Hot.Women

３年ほど前に輸入盤が入り一部で話題になった逸品。タイトル通り、世界のさまざまな地域の女性歌手たちのＳＰ時代の音源を集めたアルバム。それも熱帯地域の、世間ではほとんど知られていない国の歌手たちの音源ばかりをドドドッと24曲も集めて聞かせてくれるスゴい内容です。

スタートはルイジアナ。続いてテックス・メックス・ファンにはお馴染みのリディア・メンドーサからメキシコに渡り、キューバやブラジル、チリを通って、スペインからヨーロッパに渡ります。ここでニーニャ・デ・ロス・ペイネス、ギリシャではリタ・アバジ、アルジェリアでは『アラブ・アンダルース音楽歴史物語』でも紹介されていたシェイハ・テトマの若かりし頃の録音なども聞けてしまうから、たまりません。さらにトルコを経由してアフリカに渡り、その後はマダガスカル経由でインド〜東南アジアへ。最後はハワイアンとタヒチアンでアルバムを締めくくります。

とにかくすばらしいのは、そんな世界一周音楽の旅といった感じの雑多な音楽を収録した内容なのに、続けて聞いてもまったく違和感がない、
しっかりと流れのある選曲がなされていることです。これは長年音楽をじっくり聞いてきた人にしかできない、まさに年輪を感じさせる内容です。

そんなわけで、ツウのワールド・ミュージック・ファンにはもちろんお勧めの作品。でもそれ以上に、古典的なワールド・ミュージックの入門篇としてお役立ていただける内容でもあります。そこで今回は、収録された音源の関連アルバムなどを紹介しながら、入門者にもわかりやすい解説をつけてお届けします。