみんなが食べたいもの」を厳選。
    巻頭に、「必要な調味料」とならび「必要な道具」をまとめたほか、それぞれのレシピの材料のページにも「あると便利な道具」も掲載。


    『LIFE』








     LIFE / 飯島奈美
    2009年3月発売

    「これさえあれば!」という、飾りのないおかず。 しょっちゅう食べても飽きない、また食べたくなるメニュー。 「これこれ!こういうのが、食べたかったんだ」という、ふつうのゴハン。
    その「ほんとうにおいしいつくり方」を、ほんとうにおいしそうな(おいしいんです)写真と、だれでもつくることができるように、わかりやすい文章でまとめた1冊。

profile



[飯島 奈美]

東京生まれ。フードスタイリスト。
パスコ「超熟」のCMなど、広告を中心に活動。
2005年に荻上直子監督作『かもめ食堂』参加をきっかけに、映画のフードスタイリングも手がけるようになる。雑誌AERAで「セカイのきんぴら」、ほぼ日刊イトイ新聞で「LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。」他を連載中。
著書に『ほぼ日のレシピブック』『LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。(1、2巻』(東京糸井重里事務所)、『シネマ食堂』(朝日新聞出版)、『飯島風』(マガジンハウス)などがある。

profile



[糸井 重里]

1948年生まれ。コピーライター。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。
広告、作詞、文筆、ゲーム製作など多彩な分野で活躍。
1998年にウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞 http://www.1101.com/」を開設してからは同サイトの活動に全力を注ぐ。
近作に『羊どろぼう。』『ブイヨンの日々。』『さよならペンギン』『黄昏』など。

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